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2023年4月からの自賠責保険を確認しておきましょう!

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今回は、2023年4月からの自賠責保険の変更点、留意点をまとめています。改めて制度についても確認しておきましょう。

  • 2023年4月契約分の自賠責保険から新たな賦課金の負担が求められます。
  • 誰でも交通事故の当事者になる可能性はありますので、自賠責保険の制度について知っておきましょう。

1.自賠責保険の保険料は引下げの予定

警察庁が公表している資料によれば、2021年の交通事故による死亡者数(24時間以内)は2,636人(前年比▲203人)となっており、5年連続で過去最少を更新しています。

<交通事故死者数の推移(年間合計)>

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
4,691人 4,438人 4,388人 4,113人 4,117人 3,904人 3,694人 3,532人 3,215人 2,839人 2,636人
  • 出所:警察庁「令和3年中の交通事故死者数について」

交通事故件数の減少傾向を受けて、自動車損害賠償責任保険(以下、「自賠責保険」という)の保険料総額は2023年4月契約分からの引下げが予定されています。その一方で、新たな賦課金の負担が求められることも決まっており、1台あたり年間100~150円の範囲で上乗せされます。

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2.新たな賦課金が追加される理由

国土交通省は、「被害者支援などの自動車事故対策事業の財源が枯渇して、事業の継続が困難となるおそれがあるため」と説明しています。現行の自動車事故対策事業は有限の積立金のみを財源としているため、これを新たな賦課金を徴収することで恒久化することを目指しています。

  • 出所:国土交通省「自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定 ~自動車事故の被害者やそのご家族などが安心して生活できる社会・自動車事故のない社会の実現に向けて~より作成

一方で、報道にもあるとおり、過去にこの積立金から国の一般会計に1兆1,200億円の借入があり、いまだに約6,000億円が返済されていないことから、今回の改正理由には疑問の声もあがっています。

3.自賠責保険のしくみと補償範囲

ここで改めて自賠責保険について確認しておきましょう。すべての自動車は自賠責保険への加入が義務付けられています。ここでの自動車とは、四輪車だけでなく、二輪車や原動機付自転車なども含まれます。新しい乗り物として話題の電動キックボードやペダル付電動自転車も自賠責保険に加入しなければなりません。自賠責保険は、人身事故による対人賠償(相手を負傷させたり、死亡させたりしたときの損害賠償責任)に備える保険ですので、運転者自身のケガや物の損害などでは保険金が支払われません。主な補償範囲については、次のとおりです。

<自賠責保険の支払限度額>

支払限度額(被害者1名あたり) 損害の範囲
傷害による損害 神経系統・精神・胸腹部臓器に
著しい障害を残して介護が必要な場合
常時介護のとき:最高4,000万円
随時介護のとき:最高3,000万円
逸失利益、慰謝料など
上記以外の場合
(後遺障害の程度により14等級)
第1級 :最高3,000万円~
第14級:最高75万円
死亡による損害 最高3,000万円 葬儀費、逸失利益、慰謝料
(本人および遺族)
死亡するまでの傷害による損害 約3,912万円 約391,200円
2021年末 最高120万円 (傷害による損害の場合と同じ)

4.自賠責保険だけでは補償が足りない

逸失利益とは、「被害者が将来得られたはずの収入から生活費を控除した金額」です。そのため、被害者の収入が多い場合や年齢が若い場合は、損害賠償額が高額になる可能性があります。過去の判例からも、自賠責保険の補償だけでは損害賠償額を賄いきれないことがわかりますので、任意加入の自動車保険で補うことが必要となってきます。

<人身事故の高額判決例>

認定総損害額 裁判所 判決年月日 事故年月日 被害者
性別・年齢
被害者職業 被害態様
5億2,853万円 横浜地裁 2011.11.1 2009.12.27 男性 41歳 眼科開業医 死亡
4億5,381万円 札幌地裁 2016.3.30 2009.1.7 男性 30歳 公務員 後遺障害
4億5,375万円 横浜地裁 2017.7.18 2012.11.1 男性 50歳 コンサルタント 後遺障害
4億3,961万円 鹿児島地裁 2016.12.6 2010.11.9 女性 58歳 専門学校教諭 後遺障害
3億9,725万円 横浜地裁 2011.12.27 2003.9.14 男性 21歳 大学生 後遺障害
  • 出所:一般社団法人日本損害保険協会「ファクトブック2022日本の損害保険」より作成

自賠責保険の目的は交通事故の被害者救済ですが、実際には最低限の補償にすぎません。また、自分が交通事故の加害者になり、高額な損害賠償金の負担を求められるかもしれません。自賠責保険だけでは不足する補償部分は、任意加入の自動車保険で備えることを検討しましょう。

※ 掲載されている内容は2023年3月7日時点のものです

本資料はライフプランニングの参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。当社は本資料の内容に関与しておらず、事実関係も確認しておりません。また内容についても当社は責任を負うものではありません。なお、使用するデータおよび表現等の欠落、誤謬等につきましては当社はその責を負いかねますのでご了承ください。また、本資料は提供させていただいたお客様限りでご使用いただきますようお願い申し上げます。本資料は2023年1月現在の情報に基づいて作成しております。将来変更の可能性があります。

文責 山田コンサルティング株式会社

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