【3分で読める】働き盛り世代の介護リスク ~ビジネスケアラー~

介護というと、自分が年を重ねて老後を迎えた時を想像することが多いと思いますが、突然自分が誰かを介護する立場になることもありえます。仕事が主な者でかつ介護をしている「ビジネスケアラー」は、40〜50代の働き盛り世代で増えており、時間的・精神的負担による生産性の低下や介護離職を招くリスクがあるのです。このコラムでは、ビジネスケアラーが抱える問題と対策について説明します。
介護の実態と40歳~64歳の家族介護
日本の公的介護保険制度では、介護認定を受けた人の割合は70歳代から徐々に増加し、85歳以上では6割の方が介護認定の対象になっています。つまり、介護を受ける側は、主に75歳以上の後期高齢者が大きな割合を占めているのが実態です。

一方、家族の介護を担っているのは、主に働き盛りの40〜50代です。仕事が主な者でかつ介護をしている「ビジネスケアラー」は、特に経済活動の中心な役割を担う世代であり、家族の介護負担と仕事の両立を抱えており、社会課題の一つになっています。

生命保険文化センターの「2024(令和6)年度生命保険に関する全国実態調査」によると、介護を始める際の一時費用の平均は約47万円、月間の介護費用の平均は約9万円、介護が続く期間は平均で約4年7か月というデータが公表されています。
介護は突然発生することもあり、もし介護が長期化した場合は、家計への費用負担が重くのしかかることもあるかもしれません。
ビジネスケアラーの増加による課題
ビジネスケアラーが増えることにより、介護を担う当事者や社会にどのような影響があるのでしょうか。介護は時間を取られるだけでなく、体力や精神的負担が大きいため、仕事のパフォーマンスが低下する、介護離職につながるリスクが高くなると言われています。
2022年度に経済産業省が日本総研に委託して行った「サステナブルな高齢化社会の実現に向けた調査」によると、介護に伴う経済的損失は2030年に合計約9兆1,792億円と推計され、そのうち労働生産性の低下が約7兆9,163億円を占めると試算されています。
また、前述のグラフでは、55~59歳の方が家族の介護を担っている割合が、特に他の年齢層と比較して高いことがわかります。一般的に、この年代はご自身の今後の生き方を考える時期でもあり、さらに介護が重なると一層の精神的負担がかかるものと推察されます。
このように、経済活動の中心的な役割を担っている40〜50代のビジネスケアラーが増えることは、個人の生活だけでなく、企業の人的資本と国全体の経済力にも大きく影響します。
介護リスクを減らすための対策
「介護」は突然発生する可能性があります。介護を受けるリスクを減らすための対策と、主に40~50代の方が仕事と介護を両立するためには、どのようなことが必要なのでしょうか。例えば、以下の項目が挙げられます。
- 健康を維持するために、規則正しい生活(食事・睡眠・運動等)を心掛ける
- 介護休業や介護休暇を理解し、介護サービスを受けるための手続きや、介護保険の自己負担の範囲などを事前に調べておく。介護保険の公的給付だけで費用をカバーできない場合を想定して、民間の介護保険を活用して資金準備を検討する
- 介護支援制度の活用を検討、在宅勤務や勤務時間を柔軟に対応してもらえるか、上席に相談する
- 介護負担の分担や、将来の住まい・介護方針(在宅か施設か)を家族で話し合う
介護への心構えをもち、情報収集や事前準備をすることで、安心して仕事と介護の両立が可能になるのではないでしょうか。
編集協力:野村證券株式会社 投資情報部 山口 正章/金子 真紀
編集/文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング部
記事公開日:2026年3月9日


