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2018.11.12 NEW

【編集力特集:後編】心を揺さぶるアウトプットは、下準備と共感力で決まる!

【編集力特集:後編】心を揺さぶるアウトプットは、下準備と共感力で決まる!のイメージ

編集力は「相手を想う」ことで磨かれる! アウトプットを高めるための、実践的ノウハウを紹介。

前編では、メディア業界だけに必要だと思われがちな「編集力」が、実はビジネスパーソンにとっても不可欠な能力であることを紹介した。

前編のおさらいをすると、編集力とは、“正しく”情報を収集し、選択したうえで、それらを構成する一連の能力のことだ。そして、“正しく”行うためには、「誰に向けて発信するのか」「その相手はどんなニーズを持っているのか」「どんな目的を達成するために発信するのか」を明確にすることが必要だと示した。

後編では、今まで多くの人たちの「伝わらない」悩みを解消してきた山口拓朗さんに、「情報収集力・情報選択力・情報構成力」を鍛えるためのノウハウを聞いていく。

【情報収集力の鍛え方】情報は「9マスのシート」で集めろ!

アウトプットをするためには、まずはインプット(情報収集)をしなければならない。アウトプットがうまくいかない人は、実はこの情報収集の段階で既につまずいていることが少なくないという。

特に多いのが、アウトプットをイメージせずに情報収集をしてしまうパターンだ。漫然とした意識で情報収集を行うと、インプットが足りず、アウトプットの段階で情報が足りずに苦戦することになってしまう。

何かしらのレポートを作成する際に、まったく文字数が足りずに困るという経験をしたことが、誰しも一度はあるのではないだろうか。

そこで、情報収集不足を防ぐために山口さんが提唱しているのが、「9マス情報整理シート」の作成だ。

「9マス情報整理シート」は、縦3マス×横3マス、合計9マスのシートを用意し、中心のマスに情報収集の目的を書いたうえで、周りのマスにポイントとなる問いを書き込んで作成する。

映画のレビュー記事を作成する場合を例に紹介しよう。「映画のレビュー」というアウトプットを仕上げるためには、どのような情報があれば読者に喜んでもらえるのかを先にイメージして、実際に8つの問いを立てたのが下の図である。

図1:映画のレビュー記事を執筆する際に用意する9マス
図1 映画のレビュー記事を執筆する際に用意する9マス

「あらかじめ問いを立てておくだけで、鑑賞後に記憶に残る情報量が圧倒的に多くなります」と山口さん。

映画の鑑賞中に抱いた瞬間的な感情は、好きなシーンやセリフなどをアウトプットする際に必要となるものの、鑑賞後には思い出せないことが少なくない。しかし、あらかじめ問いを立てておくことで、こうした感情が記憶に定着しやすくなるというのだ。

また、事前に問いを立てておくことで、情報収集の抜け漏れを防ぐことができるというメリットもある。

「映画は観かえすことができるのでまだいい方です。たとえば、工場の視察報告書を作成する場合などには、そうはいきません」。確かに、報告書を作成する段階で「もう一度視察させてください」と言うことはできない。

以下は、工場視察を想定して作った「9マス情報シート」である。このように、着目すべき点をまとめておくと、視察しながら抜け漏れなく情報収集を行うことができる。

図2:問いのマスを埋めながら情報を収集する
図2 問いのマスを埋めながら情報を収集する

残念ながら、私たちの記憶は日々薄れていく。だからこそ、情報収集を仕組み化して、可能であれば情報整理をリアルタイムで行っていく必要がある。このような努力が編集力を鍛えるためには欠かせないのだ。

【情報選択力の鍛え方】相手のニーズをいかに読み解くか

情報を収集したら、集めた情報の中から本当に必要な情報を見極め、取捨選択をしなければならない。

山口さんは、「ここで大事なのは、集めた情報を相手のニーズに照らし合わせることです」と説く。そうすることで、自ずと必要な情報/不要な情報が見えてくるというのだ。

先の映画のレビューを例に考えてみよう。

記事の掲載先が一般向けの映画情報媒体の場合、「見どころ」や「ストーリーの魅力」など、映画自体の情報が重要になるだろう。相手(読者)は、その映画の基本情報を求めていると想定されるからだ。

一方で、30代男性に向けたライフスタイル系の媒体の1コーナーとして掲載されるのであれば、必要になるのはその映画が「人生にどう影響を与えるか」「誰に勧めたいか」など、生き方に踏み込んだ情報になるだろう。

このように、媒体の特性、つまり相手のニーズが把握できていれば、9マスの情報の中のどの情報を厚めにすればいいかを迷うことがなくなる。

では、どうすれば相手のニーズを把握することができるのだろうか。
いちばん早いのは、相手に直接ニーズを尋ねる方法だ。しかし、ビジネスの場においては直接尋ねることが難しい場合もあるだろう。

そこで大切になるのが、自己中心的な考えをやめて共感力を高めることだ。

「共感力」とは、相手の立場に立って想像する能力のことで、その相手と同じ行動をしてみたり、同じ場所に行ってみたりすることで、より磨かれていくという。たとえば、相手が学生の場合、実際に大学に足を運んでみる。こうして同じ目線で世界を見る経験を積むことで、想像力が強化され、共感力が養われていく。

「悩むより慣れろ」の精神で、頭で考えても分からないときには、足を使ってみることも一つの方法だ。

【情報構成力の鍛え方】相手が求める表現を考える

では最後に、構成力を高めるためには何をすればいいのかを考えてみよう。山口さんは、構成力も情報の選択と同様に、相手に“共感すること”によって高められるという。

相手がどの程度の知識を求めているか、どのような状況で読むのかによって、ふさわしい情報の構成は異なってくるからだ。

映画レビューの場合、掲載先が映画マニア向けの雑誌なら、写真や文章が豊富で、何ページもあり、情報が詰まっている方が読者は喜ぶ。一方で、ライフスタイル系の媒体なら、せいぜい求められる情報は1ページ程度。文字、写真、イラストなどバランス良く配置し、映画の世界観がパッと分かるような構成が喜ばれるだろう。

プレゼンなどの場合も同様だ。たとえば、数字的な裏付けを好む上司に対するプレゼンの場合には、裏付けの数字が一目でわかるような図表のスライドを用意するといいだろう。また、理性よりも感情で判断する上司の場合には、内容にストーリー性を持たせ、身振り手振りを用いて心を揺さぶる演説を行うというのも手だ。

すべては「相手を想う」ことから

以上、編集力に欠かせない、情報の「収集力・選択力・構成力」の鍛え方を紹介してきた。編集力は、つまるところ、相手のことを考えぬき、情報を届けるために創意工夫を凝らすことで磨かれるといえる。

編集の本質は、相手を想って情報を届けること。そしてこの本質は、どんなビジネスにも必要不可欠な考え方である。

編集力がビジネスに不可欠であるのは、「相手を想う」という本質を、あらゆるビジネスと根底で共有しているからなのかもしれない。

監修:山口 拓朗(やまぐち たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長/「伝わる+買わせる」文章の専門家/株式会社アップリンクス取締役
大学卒業後6年間、出版社で雑誌記者を務めたのち、2002年にフリーライターとして独立。文章を書くうえでのマインドと技法を徹底的に研究し、独自の文章メソッドを確立。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて「論理的に伝わる文章の書き方」「好意と信頼を獲得するメールの書き方」「売れる文章&コピーの作り方」「ファンを増やすブログ記事の書き方」などの実践的ノウハウを提供。広告コピーやセールスライティング、WEBライティングも多数手がける。
モットーは「伝わらない悲劇から抜けだそう!」。著書に『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』(日本実業出版社)『残念ながら、その文章では伝わりません』(大和書房/だいわ文庫)ほか10冊以上。

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