第3回ファイナンシャル・ウェルネス(お金の健康度)アンケート(2023年実施)―上場企業従業員1万人の声―
第3回
ファイナンシャル・ウェルネス
(お金の健康度)アンケート
(2023年実施)
―上場企業従業員1万人の声― Financial Wellness survey
NISA利用者の特徴

本アンケートでは、多くの回答者が、老後の資産形成について、勤務先の福利厚生制度だけでは賄えないとの不安を訴え、福利厚生制度以外での資産形成に積極的に取り組んでいる様子が見られました。本レポートでは、職場の外で行われている資産形成の実態について把握するべく、2024年に制度が大幅に拡充され注目を浴びているNISAにフォーカスし、現在の利用状況や、NISA利用者の特徴について検証致します。なお、NISA利用者は、2023年までの旧NISA(一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISA)のいずれか、あるいは複数を利用している回答者を指します。

NISA利用者と非利用者の割合

全体ではNISA利用者が52%と、2022年からは利用者と非利用者が逆転しました。

年代別

年代別で見ると、20代の利用率が68.4%、30代が64%と、若い世代が牽引する一方で、50代の利用が最も少ない結果となりました。

年収別の傾向

年収別で見ると、年収に比例してNISA利用率が高まる傾向がありますが、極端な差は見られまず、多様な層に利用されていることが示されました。

お金・経済面の安心感について

NISA利用者では、現在順調との回答(67%)が、NISA非利用者の同回答(44%)を大きく上回りました。一方で、NISA利用者のうち、現在「低調」と回答した主な理由では、「所得が少ない」、「貯蓄が出来ていない」との回答が多い結果となりました。また、「資産運用の成果が出ていない」との回答が29%でしたが、これらの人々は資産運用に挑戦しているからこそ、気づきが生じている可能性もあるでしょう。
将来についてもNISA利用者の方が非利用者に比して安心感が高い結果でしたが、半数以上が将来に不安を抱いている実態も浮き彫りとなりました。なお、不安感を抱える要因では、「年金が十分見込めない」が他を大きく上回り、第一位に挙げられており、老後のための資産形成制度を適切に活用するための支援の必要性も示唆されました。

福利厚生制度の利用状況:企業型DC加入者の資産配分について

NISA利用者は、企業型DCにおいても、投資信託のみで運用している割合が高く、元本確保型のみで運用しているとの回答はわずか3%でした。NISA非利用者に比べて、投資信託を通して積極的な運用を行っていることが示されました。

福利厚生制度以外の資産形成について

NISA利用者は、預貯金の他、投資信託や株式を積極的に利用しているのに加え、保険、ポイント投資等の利用も高めという結果が見られました。他方、NISA非利用者は、預貯金以外が少なく、また勤務先以外で資産形成を行っていないとの回答が24%に上りました。

資産形成の相談相手と情報源について

NISA利用者は、「家族や友人知人への相談」の他、SNSを始めとするネット等での情報収集を行っている割合が、NISA非利用者に比べやや高い傾向が見られました。なお、「相談はしない」と回答した利用者が23%であったのに対し、非利用者は41%で、最も大きな差異が見られました。

金融リテラシーについて

NISA利用者は全問正解率が20%と、NISA非利用者の7%と比較して高く、金融リテラシーとNISAの利用には一定の相関関係が見られました。一方で、全問不正解者のうち、22%はNISAを利用しており、投資にかかわる適切な情報提供を強化する必要性が示唆されました。