個人向け国債とは?国債の仕組みと10年利付国債との違い

政府は令和8年7月、「経済財政運営と改革の基本方針2026」を閣議決定しました。同方針の「成長を支える資金供給の促進」では、「個人向け国債の魅力向上による国内投資家層の拡大を図る」と示されています。
この「個人向け国債」とは、どのような国債なのでしょうか。ニュースなどで耳にする10年利付国債とは、どのような違いがあるのでしょうか。
本コラムでは、国債の基本的な仕組みを確認したうえで、個人向け国債の種類や仕組み、10年利付国債との違いを解説します。
国債とは、国が発行する債券
国債は、債券の一つです。
債券は、国や企業などがお金を借りる際に発行する、借入れの内容を示す証書のようなものです。国は、国債を発行することで資金を調達し、あらかじめ定められた条件に従って、利子を支払い、満期を迎えると元本を返済します。
国債を購入することは、国にお金を貸すことにあたります。
国債には、さまざまな種類がある
国債には、建設国債や特例国債(赤字国債)、復興国債、借換債などがあります。これらは、発行の目的や資金の使い道に応じて区分されています。
国債は、満期までの期間や利子の決まり方によっても分けられます。例えば、固定利付国債や物価連動国債などがあります。また、こうした仕組みによる分け方とは別に、購入対象者による分け方もあります。現在の個人向け国債は、個人を対象として設けられた国債です。
個人向け国債とは
個人向け国債は、2002年度に導入されました。
国債の主な保有者には金融機関や機関投資家などがいます。これらの保有者は、金融環境や経済の状況に応じて国債を売買します。個人向け国債の導入には、個人による国債保有を促し、国債の安定的な保有層を形成する狙いがありました。
個人向け国債の変遷
個人向け国債は、2002年度の「変動金利型10年満期」の発行から始まりました。その後、2005年度に「固定金利型5年満期」、2010年度に「固定金利型3年満期」が加わりました。このように、個人向け国債には、満期までの期間や利子の決まり方が異なる複数のタイプが設けられてきました。

出所:財務省サイトより野村ホールディングス株式会社ファイナンシャル・ウェルビーイング部作成
個人向け国債と10年利付国債の違い
ここからは、個人向け国債と10年利付国債の違いを見ていきます。
個人向け国債には、「固定金利型3年満期」「固定金利型5年満期」「変動金利型10年満期」の3つのタイプがあり、額面1万円単位で購入できます。
これらは、満期までの期間や利子の決まり方が異なります。また、個人向け国債と10年利付国債では、満期前に資金化する方法や、その際の金額の決まり方にも違いがあります。
| 個人向け国債 | 10年利付国債※注1 | |||
|---|---|---|---|---|
| 満期 | 3年 | 5年 | 10年 | 10年 |
| 金利タイプ | 固定金利 | 変動金利 | 固定金利 | |
| 利子の決まり方 | 購入時に決まった利率が満期まで変わらない | 半年ごとに適用金利が見直される | 購入時に決まった利率が満期まで変わらない | |
| 購入のタイミング | 募集期間 | 発行後、市場で購入注2 | ||
| 購入時の価格 | 額面金額100円につき100円 | 市場価格 | ||
| 満期前に 資金化する方法 | 所定の手続きによる中途換金 | 市場で売却 | ||
| 満期前に資金化する際の 金額の決まり方 | 市場価格ではなく、所定の中途換金ルールに基づく | 市場価格により決まり、売却益または売却損が生じることがある | ||
注1新窓販国債を除きます。
注210年利付国債の取扱いは、金融機関により異なる場合があります。
出所:財務省サイトより野村ホールディングス株式会社ファイナンシャル・ウェルビーイング部作成
10年利付国債は、市場で売買される
10年利付国債は、発行後も市場で売買されます。購入時・売却時の価格は市場金利や需給などによって変動します。そのため、満期前に売却する場合は、購入時と売却時の価格の差によって、売却益または売却損が生じることがあります。
個人向け国債は、中途換金の仕組みを利用する
個人向け国債は、市場で売買されません。満期前に資金化する場合は、口座を開設している金融機関を通じて、中途換金の手続きを行います。
中途換金する際の換金金額は、市場価格ではなくあらかじめ定められたルールに基づいて決まります。
- 原則として、発行から1年が経過した後、中途換金できます。
- 一部または全部を中途換金できます。
- 直前2回分の税引前利子相当額に0.79685を掛けた金額が、中途換金調整額として差し引かれます。
- ただし、保有者が亡くなった場合や、災害救助法が適用された災害で被害を受けた場合などには、発行から1年未満でも中途換金できる特例があります。
2026年12月から「個人向け国債プラス」に変更
2026年12月募集分から、個人向け国債は名称を「個人向け国債プラス」に変更する予定です。
現在は個人に限られている販売対象が、国債の安定的な保有者層を広げる観点から、2026年12月募集分より一部の法人・団体にも拡大されます。販売対象となる法人・団体の例には、非営利法人や非上場株式会社(資本金5億円未満)、マンション管理組合などがあります。
名称や販売対象は変更されますが、商品のラインナップや基本的な仕組みに変更はないとされています。
まとめ
国債には、発行の目的や資金の使い道、満期前に資金化する方法などに違いがあります。これまで見てきたように、個人向け国債と、10年利付国債では、利子の決まり方や満期前に資金化する方法、その際に受け取る金額の決まり方など、さまざまな違いがあります。
国債を理解する際には、それぞれの名称だけでなく、仕組みや違いを確認することが大切です。
編集/文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング部
記事公開日:2026年10月26日


