2018.09.20 NEW
AIによる仕事の変化、実感してる? 80年代生まれがAIに抱く印象とは
数年後には技術の進化によって多くの仕事がコンピューターに代替される!? 話題のAIに対して、80年代生まれ世代が持つイメージや危機感は?
今後10~20年で約47%の仕事がAIに奪われる?
ここ数年で急速にビジネスパーソンの関心を集めている「AI」。AIとはArtificial Intelligenceの略語で、日本語に訳すと「人工知能」。実はAIに明確な定義はないが、経済産業省が発表しているガイドラインでは、AI技術について「人間の行い得る知的活動をコンピューター等に行わせる一連のソフトウェア技術の総称」と説明されている。
最近ではAI技術もどんどん進化し、スマートフォンに搭載される音声アシスタントをはじめ、我々の日常生活においてもAIの活用がじわじわと進んでいる。そんなAIに「多くの仕事が奪われる!?」と人々に衝撃を与えたのが、英国の研究者らが2013年に発表した一本の論文だった。
AI技術の発展や普及によって、従来の雇用がどう変化していくのかを分析したこの論文で、研究者らは「今後の10~20年程度で、米国の職種の約47%が自動化される可能性が高い」と分析。
仕事が自動化されるということは、つまり人の仕事がAIに代替されてしまうということ。その内容は日本でも多くのメディアで伝えられたので、「自分の職業はどうなる…」と、危機感を持って記事を読んだ人も多いだろう。
AIの認知率は、若手と年配者で違うのか?
とはいえ実際のところ、現在の80年代生まれ世代のビジネスパーソンは、AIに対してどのようなイメージを持っているのだろうか。
日本労働組合総連合会が全国の20歳以上の働く男女1,000名を対象に実施したAIに関する調査によると、「AIの意味をよく知っている」という人は20代で37.3%、30代では30.4%。「AIという言葉自体は聞いたことがある」という人は20代で51.6%、30代で57.4%となっている(図1)。
対して、対象者全体では、「意味をよく知っている」人が31.5%、「言葉自体は聞いたことがある」という人は57.8%となっており、世代によるAIの認知率は大きく変わらないことがわかる(図1)。
出典:日本労働組合総連合会「AI(人工知能)が職場にもたらす影響に関する調査」から編集部作成
※全国の20歳以上の働く男女1,000人を対象にしたインターネット調査。2017年12月15日〜12月19日に実施。各構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%にならないことがあります。
若い世代のAIに関するイメージとは? 仕事への影響は?
また、同じ調査で「AIのイメージ」を聞いたところ、「記憶力や情報量が多い」「ミスが少なく正確な判断ができる」「複数の事象を把握・対応することができる」「経験にもとづいた対応ができる」といったAIの有用性を多くの人が認めている一方で、それぞれの項目で20代・30代のポイントが40代以上に比べて低くなっている(図2)。
図2:AIのイメージは?
全体 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|
記憶力や情報量が多い | 76.8 | 71.9 | 70.6 | 77.0 | 79.6 | 84.2 |
ミスが少なく 正確な判断ができる |
67.5 | 60.1 | 62.2 | 67.1 | 67.1 | 80.0 |
複数の事象を 把握・対応できる |
64.2 | 53.6 | 56.3 | 65.1 | 69.6 | 74.2 |
経験にもとづいた 対応できる |
61.4 | 53.6 | 54.0 | 64.7 | 65.2 | 67.3 |
動作や瞬発力が速い | 48.0 | 43.1 | 43.6 | 49.6 | 49.3 | 53.1 |
さまざまな環境の変化に 順応できる |
47.8 | 38.0 | 44.6 | 47.6 | 51.2 | 55.8 |
相手の意図を汲み取り、 臨機応変な対応ができる |
38.8 | 35.3 | 30.4 | 40.5 | 37.9 | 49.5 |
抽象的な概念から 具体的な物体を作るなど 創造性がある |
34.3 | 35.9 | 28.9 | 32.5 | 33.4 | 42.1 |
(単位 : %)
出典:日本労働組合総連合会「AI(人工知能)が職場にもたらす影響に関する調査」
※全国の20歳以上の働く男女1,000人を対象にしたインターネット調査。2017年12月15日〜12月19日に実施。各年代の回答者数は、全体が1,000人、20代が153人、30代が204人、40代が252人、50代が201人、60代以上が190人。『あてはまる」(「あてはまる」+「ややあてはまる」の合計)の割合を表示。
同じく日本労働組合総連合会の調査で、「職場でAIの導入・活用が進み仕事に影響が出るのはいつ頃だと思うか」を聞いたところ、全年代にわたって40%以上が「自分が働いている間は影響がない」と答えている。(図3)。これからの残りの人生で、働く期間が相対的に長くなる若い世代でも、他の世代と同じように「自分が働いている間は影響がない」と考えている人が多いのは、意外に思われた方も多かったかもしれない。
出典:日本労働組合総連合会「AI(人工知能)が職場にもたらす影響に関する調査」
※全国の20歳以上の働く男女1,000人を対象にしたインターネット調査。2017年12月15日〜12月19日に実施。各年代の回答者数は、20代が153人、30代が204人、40代が252人、50代が201人、60代が190人。
これら「AIにできること」と「AIが自分の仕事に影響を与えること」の2つの調査結果を見ると、若い世代はAI万能論やAI脅威論といった短絡的なものの見方をせず、AIに対して冷静な見方をしているのかもしれない。
あなたはAIを学びたい? それとも学びたくない?
また、難関資格対策や大学受験対策などのオンライン講座を運営する株式会社フォーサイトが2018年に実施した調査を見ると、「10年後には多くの産業でAI活用が当たり前になる」と考えている20代は77.9%、30代は73.6%にもなる。(図4)。
図4:10年後(2028年)には、多くの産業でAI活用が当たり前になるか?
実現する | 実現しない | |
---|---|---|
全体 | 74.3 | 25.7 |
20~29歳 | 77.9 | 22.1 |
30~39歳 | 73.6 | 26.4 |
40~49歳 | 71.3 | 28.7 |
(単位 : %)
出典:株式会社フォーサイト「10年後のAI、現在のAIに関するアンケート調査」
※全国の20代〜40代の男女1,442人を対象にしたインターネット調査。2018年4月2日〜4月3日に実施。各年代の回答者数は、全体が1,442人、20~29歳が480人、30~39歳が481人、40~49歳が481人。
一方、同じ調査で「実際にAIの勉強をしたいと思いますか?」と聞いたところ、勉強したい(「かなり勉強したい」「多少勉強したい」の合計)と回答した人は20代で48.1%、30代で42.6%となっており、80年代生まれ世代のAIに対する学習意欲が二分していることがわかる(図5)。
図5:AIについて勉強したい?
かなり勉強したい | 多少勉強したい | あまり勉強したくない | 全く勉強したくない | |
---|---|---|---|---|
全体 | 11.2 | 33.1 | 37.1 | 18.7 |
20~29歳 | 15.2 | 32.9 | 32.7 | 19.2 |
30~39歳 | 11.4 | 31.2 | 39.5 | 17.9 |
40~49歳 | 6.9 | 35.1 | 39.1 | 18.9 |
全体 | 20〜29歳 | 30〜39歳 | 40〜49歳 | |
---|---|---|---|---|
かなり勉強したい | 11.2 | 15.2 | 11.4 | 6.9 |
多少勉強したい | 33.1 | 32.9 | 31.2 | 35.1 |
あまり勉強したくない | 37.1 | 32.7 | 39.5 | 39.1 |
全く勉強したくない | 18.7 | 19.2 | 17.9 | 18.9 |
(単位 : %)
出典:株式会社フォーサイト「10年後のAI、現在のAIに関するアンケート調査」
※全国の20代〜40代の男女1,442人を対象にしたインターネット調査。2018年4月2日〜4月3日に実施。各年代の回答者数は、全体が1,442人、20~29歳が480人、30~39歳が481人、40~49歳が481人。
もちろん、AI技術の導入が先行する業種やそうでない業種など、働く職場の状況によってもAIに対する意識には差が出るだろう。とはいえ、私たちの日常生活や仕事がAIの普及で今後大きく変化していくことは、もはや想像に難くない。そんな未来に向けて、いまから少しでもAIについての知識を学んでおくことは、若手ビジネスパーソンにとって有効な一手となるのではないだろうか。