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30代の社会人が知っておきたいお金の話 第1回「住宅ローンとは」

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30代は、結婚し、家族を持ち始める方も多い年代です。

厚生労働省の統計データ(人口動態統計)によると、2022年の初婚年齢は夫が31.1歳、妻が29.7歳です。収入が増えて経済的な安定感が生まれつつも、新たな責任から負担が増えることも珍しくありません。子どもの教育費のねん出など多くの課題に直面するでしょう。

中でも「住宅購入」は大きなテーマです。

国土交通省が2023年3月に公表した2022年度住宅市場動向調査によると、分譲戸建住宅を初めて購入した世帯主の平均年齢が37.5歳、分譲集合住宅(マンションなど)は39.9歳で、双方とも4~5割が30代です。さらに、新築の分譲戸建住宅を購入した人は平均で3,205万円、中古の集合住宅を購入した人でも平均1,641万円を借り入れています。新築の注文住宅、分譲戸建住宅や中古の戸建住宅の場合、借入額はさらに大きくなります。

住宅ローンとは、住宅の購入金額の一部または全部を金融機関から借りて、住宅の販売会社に支払う仕組みです。「固定金利」や「変動金利」など複数の金利の種類があります。金利については、第2回で詳しく解説します。

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住宅ローンの選択ポイント

前述した通り、30代は、将来を見据えた重要な決断を迫られることが多い年代と言えます。さらに、住宅ローンの返済は30年以上にわたるケースが一般的で、その間の収入の安定性や家計管理も合わせて考慮する必要があります。

夫婦で2つのローン契約を結んでそれぞれの収入から別々に返済するペアローンや、夫婦のいずれかが「主債務者」、もう一方が「連帯保証人」になり、で夫婦の収入を合算した金額で審査を受け、2人で返済していく「収入合算」といった仕組みもあります。

共働き夫婦でペアローンや収入合算を使えば、住宅ローンの借入金額を増やしてより理想に近いマイホームが手に入るかもしれません。

――月々の返済計画は?

月々の返済計画を決めたとしても、経済状況の変化によって返済額は変動します。例えば、年収500万円のAさんが頭金200万円を用意し、3000万円のローンを20年で返済する場合、金利の変動により返済額に大きな差が生じると考えられます。金利による返済額の変動は考え方が複雑です。第2回で改めて説明します。

また、出産によりパートナーが休業し世帯収入が減るといった事態も考えられます。先ほど紹介したペアローンや収入合算は、夫婦どちらかの収入が減った場合、返済が困難になる可能性もあります。

これを視覚的に捉えるため、グラフや図表を参照するとよいでしょう。金融機関のウェブサイトやアプリでは、ローンのシミュレーションツールを利用できます。家計の状況に応じて、どの程度の金額のローンを組むことが妥当なのかをあらかじめ確認しておくこともできます。

―― 金融機関の審査

ローンを組む際の審査には、申し込む人の勤務先や勤続年数、そして信用情報が大きく影響します。

信用情報とは、これまでのクレジットカードやローンの申し込み履歴や支払い履歴などが登録された情報です。

大企業の会社員で勤続年数が長く、安定した収入のある人は、金融機関から借りたお金の返済が遅れるケースが少ないなどの理由から、ローンの支払い審査がスムーズに進む傾向にあります。フリーランスや個人事業主でも、過去の確定申告書や契約内容などを明確に示すことで、審査を通過することはできます。

――賃貸か持ち家か、繰り上げ返済か資産運用か

「賃貸住宅か持ち家か」の選択は、頻繁に話題になるテーマです。賃貸は持ち家と比べて初期費用を抑えられる上、転勤などによる引っ越しの手続きも持ち家に比べると容易と言えるでしょう。

持ち家は自分の資産になりますが、購入価格と住宅ローンの返済額だけでなく、初期費用や修繕費、固定資産税といったランニングコストも考慮する必要があります。

例えば4,000万円の住宅を購入した場合、住宅ローンの手数料や保険などの初期費用が240万円程度。35年返済額が変わらない「元利均等返済」のローンの場合、金利1.0%だと740万円程度の金利負担があるため、総支払額は5,000万円程度です。ここに修繕費や固定資産税が加わるため、目先の家賃より月々の住宅ローン返済額が安いからといって安易に住宅を購入するのではなく、家族にとって長期的に考えてどちらがいいのか慎重に判断しなければなりません。

持ち家の場合は、将来的に余裕が生まれた場合、残った住宅ローンを繰り上げ返済するか、それとも株や投資信託などでその分の資産を運用するかという選択も重要です。

繰り上げ返済では総返済額を減らせる一方で、運用がうまくいけば、ローンの金利以上のリターンを得ることも期待できます。どちらが良いかは、リスク許容度や将来の資産の目標金額などにより異なります。

繰り上げ返済をするか、運用するかについては、専門家の意見などを参考にしつつ、自身のライフスタイルや経済状況を総合的に考慮し、最適な選択を行うことが重要です。

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各行のサービス、十分な比較を

30代は多くの選択を迫られる時期です。住宅ローンについては、無理のない返済計画を立て、万が一収入が減った場合でも問題なく返済できるようにする必要があります。各銀行や貸付期間の金利やサービスなどを十分に比較したうえ、自身にとっての最適な選択を心がけましょう。

次回は、住宅ローンの金利と返済額の変動について詳しく解説します。

【第2回へ続く】

  • このコラムは、2023年9月時点の情報に基づくものです。

文責 野村ホールディングス・ファイナンシャルウェルビーイング室

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