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【前編】金融広報中央委員会「15 歳のお金とくらしに関する知識・行動調査 2023 年」から読み解く 若者世代の金融リテラシー(お金の知識・判断力)

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金融広報中央委員会は2024年1月26日、「15歳のお金とくらしに関する知識・行動調査(2023年)」の調査結果を公表しました。調査は高校1年生3,000人を対象にして、2023年6月15日から7月14日の期間にインターネットで実施されました。義務教育終了段階の子どもの金融リテラシーの現状把握についての調査は、今回が初めての実施とのことです。調査結果から見える、若者世代のお金の知識や判断力の現状について確認していきましょう。

金融教育「学んだ」「学んだと思う」が91% 金融リテラシー調査との差が顕著に

本調査では「金融リテラシーマップ」の分類に基づいた知識と行動に関する設問(42問)と、お金とくらしに関する行動・考え方等を問う設問(45問)で構成されており、3年に1度実施されている金融リテラシー調査(対象18歳以上)の、未成年向け版と位置付けられています。

2021年度から中学校学習指導要領で金融教育に関する記述が拡充されたことも追い風に、「中学校の授業でお金(家計・くらし)のことを学んだか」については、「学んだ」「学んだと思う」が合計で91%と高い結果となっています。2022年に同委員会が実施した「金融リテラシー調査(2022年)」の「学校等で金融教育を受ける機会は無かった」「わからない」の回答合計が91.1%とは真逆の結果となりました。最近の経験について聞いたことも要因と考えられますが、学校での学びの内容が変わっていることもふまえると、若者世代には学校等での金融教育が認識され始めているということかもしれません。

金融リテラシーを問う設問のスコアでは、中学校の授業との親和性が一定以上見られる「保険(81.1%)」「金融・経済の基礎(68.8%)」が高い一方で、授業との親和性が比較的低い「生活設計(35.7%)」「ローン・クレジット(42.2%)」「資産形成(46.9%)」は低い傾向にあり、これらは中高校生にとって身近な話題ではないと感じられている可能性があります。

変容する「おこづかい」の受け取り方や利用方法

おこづかいについては、「特に計画はもたない」が78%である一方で、「貯金をしている」が63.1%と、貯蓄についての意識も垣間見ることができます。また、おこづかいをキャッシュレスでもらっている人が12.3%、キャッシュレス決済が日常生活の支払い手段と回答した人が27.2%おり、利用後は履歴を確認する習慣が見られるなど、受け取り方や利用方法にもキャッシュレスが定着し始めている世代であることも示されました。

お金を使う際には、「ものを買う前に、必要なものか、欲しいものか考える」と答えた人が74.8%と、7割以上の人がニーズとウォンツを考えながら買い物をしていると分析されています。また、オンラインゲームやスマートフォンなどに起因するトラブル回避に対する意識が高い点も特徴して挙げられます。

 

学校での金融教育のニーズ 身近な話題が中心に

中学校で学んだ内容について、社会や家庭科、総合的な学習の時間で取り扱われるテーマを「学んだ」と認識している回答が多く見られました。学校の授業で「教えてほしいこと」については、「お金のトラブルの回避方法・対処方法」が59.6%、次いで「ローンの仕組みや活用方法」が55.8%と続きます。

成年年齢の引き下げに対してもっとも多かった回答が「トラブルにあうかもしれないので不安」だったことからも分かるように、成年年齢前の世代に対しても、学校での金融教育の取り組みのさらなる強化を通じ、金融リテラシーの底上げが必要であることが分かる結果となりました。

後編では、本調査を実施した金融広報中央委員会に調査結果から見える若者世代の金融リテラシーや、中学校、高校での金融・経済について学ぶ内容についてお聞きします。

 

後編(金融広報中央委員会へのインタビュー)はこちら

本調査の結果は、金融広報中央委員会が運営する、暮らしに役立つ身近なお金の知恵・知識情報サイト「知るぽると」で閲覧することができます。

知るぽると「15歳のお金とくらしに関する知識・行動調査

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