1. TOP
  2. コラム
  3. 公的年金の繰上げ受給と繰下げ受給

公的年金の繰上げ受給と繰下げ受給

  • facebook
  • x
  • LINE

今回は、公的年金の繰上げ受給、繰下げ受給について説明いたします。公的年金は受給開始時期によって受給額が変わります。老後の生活を支える大事な年金の受け取り方のヒントをご覧ください。

ポイント
  • 国民年金(基礎年金)や厚生年金は、65歳前から受け取ると「繰上げ受給」、66歳以降に受け取ると「繰下げ受給」となり、本来の年金額から減額または増額されます。
  • 繰上げ受給を選択すると、減額された年金額が生涯続くことに加え、65歳までは夫が亡くなったときの寡婦年金を受給できなくなったり、遺族厚生年金を併給できなくなったりします。

繰上げ受給と繰下げ受給とは

国民年金(基礎年金)や厚生年金は原則65歳から受給開始となりますが、60歳から75歳までの間で受給開始時期を自由に選ぶことができます。65歳前から受け取ることを「繰上げ受給」、66歳以降に受け取ることを「繰下げ受給」といい、繰上げは60歳から、繰下げは75歳まで選択できます。繰上げしたときは原則65歳を基準に年金額が減額(▲0.4%/月)され、繰下げしたときは増額(0.7%/月)されますので、仮に60歳まで繰り上げて年金を受け取るようにすると年金額は24%減額され、75歳に繰り下げて年金を受け取るようにすると84%増額されることになります。2022年3月までは繰上げの減額率が「▲0.5%/月」であり、繰下げの期間が70歳まででしたが、法改正により2022年4月からは繰上げの減額率が「▲0.4%/月」に抑えられ、繰下げの期間が75歳まで延長されたことから、受給開始時期がさらに選びやすくなったといえます。

繰上げか繰下げを選択すべきかどうか…

厚生労働省の「令和2年簡易生命表」によると、75歳まで生存する人の割合は男性が76.1%、女性が88.4%、90歳まで生存する人の割合は男性が28.4%、女性が52.5%となっており、統計上は男性の4人に1人、女性の2人に1人が90歳まで生きることになっています。自分がいつまで年金を受給できるかは誰しもわからないものの、受取り方によって年金総額が変わることはイメージとしてつかんでおきたいところです。繰上げ・繰下げしたケースとしないケースで受給額がどのように変わるのかをみてみましょう。

75歳から5年きざみで受給総額をみると、80歳までは繰上げ受給したほうが有利となりますが、それ以後は順次逆転し、夫婦が90歳まで生存したときには75歳に繰り下げた方が有利になります。ただし、繰上げ受給は早く受給開始できる反面で注意すべき点があります。減額された年金額が生涯続くことに加え、65歳までは夫が亡くなったときの寡婦年金を受給できなくなったり、遺族厚生年金を併給できなくなったりすることは知っておきたいところです。

アドバイス

繰上げの減額率(▲0.4%/月)は2022年4月以降に60歳になる人、繰下げの上限(75歳)は同月以降に70歳になる人が対象です。2022年3月までに60歳や70歳になっている人はそれまでの内容(旧制度)が適用され、繰下げでは増額率が最大42%になりますので注意しましょう。また、66歳以降で受給を開始していないときには繰下げのほかに、65歳からの本来の年金額をさかのぼって受給(最大5年分)する方法もあります。お住まいの市区町村や年金事務所などで確認しましょう。

  • 掲載されている内容は2022年5月12日時点のものです

文責・山田コンサルティンググループ株式会社

本資料はライフプランニングの参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。なお、使用するデータおよび表現等の欠落、誤謬等につきましては当社はその責を負いかねますのでご了承ください。また、本資料は提供させていただいたお客様限りでご使用いただきますようお願い申し上げます。本資料は2022年4月現在の法令に基づいて作成しております。将来変更の可能性があります。

  • facebook
  • x
  • LINE

関連記事