【入門編】債券のキホン(1)まずはここから! 知っておきたい3つのポイント

私たちが日常的に購入する食品をつくったり、電車の路線や駅を整備する会社があります。また、国や地方自治体は、道路や学校、図書館などを整備し、さまざまな公共サービスを提供しています。
こうした活動には大きな資金が必要となります。その資金を集める方法の一つが、債券(さいけん)の発行です。
債券は「お金を借りたことを示すもの」
債券は、国や会社、地方自治体などが、「お金を借り、あらかじめ決めた条件に従って返済します」と約束して発行するものです。借用証書に似た仕組みと考えると、イメージしやすくなります。
債券を発行してお金を借りる側を、発行体(はっこうたい)といいます。「発行体」は難しい言葉ですが、ここでは「債券を発行して、お金を借りる側」と捉えておきましょう。
発行体によって、債券の呼び方は変わります。代表的なものには、国が発行する国債、会社が発行する社債、都道府県や市区町村などの地方自治体が発行する地方債があります。名前は異なっていても、基本的な仕組みは同じです。債券を買う人は、発行体にお金を貸します。発行体は、そのお金を受け取る代わりに、あらかじめ決めた条件に従って、利子を支払ったり、満期にお金を返したりします。

債券の基本的な仕組みをイメージで解説したもので、すべてを網羅しているわけではありません。
出所:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング部作成
債券を買った人が発行体から受け取るお金には、債券を持っている間に支払われる利子と、満期に支払われるお金があります。債券には、定期的に利子を受け取れる「利付債(りつきさい)」と、利子が支払われない代わりに、満期に受け取る金額より低い価格で発行される「割引債(わりびきさい)」があります。割引債では、購入した金額と満期に受け取る金額との差額が、利益となることがあります。
ただし、利子が支払われるかどうかや、満期にいくら受け取れるかは、債券の種類や条件によって異なります。満期を迎えると、発行体からあらかじめ定められた金額が支払われます。
利益や損失は、債券をいくらで買ったかや、満期前に売るかどうかによって変わります。外貨建て債券では、為替レートの変動によって、円に換算した受取額や売却額が変わることもあります。また、発行体の財務状況が悪化した場合には、利子や満期に支払われるお金が予定どおり支払われない可能性もあります。
ここからは、債券を見るときに押さえておきたい三つのポイントを確認していきましょう。
債券を理解する三つのポイント
1.満期には、契約で定められた金額が支払われる
満期(まんき)とは、発行体がお金を返す期限のことです。債券を発行するときには、いつ返済するのかがあらかじめ決められています。債券にあらかじめ表示されている基準となる金額を、額面(がくめん)といいます。多くの債券では、満期に額面と同じ金額が支払われます。たとえば、額面100円の債券では、満期に100円が支払われるものがあります。このように、満期にお金を返すことを償還(しょうかん)といいます。
ただし、債券の種類や発行条件によっては、満期時の支払額が額面と異なる場合があります。また、発行体の財務状況などによって、予定どおりに支払われない可能性もあります。債券を見るときは、額面だけでなく、満期にいくら受け取る契約なのかを確認することが大切です。
2.持っている間に利子を受け取れるものがある
債券を持っている人は、発行体から利子を受け取れる場合があります。利子とは、お金を貸したことへの対価として支払われるお金です。
利子の金額や支払われる時期は、債券ごとに決められています。たとえば、年に1回、または半年に1回など、定期的に利子が支払われる債券があります。
ただし、すべての債券に利子があるわけではありません。利子がいくらなのか、いつ支払われるのか、満期にいくら受け取れるのかは、債券ごとに異なります。
3.満期前に売る場合、売却価格は変動する
債券は、満期まで持ち続けるだけでなく、満期前に売却できる場合があります。ただし、その場合は、満期に受け取る予定の金額ではなく、売却時点の市場価格で取引されます。
市場価格とは、その時点で債券を売買するときの価格です。市場金利や、発行体が約束どおりに返済できそうかどうか(信用力)などによって変化します。購入したときより高く売れることもあれば、安くしか売れないこともあります。そのため、満期前に売る場合、購入した金額がそのまま戻るとは限りません。
また、満期までの期間が長い債券ほど、市場金利の変化によって価格が動きやすい傾向があります。満期が近づくにつれて、発行体の信用状況などに大きな変化がなければ、債券価格は満期時に支払われる金額に近づきやすくなります。
債券を見るときは、誰が発行しているのか、いつ・いくら受け取れるのか、利子はいくらか、満期前に売る場合にはどのような価格変動の可能性があるかを確認しましょう。
債券の中には、市場で売却する代わりに、所定の条件で中途換金できるものもあります。その身近な例が個人向け国債です。
個人向け国債は、原則として発行から1年が経過した後であれば、中途換金できます。これは市場での売却ではなく、国が設けた制度に基づく換金です。額面金額を基準に換金されるため、市場金利の変化による価格下落の影響を直接受けませんが、中途換金時には、原則として直前2回分の各利子(税引前)相当額に一定の率を掛けた金額が差し引かれます。したがって、「いつでも購入時と同じ金額がそのまま戻る」という仕組みではありません。
編集/文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング部
記事公開日:2026年9月1日


