2017.08.31 NEW
80年代生まれは本を読む? 読まない? また、読書と年収の関係性は?
本を読む人、買う人が年々減少傾向にある昨今。日々の読書量が将来的な年収の差になるとしたら…。
書籍の購入費は単身世帯で年間8,447円まで減少!
「若者が本を読まなくなった」と言われるようになったのは、もう随分と前のこと。なにせ、いまでは良質なウェブメディアも多く登場し、書店で本を探さずともインターネットで検索すれば、必要な情報が手っ取り早く手に入るのだ。
総務省統計局による家計調査を見ても、単身世帯が書籍の購入に支出する金額は右肩下がり(図1)。アメリカなどに比べると、電子書籍の利用率も伸び悩み続けている。よく「出版不況」や「本が売れない時代」と言われるが、インターネットの普及などにより、若い世代を中心とした日本人の「読書に対する意識」が変化しているのは間違いないだろう。
出典:総務省統計局 家計調査年報(2016年)
とはいえ、若いビジネスパーソンの中にも一定数の読書家は存在する。例えばあなたの周囲にも、通勤鞄にいつもビジネス書をしのばせていたり、スマホにダウンロードした電子書籍をいつも通勤電車で読んでいたり。そんな同僚が少なからずいるのではないだろうか?
若手世代は「読む人と読まない人」の二極化が進む?
実際、エル・ボルデ世代の読書量はどのようになっているのだろうか?株式会社トゥ・ディファクトが運営するハイブリッド書店サービス「honto」が実施した調査によると、本や電子書籍を毎月1冊以上読んでいる人の割合は、20代と30代で56%。40代では62%という結果が出ている(図2)。全体的に見ると、若手世代よりも40代の方が読書をする機会は多いようだ。
しかし、「月に1冊以上の本を読む」と答えた人に「1日の平均読書時間」を聞いてみると、20代・30代の読書時間は40代のそれを上回る(図3)。20代・30代は、40代に比べて本を読んでいる人の割合こそ少ないが、1人当たりの読書時間は長い。つまり、「本を読む人と読まない人との読書量に大きな開きがある」のが、エル・ボルデ世代の特徴と言えそうだ。
出典:honto「読書についてのアンケート」をもとに編集部作成
全国の20歳~49歳の男女を対象にしたインターネット調査。男性の調査結果のみを引用・転載。2014年12月2日~12月4日に実施。
毎月の読書量に比例して年収はどんどん高くなる!?
「何かと忙しい世代だから、本を読む時間がないのは仕方がない」。そんな声も聞こえてきそうだが、ここで非常に興味深いデータを紹介しておこう。読書量と年収の関係だ。少し古いデータになるが、財団法人出版文化産業振興財団による調査では、1カ月に3冊以上の本を読む世帯の割合は平均で27.9%。その割合は世帯年収が上がるにつれて高くなり、「年収700万円以上」のゾーンで平均を大きく上回っている(図4-1、4-2)。
出典:財団法人出版文化産業振興財団(JPIC)「現代人の読書実態調査【成人調査】」をもとに編集部作成
全国の20代~60代の男女を対象にしたインターネット調査(有効回答1,550名)。2009年7月14日~7月16日に実施。
もちろん、いま同じ調査を行ったとして、まったく同じ結果が出るかは定かではない。しかし、ビジネスパーソンが「新たな営業メソッド」や「成功する思考法」、「語学の学習法」や「人生の道標となる名文」など、自らの武器となる知識や教養を増やそうとするなら、その道のプロが数百ページにわたってテーマを深く掘り下げた一冊の本を読むことは、極めて有効な方法なのかもしれない。
さらに言うなら、忙しいことを理由にせず、読書という“学習時間”をつくれるのは、時間をマネジメントする能力がある証拠でもある。そうした姿勢や資質が年収に影響を及ぼしたとしても、何ら不思議ではないと思うのだが、いかがだろうか。
同世代のビジネスパーソンに差をつけるために、いま誰もが手軽にできる方法のひとつが読書だとしたら。そして、毎月の読書量が年収に比例するとしたら…。あなたは月に何冊の本を読みますか?