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iDeCo加入者必見!!2024年12月から拠出限度額が一部変わります(2024年12月1日改正)

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今回は、2024年12月1日より改正されるiDeCoの拠出限度額改正についてお伝えします。

拠出限度額が増える場合のみならず、一部の方は減額や拠出できなくなる場合も出てきますので、ぜひご一読ください。

iDeCoの拠出限度額が一部変わります!

早速ですが、
2024年12月1日施行で法改正があり、これによりiDeCoの拠出限度額が変わる人がいらっしゃいます。

それは、
①企業型DCとDB等の他制度に加入している人
②DB等の他制度のみに加入している人(公務員を含む)
です。

変更前と変更後を比較してみると下記のようになります。

iDeCo拠出限度額
変更前(2024年11月30日まで) 変更後(2024年12月1日から)
A.企業型DCとDB等の他制度に加入
月額2.75万円-各月の企業型DCの
事業主掛金額
(ただし、月額1.2万円を上限)
月額5.5万円-(各月の企業型DCの事業主掛金額+DB等の他制度掛金相当額)
(ただし、月額2万円を上限)
B.DB等の他制度のみに加入
(公務員を含む)
月額1.2万円

ここにある「DB等の他制度掛金相当額」は企業年金連合会が整備する企業年金プラットフォームというシステムに事業主が登録し、かつ従業員に周知することとなっています。

厚生労働省によると、「DB掛金の平均額」は下図のような状況となっており、多くは月額2.75万円より低いDB等の他制度掛金相当額が多い 1 ため、②に該当する人の場合は今回の改正によりiDeCoの拠出限度額が増える人が多いようです。
厚生労働省「DB掛金の平均額」

2015~2017(平成27~29)年度のDB事業報告書に基づき、3年間連続して標準掛金を拠出したDBを対象に集計。

上図は、DBごとに事業年度中に支払った標準掛金総額を年度末時点の加入者数で除して加入者1人当たりの標準掛金を算出した上で、当該額の階級別にDB件数を計上したもの

出所:1 第21回社会保障審議会 企業年金・個人年金部会資料

上記の計算式だけではわかりづらいかもしれませんので、例を3つ示してみます。

<例1>

A.「企業型DCとDB等の他制度に加入」している人で
企業型DCの掛金=月額1万円、DB等の他制度掛金相当額=月額2万円
の場合、iDeCoの拠出限度額は
月額5.5万円-(各月の企業型DCの事業主掛金額+DB等の他制度掛金相当額)
=5.5万円-(1万円+2万円)
=2.5万円
と計算されますが、「月額上限2.0万円」というもうひとつの制約があるため、結論としては
月額2.0万円
となり、改正前の月額1.2万円よりも限度額が上昇します。

<例2>

B.「DB等の他制度のみに加入」している人で
DB等の他制度掛金相当額=月額4.5万円
の場合は企業型DCの拠出はありませんから、iDeCoの拠出限度額は
月額5.5万円-DB等の他制度掛金相当額
=5.5万円-4.5万円
=1.0万円
となり、改正後は従前よりも拠出限度額が小さくなってしまいます。

<例3>

B.「DB等の他制度のみに加入」している人で
DB等の他制度掛金相当額=月額5.2万円
の場合は、
月額5.5万円-DB等の他制度掛金相当額
=5.5万円-5.2万円
=0.3万円
となり、iDeCoの最低掛金額である月額5千円を下回る額となるため、改正後はiDeCoに拠出できなくなってしまいます。

このように、本改正によりiDeCoの拠出限度額が「増加する場合」・「減少する場合」・「拠出できなくなる場合」があることをご認識ください。

<例1>のようにiDeCoの拠出限度額が上昇する場合で、掛金を引き上げたい場合は所定の手続きが必要になります。

この手続きについては既に事前受付を開始している運営管理機関も多くありますので、ご希望の方は加入されているプランの運営管理機関にご連絡ください。

公務員のiDeCo拠出限度額は「1.2万円」から「2.0万円」へ

前述の通り、公務員の拠出限度額も「月額1.2万円」から
「月額5.5万円-(各月の企業型DCの事業主掛金額+DB等の他制度掛金相当額)(ただし、月額2万円を上限)」
となるのですが、
公務員には「企業型DC」制度がないので「0円」、「DB等の他制度掛金相当額」に該当する「年金払い退職給付」は本計算上では「8,000円」と規定 2 されましたので、これらを上記の式に当てはめてみると、
5.5万円-(0円+8,000円)=4.7万円
となります。ただし、もう一つの条件である「上限は2.0万円」がありますので、結論としては公務員のiDeCo拠出限度額は「月額2.0万円」ということになり、本改正前の月額1.2万円から引き上がることになります。

出所:2 令和6年6月21日 厚生労働省告示 第224号

毎月以外の拠出を選択している方は毎月拠出に変更を!

上記AおよびBに該当する方々でiDeCoの拠出タイミングを「毎月」以外で設定されている方は、今回の改正前に「毎月」へ変更する必要があります。

これは前述の企業年金プラットフォームでは毎月拠出で管理するためです。

詳細は下記iDeCo公式サイトをご参照ください。

iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】
https://www.ideco-koushiki.jp

添付書類である事業主証明書が不要に

iDeCoの加入申込時や離転職があった場合等に提出が必要であった事業主証明書という書類が、今回の改正から提出不要となります 3

当該書類だけは、一旦書類を印字し事業主に必要事項を記載してもらい、提出する必要があったため、加入申込時の完全ペーパーレスの阻害要因となっていたものです。

新規加入については、本改正により大多数の方はペーパーレスを実現できることになります。

3 事業主払込を希望される場合は、「事業主払込に関する証明書」が新たに必要になります。

以上のように少し複雑な法改正ですが、多くの方のiDeCoの拠出限度額が引きあがる改正とのことですので、これを機にぜひiDeCoを見直してみてください。

文責:野村證券株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室 籔内 大助

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