私的年金制度とは? 任意で加入できる私的年金制度を解説〈現役世代にわかりやすく徹底解説年金制度〉

今回は、国民に加入が義務付けられている公的年金に上乗せして給付され、任意で加入できる「企業年金」や「個人年金」などの分類にあたる私的年金制度について解説します。
私的年金制度とは?
「公的年金」という国が定める制度に対して「私的年金」という制度があります。
「私的」ということは任意で設立・加入できる「年金」制度ということを表しており、国民に加入が義務付けられている公的年金に上乗せして給付される年金制度の総称です。
私的年金は、さらに「企業年金」と「個人年金」に大別されます。
企業年金は、主に民間企業の従業員を加入対象とした制度で、「確定給付型」と「確定拠出型」があります。
「確定給付型」とは、加入した期間などに基づいてあらかじめ給付額が定められている年金制度で、「確定給付企業年金(新DB)」や「厚生年金基金」が相当します。
一方、「確定拠出型」とは、拠出した掛金額とその運用収益との合計額を基に給付額を決定する年金制度で、「企業型確定拠出年金(企業型DC)」がこれに相当します。
私的年金 | |
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企業年金 | 個人年金 |
【確定給付型】 【確定拠出型】 | 国民年金基金 個人型確定拠出年金(iDeCo) 個人年金保険 |
「確定給付型」・「確定拠出型」は共に「年金」制度なので、分割して受け取ること(年金受給)が基本となっています。しかし、プラン毎に「一時金受取」を定めることが出来るようになっており、現状では加入者自身が選択できるのが一般的です。
厚生年金基金は、現存で4基金のみ(2024年8月末時点)となっています。近年の経済・運用環境の低迷などの環境変化に伴う財政悪化等を原因とした基金の解散や、確定給付企業年金(新DB)への移行が進みつつあります。
また、企業年金に近い制度として「退職金共済」があります。
主には下記の3つの共済があり、これらは主に中小企業や個人事業主向けの制度となっています。
名称 | 運営者 |
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独立行政法人勤労者退職金共済機構 | |
商工会議所などの団体が所得税法に基づき運営 | |
独立行政法人中小企業基盤整備機構 |
特定退職金共済(特退共)、中小企業退職金共済(中退共)、小規模企業共済に加入していても個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金額に影響はありません。
文責:野村證券株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室 籔内 大助