【3分で読める】為替とは?為替が与える影響について

為替とは?その基本的な考え方を解説!
ニュースやSNS等で頻繁に目にする「円安」や「円高」という言葉。これらの外国為替(以下、「為替」)の動きは、私たちの日常生活や企業の経営に大きな影響を与えます。為替を理解しておくことは、生活や経済を考える上で非常に重要です。今回は、為替の基本的な概念とその影響について詳しく見ていきましょう。
※以下、本コラムの中での「ドル」は、特に断りが無い場合は「アメリカドル」のことです。
為替とは、異なる通貨を交換することを指します。例えば、日本円をアメリカドルに交換するといったことです。この取引が行われる市場を「外国為替市場」と呼び、為替レートとは、ある1つの通貨が別の通貨とどのくらいの比率で交換できるのかを指します。
為替が与える影響とは?

例えば、1ドル=100円だった時点から10円円高になると輸入品が安く、買いやすくなり、私たちの生活コストが下がる一方で、輸出企業にとっては逆風となります。海外で同じ価格で商品を売っても、円に換算すると得られる利益が減少してしまうためです。
逆に円安が進むと、1ドルを100円から110円で買うことになり、輸入品の価格が上がり、消費者は高い価格を支払うことになります。一方で、輸出企業は海外での競争力が高まり利益が上がり易くなります。
このように、為替にはそれぞれのメリットとデメリットがあり、経済全体のバランスの観点で考えることが重要です。
こうした為替の変動に、個人として効果的に対応するのは難しいのが現実です。例えば、円高のタイミングを見計らって輸入品を購入しようと思っても、その判断は容易ではありません。

過去にも円安が大きく進行した場面では、日本の輸出企業は強い競争力を持ったものの、同時に輸入品の価格が上昇し、食料品やエネルギー価格が高騰したことで消費者の負担も増大しました。最近の経済の状況からも、為替の変動は経済全体に対して多面的に影響を及ぼすことが理解できます。
円高が輸出企業の業績に与える影響について
為替の動きは、私たち消費者だけでなく企業にとっても重要な要素です。特に輸出企業は為替の影響を強く受けます。輸出産業の比率が高い日本企業にとって、円安の進行は業績の拡大につながります。
しかし、過去のデータを見てみると為替レートの変動と企業業績の関係は必ずしも安定的ではありません。
2000年度から2023年度までの24年間で、年度平均の為替レートが前年度比で円高となったケースは12回ありましたが、そのうち前年度に比べて経常減益となったのはわずか3回でした。これらは2008年度のリーマンショックや2010年度の東日本大震災、2019年度の新型コロナウィルス感染拡大の影響など、為替変動以外の極めて規模の大きな出来事により生産数量が大幅に減少したことが要因と考えられます。

特に自動車業界は、為替の影響を受けやすい業界の一つと言われています。実際、為替が営業利益に与える影響は小さくありませんが、販売台数や車種構成を中心にその他の要因も大きなウェイトを占めていることがわかります。多くの自動車メーカーは生産をしている工場のある現地の通貨で部品を調達し、現地市場で販売する体制を整えているため、為替の変動による影響がその他の要因に比べ相対的に小さくなっています。
このように、現地市場での調達や販売を行う場合には、為替の変動によるリスクを管理し、競争力を維持している企業が多いのです。

まとめ
本コラムでは、為替の基本的な考え方とその影響について確認しました。為替は国際経済の動向や金利差などさまざまな要因に敏感に反応し、私たちの日常生活や企業活動に直接的な影響を与えます。これら為替についての知識を深めることで、経済や市場の動きを理解し、よりよい生活に役立てることができるでしょう。ニュースやSNSなどで為替の話題を目にしたときは、その影響について少し考えを巡らせてみてはいかがでしょうか。
編集協力:野村證券株式会社 投資情報部 大坂 隼矢/澤田 麻希
編集/文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング部
記事公開日:2025年5月30日