2017.05.08 NEW
叱られているのにやる気が出る!? デキるリーダーの「叱り方の極意5カ条」
叱り方に悩む若手リーダー必見! しこりを残さず部下がどんどん成長していく上手な叱り方を紹介。
あの大経営者に叱られた部下はなぜ喜んだのか?
普通の人であれば、叱られたことは周囲に隠しておきたいものだろう。ところが、昭和の大経営者といわれる松下電器(現パナソニック)創業者、故・松下幸之助氏の部下たちは、叱られたことを誇らしげに周囲に話したという。
「策を持って叱らない」「命がけで叱る」「部下を期待しているから叱る」。これは幸之助の叱りの信念だ。3時間以上も懇々と叱り続けることもあったといわれている。しかし、命がけで叱られたら、叱られる方もたまったものではない。普通なら、逃げ出したくなるだろう。
叱る前に、与えるべきものがある
そこで大切なのが、幸之助の叱りには「部下への期待と信頼」があったということだ。幸之助は彼の責任において、思い切って部下に仕事をまかせるなど、期待と信頼を行動で表していた。
それが部下に伝わっていたからこそ、部下は叱られたことを自慢したのだろう。この、叱る前に「期待と信頼」を伝えることが大きなポイントとなる。
叱り方を知れば、上手く叱ることができる
しかし、そんな松下幸之助氏でさえ、「言葉が過ぎたかな、あの叱り方でよかったのかな」と思い悩んだという。読者の中にも、嫌われるのが怖くて、うまく部下を叱れないという人も多いだろう。しかし、ときにはリーダーとして部下を叱ることも求められる。
だが、自分がいかに期待や信頼を伝えていても、叱り方を間違えれば、部下にそっぽを向かれかねない。そこで、ぜひとも覚えておいて欲しい「叱り方の極意5カ条」を紹介したい。
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すぐ叱る
- 「後で」とか「タイミングを選んで」と先延ばしにせず、直ちにしかる。パッと叱ってその後は蒸し返さない。これは感情的なしこりをつくらないコツだ。
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1対1で叱れ
- 会議の最中など、人前でいきなり叱りはじめるのは最悪。「恥をかかされた」という感情につながり、後に尾を引きやすくなる。別室や廊下の隅、社外の喫茶店などに呼び出して、1対1で叱るべきだ。
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人格を否定しない
- 叱っているうちに興奮してしまい、相手の人格攻撃をはじめる人はリーダー失格だ。叱るときは、起きたことや結果、選んだものについてのみ批判し、その人自身をネガティブな言葉で傷つけてはならない。これがきちんとできれば、相手も叱っている意味を受け入れやすくなる。
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褒めることも忘れない
- 人を成長させるには、褒めることと叱ることの両方が必要だ。2叱ったら8褒めるくらいの気持ちを忘れないようにしよう。叱りと褒めのバランスは、シーンに合わせて使い分けるとよい。組織に適度な緊張感を持たせたいのなら「3叱り7褒め」、後々引きずらないようにするなら「褒める」の間に「叱る」をはさむ「3褒め2叱り3褒め」など工夫してみよう。
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常に公正さを意識せよ
- 「自分ばかり叱られている」と部下や後輩に思わせてはならない。部下に期待しているなら誰にでも同じ基準で接していることが明確に伝わるよう、「公正さ」を強く意識したい。
リーダーには、部下の行動に問題が見られた場合には、早急に修正する=叱ることで本来の目指すべき方向に導くことが求められる。
しかし忘れてはいけないのは、部下へ「期待や信頼を伝える」ことと「適切に叱る」ことの両立だ。これができれば、「あの人から叱られるとやる気がわいてくる」と言われるようなリーダーに近づくことができるだろう。
参考書籍
『人生心得帖/社員心得帖』著者: 松下幸之助
『ひとことの力: 松下幸之助の言葉』著者: 江口克彦
『松下幸之助 商売戦術三十ケ条』著者:板垣英憲
- 監修:藤田 聰(ふじた さとし)
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企業変革創造 代表取締役社長。日本IBM、PAOS等を経て、1997年、市場価値測定研究所を設立。日本生産性本部主任講師、早稲田大学招聘研究員、留学協会理事等を務めている。専門家ポータルサイトAllAboutの「キャリアプラン」および「リーダーシップ」オフィシャルガイド。市場価値測定の第一人者で、能力・キャリア開発のエキスパート。