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インフレ時代に知っておきたい話 Part2~資産形成とは?

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野村證券 投資情報部 田中 政広
野村證券 マーケティング部 高橋 美咲

物価の高騰に負けない!インフレ時代に知っておきたい資産形成の知識について、野村證券投資情報部 田中 政広、マーケティング部 高橋 美咲によるトークセッション形式で解説します。

資産形成とは?

【高橋】これからの資産形成には、Part1で説明されたように「インフレに対応できる資産」が大切ということでした。では、具体的にどのような資産をもって資産形成をする必要があるのでしょうか。

【田中】将来に向けた資産形成に取り組む際は、以下の3点を考え「資産にも働いてもらう」ことが大切です。

  1. 長い時間軸を味方にする
  2. 短期間の値動きに左右されない
  3. 中長期で物価上昇率を上回るリターンが期待できる資産を保有する

この3つの条件を満たす可能性が高いのは、個別の株式へ投資して保有することです。しかし、個別株式は価格変動のリスクが大きいため、銘柄選択や投資の手法に工夫が必要です。

【高橋】実際に、どのような手法が必要なのか教えてください。
【田中】下の図は、経済と投資、リスクとリターンの関係をイメージしたものです。縦軸はリターンを示しており、一番下の線はリターンがゼロであることを意味します。

預金者が銀行に預けたお金は、企業などに貸し付けられます。融資を受けた企業は、景気変動などさまざまな要因により業績が変化します。これを「リスク」といい、リターンが不確実なので、変動(振れ幅:ブレ)で表しています。ちなみに、リスクの語源は「勇気を持って試みること」だと言われています。

【高橋】リスクは「危険性」と捉えている方も多いと思いますが、投資の世界においては「振れ幅」のことを表すのですね。
【田中】そのとおりです。企業の事業リスクをとった活動が、リターンの源泉です。株式を保有することは、企業の事業活動に相乗りするイメージです。
右側のグラフは金融商品のリスク・リターンの関係で、縦軸がリターン、横軸がリスクを示しています。

相対的に、リスクの小さい順では、預貯金<債券<株式となります。
次に、今後の物価上昇を見据えて、リスク・リターンの考え方について説明します。

リスクとリターンの考え方

【田中】 2種類の資産があると仮定します。A資産は、4年間毎年確実に3%のリターンがあります。
一方B資産は、1年目5%、2年目4%、3年目マイナス3%、4年目6%とリターンがブレますが、4年間の平均リターンはA資産と同じ3%のリターンとなるものです。この場合、どちらの資産を選びますか?

【高橋】もちろんAがいいです(笑)
【田中】そうですよね。同じリターンの資産であれば、リスクのないA資産を選択するのは当然です。

【田中】ただし、現在はA資産のように確実に3%のリターンを得られる商品はありません。
【高橋】資産運用を始めたいが…1円も損をしたくないというのは、当然だと思います。
しかし、リターンが変動しない高利回りの商品はないため、資産運用をはじめられない人がいるわけですね。
【田中】そのとおりです。リスクの捉え方を理解して、リターンが変動する資産の考え方について説明します。

下記グラフは、日経平均株価の推移(グレーの折れ線)と、これを構成する225社の一株当たり利益の合計の推移(赤い棒)を示しています。
2002年4月から2023年7月までの期間は、株価と企業業績に関係性があることがわかります。

今後も 多くの企業で最高益の更新が見込まれているので、日経平均株価も連動して推移すると予想されています。
【高橋】このように、日経平均株価は、東証プライム市場上場銘柄から市場流動性の高い銘柄を中心に業種間のバランスに考慮して選定しているため、日本の株式市場を代表する株価指数ともいえますね。長期的にこの指数を見ることで、主要な日本企業の業績動向も伺えると言えそうですね。

【田中】そのとおりです。また、別の角度から株式全体の動きが「経済全体の動きに近い動きをする背景」を考えてみます。令和2(2020)年度版の財務省の法人企業統計によると、法人数(金融・保険業を除く営利法人数)は、約289万社あり、売上高の合計は1,448兆円、経常利益84兆円です。

一方、東京証券取引所(以下、東証)に上場している会社数は、金融と新規上場等を除き3,394社、合計売上高は765兆円、経常利益は61兆円です。法人全体に占める東証に上場している会社の割合は0.118%、一方売上高の割合は52.8% 、経常利益の割合は72.6%と東証に上場している会社がその多くを占めています。

このように、東証に上場する株式は「日本経済の成長を写す鏡」であり、株式を保有することで、その企業の成長によって、ご自身の資産が成長することを意味しているのです。

資産形成の考え方

【高橋】東証に上場している企業は、日本全体のわずかに0.1%程度の割合にも関わらず、日本の全企業の経常利益の7割を出しているとは驚きました。そうすると、東証に上場している優良企業群への投資は、日本の経済成長の果実を受け取るための方法でもあるわけですね。

【田中】まさにそうでして、株式は資産として長期保有することが資産形成における大切な考え方といえるのではないでしょうか。
短期的な売買で利益を獲得する考え方よりも、長期的な経済成長をもとに、リターン獲得を目指す考え方を意識していただきたいと思います。

個々の木を見るのではなく、森として株式を見るような考え方です。長期間にわたる保有が前提となりますので、いかにリスクを低減してリターンの安定性を高めるかが、重要なポイントになります。
【高橋】それでは、是非リスクを低減する方法について教えてください。

  • このコラムは、2023年10月時点の情報に基づくものです。

文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室

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