退職金の平均は?いくらもらえる?

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“Average Retirement Allowance in Japan”
退職金はお勤め先にしかない情報であり、人によってもらえる金額は異なるものです。今回は、退職金の金額感とトレンドについてお伝えします。
退職金は、「個別性」の高いもの
そもそも退職金とは何でしょうか?一般的には、退職金は「労働条件のひとつとして賃金の後払い」と位置付けられています。
労働基準法には退職金に関する規定はなく、退職金の支給有無や算定式等は、就業規則等の社内規定で定められます。そのため、極めて個別性が高いものであるということになります。
統計から見える、退職金
個別性は高いものの、統計上おおまかな傾向をつかむことはできます。中央労働委員会および厚生労働省が一定条件下でアンケート集計したデータを用いて、みてみましょう。
データでは、「事務・技術労働者、総合職相当」の大学卒および高校卒のアンケート平均値で、それぞれ「会社都合」による退職の場合と「自己都合」での退職の場合での退職金の支給額を比較しています。比較からわかることは、勤続年数が長いほど退職金受給額は高くなり、大学卒の方が高校卒よりも退職金レベルが高い傾向にあります。


また、下記の表は、勤続年数による会社都合と自己都合の差を表にしたものです。短い勤続年数で自己都合退職すると会社都合の半分程度しか退職金が支給されておらず、定年近くまで長期間勤続するとその差が縮まっていることが見てとれます。
このように退職金だけを見ると、短い期間で転職すると相対的には損である場合が多いと言えます。
会社都合退職の場合と自己都合退職の場合の差(大学卒)
| 勤続期間 (年齢) | 3年 (25歳) | 5年 (27歳) | 10年 (32歳) | 15年 (37歳) | 20年 (42歳) | 25年 (47歳) | 30年 (52歳) | 35年 (57歳) | 38年 (60歳) | 定年 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 会社都合 | 70万円 | 121万円 | 306万円 | 585万円 | 1,022万円 | 1,488万円 | 2,055万円 | 2,540万円 | 2,651万円 | 2,858万円 |
| 自己都合 | 34万円 | 63万円 | 183万円 | 403万円 | 762万円 | 1,186万円 | 1,772万円 | 2,304万円 | 2,381万円 | |
| 自己都合/ 会社都合 | 49% | 52% | 60% | 69% | 75% | 80% | 86% | 91% | 90% |
退職金は減少傾向
厚生労働省の別の調査(就労条件総合調査)によると、退職金レベルはどの勤続年数においても低下傾向にあることがわかります。全平均でみると、2003年から2023年の20年間で退職給付額は603万円の減少、率ではマイナス24%となっています。

退職金については減少トレンドが見て取れる中、老後に向けての一層の自助努力による資産形成が必要になると思われます。
このような状況を鑑みてか、政府主導による税優遇のある積立制度・年金制度が拡充されてきており、今後も一層の改善が見込まれています。まずはご自身の退職金制度について調べたり、活用できる制度なども確認して、明るい未来を築いていきましょう。
文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング部 籔内 大助
更新公開日:2025年10月31日
初回公開日:2023年10月4日
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