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2021.11.18 NEW

「クラウドファンディング」で社会貢献? 医療分野の支援は約8倍、総額20億円に

「クラウドファンディング」で社会貢献?  医療分野の支援は約8倍、総額20億円にのイメージ

コロナ禍で、クラウドファンディングを通じた社会貢献活動が活発化している。

2011年3月に日本初のクラウドファンディングとしてのサービスを開始した「READYFOR(レディーフォー)」で数多くのプロジェクトに関わってきた同社のキュレーター部部長小谷なみ(こたに なみ)さんは、「クラウドファンディングは元々、社会課題と結びつきやすい特徴がありました。支援者・寄付者はコロナ禍の前から3~4倍に増え、特に意識の高まりが見られたのは若者層です」と話す。

クラウドファンディングによる社会貢献とはどのようなものなのか。コロナ禍の動向や今後の社会貢献の可能性について、小谷さんにお話を伺った。

クラウドファンディングの仕組み

クラウドファンディングとは、資金を必要とする組織や団体(実施者)がインターネットを通じて資金提供する人(支援者)を集め、やりたいことを実現するサービスだ。

各サイトによっても名称は異なるが、一般的にクラウドファンディングは次の3つの種類にわけられる(図1)。READYFORでは支援者が税制上の寄付金控除を受けられる場合を「寄付金控除型」とし、それ以外の場合(購入型含む)を「通常型」という名称で呼んでいる。

図1:一般的なクラウドファンディングの種類
種類 形態
購入型 モノやサービス、体験や権利などの「リターン」を販売することができる。個人、企業、任意団体など、実行主体は多岐に渡る。
寄付型 公益的な活動を行っている団体が利用することができ、集めた支援を「寄付金」として受け取ることができる。支援者は寄付金控除など税制優遇を受けることができるケースが多い。
投資型 収益の一部を支援者に分配し、投資として資金を募る。支援者は、配当やファンドの運用益の分配を受けられる可能性がある。

出典:READYFOR資料をもとに編集部作成

コロナ禍で医療分野の支援は約8倍に。「想い」が支援を広げている

「コロナ禍のクラウドファンディングでは、特に医療分野への支援が目立ちました」と小谷さんは振り返る。READYFORで立ち上げた医療分野のプロジェクトの資金規模は、コロナ禍の前後で約8倍となり、総額20億円以上の資金が集まっている。

クラウドファンディングのプロジェクトページでは、資金使途や活動報告が明文化されており、支援者は何にお金を使うのか具体的にイメージしたうえで支援できる。また、プロジェクトページを通じて、支援者が実行者に応援コメントを届けることができるのも特徴のひとつだ(図2)。

図2:2020年に資金調達に成功したプロジェクト事例

運営・人件費
(民間医療機関/病床数400床)

永寿総合病院(東京都台東区)

コロナ禍で疲弊する職員に臨時手当を支給したい

図2:2020年に資金調達に成功したプロジェクト事例①

新型コロナウイルス感染症の影響で病院は減収、懸命に未知のウイルスと戦う職員が、満足に給与を受け取ることができない状況に。記者会見も大きく報道され、全国からのたくさんの支援と、あたたかい支援のメッセージが集まった。

支援総額 4,946万円
支援者人数 4,639

設備費
(大学医療機関/病床数1086床)

大阪大学医学部付属病院 総合周産期母子医療センター(大阪府吹田市)

入院中の患者さんと家族をつなぐオンライン面会システム構築

図2:2020年に資金調達に成功したプロジェクト事例②

家族の面会を大切にしてきた総合周産期母子医療センター。新型コロナウイルス感染症流行により厳しい面会制限をせざるを得ない状況に。その状況を打破するため、クラウドファンディングに挑戦。高度な安全性を保証する病院独自の面会システムを構築可能に。

支援総額 3,213万円
支援者人数 1,170

出典:READYFOR資料をもとに編集部作成

「コロナ最前線で闘う医療従事者を支援したプロジェクトの中には、入院者数が飽和し新規の診察を受け入れられなかったり、職員が差別を受けたりと、金銭的にも精神的にも厳しい状況下の病院を支援するものもあり、病院はとても励みになったということも報告されています。

このように、プロジェクトの実行者と支援者の想いが可視化され、双方向にコミュニケーションを取り合えるのがクラウドファンディングならではの魅力です。実行者の“現場で働く人たちを助けたい想い”に共感した支援者が、支援の結果を見て良かったと思えば、そこからさらに支援の輪が広がります」

『新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金(以下、コロナ基金)』では、2020年4月の募集開始から年末までに、約8.7億円の資金が集まった。この金額は2021年11月時点で国内の通常型・寄付控除型クラウドファンディングサービス史上最高額だという。

若者世代にも寄付文化が浸透してきている

コロナ禍では、特に若者世代を中心に寄付や社会貢献に対する行動変容が強く見られているという。

小谷さんは、「以前までは最低支援金額を3,000円程度に設定していることが多かったのですが、先述したコロナ基金では最低支援金額を1,000円にし、より幅広い層の人が気軽に寄付を実践できるようにしました。その結果、コロナ前後の全体のユーザー数は前年比3~4倍となり、そのうち18歳~34歳の若い年齢層のユーザーが10%増加したのです」と話す(図3)。

図3:特にコロナ禍で若者・シニア支援者が増加

図3:特にコロナ禍で若者・シニア支援者が増加

出典:READYFOR資料をもとに編集部作成

さらには、小谷さんによるとコロナ禍ではじめて支援をした人のうち、3~4割は継続して他のプロジェクトにも支援をするリピーターになったという。これまで若い世代ができる社会貢献といえばボランティアなど、現地に駆けつけて、時間と身体を使うのが一般的だった。それができないコロナ禍では、クラウドファンディングがそうした想いの行き先になっている側面もあるのかもしれない。

「クラウドファンディングは透明性が高く、誰がどういったことに困っていて、集めたお金を何に使うのかが明確です。支援者は集まった金額の経過を常にプロジェクトページ上で確認したり、支援した結果も活動報告を通じて知ったりすることができます。

たとえ少額であっても『自分のお金で少しでも何かできることがないか』という気持ちがある若者にとっては、想いやビジョンに共感してダイレクトな支援をする体験が心地良いものとなり、繰り返しの支援につながっているのではないでしょうか」

小さな支援の継続が未来を変え、社会課題の解決につながっていく

若い世代の支援が増えているとはいえ、支援が一過性になってしまえば社会課題の解決にはつながらない。社会課題に対する意識を途切れさせず、継続的な支援を増やすためには、「どんな未来になってほしいかを考えることが重要」だと小谷さんは話す。

「コロナ禍を含め、災害時にはピンチである現状を変えるためのプロジェクトが目立ちます。しかし、今後は『ピンチを乗り越えた先の未来をどうしたいか』という、実行者の未来に向けたメッセージを発信しながら課題を共有し、解決の糸口を探していくプロジェクトの在り方が必要だと感じています」

さらに小谷さんは、こう続ける。

「社会課題を自分ごととして取り組むためには、支援して良かったという体験の積み重ねが大切だと考えています。社会貢献と聞くとつい身構えてしまいがちですが、まずはクラウドファンディングに支援をしてみる、自分が支援したことで幸せになる、助かる人がいることを少しイメージしてみる、その先に自分の行動で未来は変えられる可能性があることをもっと感じていただきたいですね」

支援が必要だと考える人たちが多く集まれば、未来の環境を変えるための一歩が実践できる。一人一人が誰かを助ける行動は、自分の常識を変えたり、自分が賛同した考えを社会に広めたりする一歩になるはずだ。「社会や人のために何かをしたいけれど、何をすればいいかわからない」という人は、クラウドファンディングで興味があるプロジェクトを支援するところから始めてみるのも良いだろう。

【お話をお伺いした方】
小谷 なみ(こたに なみ)
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