2025.03.04 NEW

トランプ関税&米景気減速懸念で日経平均株価は一時37,000円割れ ポイントを野村證券ストラテジストが解説

トランプ関税&米景気減速懸念で日経平均株価は一時37000円割れ ポイントを野村證券ストラテジストが解説のイメージ

3月3日の米国株式市場では、主要3指数が揃って大幅安となりました。本日4日の日本株式市場も大幅に下落、日経平均株価は一時3万7,000円を割り込みました。日米両市場が揃って大幅な下落となった背景について、野村證券ストラテジストが解説します。

日本株は出遅れ感と割安感があり、リビジョンも堅調

2025年3月3日の米国株式市場では、トランプ大統領が「(カナダ・メキシコ関税で)ディールの余地が全くない」と発言したことを契機に、「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数が上昇し、それに連動して株安が増幅されました。半導体や情報技術、一般消費財セクターが弱含む一方で、REIT(不動産投資信託)、生活必需品、ヘルスケアセクターは相対的に堅調でした。ファクター別では、高ベータ株や中小型株が弱含む展開となっています。

さらに、2月のISM製造業景況感指数が低下したことも、景気減速への懸念を一段と強める材料となりました。ただし、2月後半以降の高ベータ株の下落には行き過ぎ感もあり、景気減速懸念が後退すれば、反発の可能性もあると見られます。S&P500の日次ボラティリティー(IV)では、「3月5日にかけた株安方向のIV」が100近くまで急騰しました。これは、3月4日の関税発動の期限や大統領の議会演説への警戒感が高かったためと考えられます。

関税が発動された際は、米国株の低迷が続く一方、発動の延期を含み最悪の事態が回避された場合には、投資家心理が改善する、このようなパターンがバリュエーション(投資尺度)調整と並行して米国株式市場で繰り返されやすいと考えられます。米調査会社EPFRのデータによれば、先週のファンドフローでは先進国株への資金流入が続いており、株式内で分散が進んでいることが示唆されています。出遅れ感や割安感があり、米国とは独立した好材料を持つ国やセクターが市場の注目を集めやすい状況にあると考えます。

日本株は、出遅れ感や割安感があるうえ、アナリスト予想の上方修正と下方修正の件数から算出される主要企業の「リビジョン・インデックス(RI)」も堅調なことから、海外投資家による売り圧力は限定的であると考えられます。日本株では関税リスクの高い銘柄や半導体関連株に加え、医薬品や輸送用機器のパフォーマンスが低調であり、関税リスクをある程度織り込んだ動きになっています。日本独自の材料としては、NISA(少額投資非課税制度)に伴う日本株への資金シフトや自社株買いの加速といった要因が挙げられます。ただし、日本銀行のタカ派的(金融引き締めに前向き)な政策姿勢に対する懸念は依然として根強く、3月5日に予定されている日銀首脳の情報発信に市場の注目が集まっています。

(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

編集元アナリストレポート

Quick Note – 日本株朝メモ:米減速×関税懸念が再燃 – 関税ディール否定を真に受けてXデーに接近(2025年3月4日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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