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【3分で読める】関税とは?関税政策の歴史とトランプ関税の影響

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米国のトランプ大統領は2025年7月31日、本年4月2日に発表した相互関税を修正する大統領令を発表しました。しかし、その後も米国の関税政策に関連する報道は絶えません。
本コラムは『いまさら聞けない関税とは?』に続き、関税についてのお話です。

歴史の教訓とこれまでの関税率の引き下げの目的

歴史をひも解くと、1929年の世界恐慌に対して植民地などの経済圏を持つ主要国が第三国に対して高関税率を課すなどの保護貿易を進め、経済基盤の弱い国で景気悪化とナショナリズムの先鋭化を招きました。第二次世界大戦後は、歴史の反省を踏まえ、国際的な貿易協定を結び、後にWTO(世界貿易機関)を中心に関税の引き下げや非関税障壁の撤廃による自由貿易が推進されました。グローバルな資源の再配分により、競争による生産性の向上や経済成長が促進され、国際分業体制の確立は、経済的な結びつきによる国家間の対立抑止に貢献してきました。

しかし、トランプ政権の相次ぐ関税政策により、米国の平均輸入関税率は歴史的な水準へと上昇しています。2025年8月7日時点の米国の平均関税率は19%程度と試算 1され、1933年以来の高水準となっています。

1 野村による試算値

「米国の平均輸入課税率」1850年からの米国の平均輸入課税率のうち直近である2025年の変動において、2025年5月13日時点の予想では、輸入平均関税の前提が自動車、鉄鋼などが25パーセント、中国の相互関税は30パーセント、その他の相互関税が10パーセントであるため、米国の平均輸入課税率は、15.2パーセントであった。次に、2025年7月16日時点の予想では、輸入平均関税の前提が鉄・銅・アルミニウムが50パーセント、自動車関連が25パーセント、2025年7月16日まで公表の中国の相互関税は30パーセントであるため、米国の平均輸入課税率は、21.8パーセントであった。次に、2025年8月7日時点の予想では、輸入平均関税の前提が鉄・銅・アルミニウムが50パーセント、自動車関連は25パーセント、2025年7月31日まで公表の相互関税は、中国が30パーセント、日本が15パーセント、EUが15パーセント、韓国が15パーセントであるため、米国の平均輸入課税率は、19.3パーセントとなった。
注:データは年次で、直近値の2025年は2024年の輸入額基準で計算している。カナダとメキシコについてはUSMCAに準拠する輸入品の比率を50%、48%としている(the budget labの前提値)。その他一定の前提をおいて計算を行っている。
出所:米Tax Foundation、the budget lab、米商務省、NSIより野村證券投資情報部作成

トランプ大統領の関税政策の影響と方針

第2次トランプ政権は、2025年2月以降、様々な国・地域や品目に対する関税を賦課しています。その目的は、米国の貿易赤字の解消や、サプライチェーン(供給網)の再編により、経済安全保障を見直すことなどにあります。関税率の引き上げは米国経済に対してスタグフレーション(景気減速下のインフレ高進)圧力となることが予想されますが、現時点で、米国景気の悪化やインフレ加速への影響は限定的です。また、関税による税収が拡大しており、トランプ大統領は、引き上げた関税率を取り下げる意思はほとんどみられません。貿易の低迷や関税の価格転嫁によるインフレなどで景気失速に陥らない限り、関税政策は今後も強化される可能性があります。
(2025年7月23日時点)

まとめ

本コラムでは関税が歴史的に果たしてきた役割と、米トランプ政権が関税率を引き上げる目的、その影響について考察しました。
米国の関税政策は経済に対して影響を及ぼすだけでなく、『いまさら聞けない関税とは?』で述べているように私たちの生活にも影響があるため、今後も注視する必要がありそうです。

編集協力:野村證券株式会社 投資情報部 小髙 貴久、清水 奎花、尾畑 秀一
編集/文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング部

記事公開日:2025年8月29日

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