2018.02.26 NEW
つまらない日本の夜が大きく変わる? ナイトタイムエコノミーで未来はどうなる?
官民が一体となって推進する日本の“夜遊び改革”。ナイトタイムエコノミーで、日本のビジネスパーソンの夜の過ごし方も大きく変わるかも?
最近、話題のナイトタイムエコノミーとは?
観光庁の発表によると、2017年度の訪日外国人客数は前年比19.3%増の2,869万人で過去最高。外国人旅行者の消費総額も、前年比17.8%増の4兆4,161億円と初めて4兆円を突破した。
こうしたインバウンド消費のさらなる伸長を目指し、日本政府は「2020年には外国人旅行者を年間4,000万人、外国人旅行者の消費額を8兆円に増やす」という大目標を設定。とはいえ、そこでネックとなるのが、外国人旅行者たちの消費額、つまりは彼らが日本での滞在中に使う“お金”だ。
冒頭で触れた観光庁の最新の発表によれば、2017年の外国人旅行者一人当たりの旅行支出は15万3,921円。前年比では1.3%減と、2年連続での減少という結果となっている。
日本に来る外国人旅行者が年々増えるのは良いことだが、当然ながら彼らがお金を使ってくれないと日本の経済は潤わない…。そこで注目されているのがナイトタイムエコノミー。直訳すれば「夜間経済」、つまりは日没から翌朝までに営まれる経済活動のことで、カンタンに言えば「夜遊びが喚起する消費」のことである。
外国人から見ると日本の夜はつまらない?
海外の知り合いが多い人ならば、日本を訪れるアメリカ人やヨーロッパの人たちから、「日本の夜はつまらない」という話を一度くらいは聞いたことがあるかもしれない。
例えばニューヨークの地下鉄は24時間運行で、朝まで営業している飲食店やライブハウスも数多い。ドイツのベルリンでも週末は24時間地下鉄が走り、イギリスのロンドンでも2016年からは地下鉄の終夜運行を実施。これらの都市では、酒に食に音楽などの芸術にと“夜遊びコンテンツ”も充実し、平日深夜の街でも多くの外国人旅行者がナイトライフを楽しむ姿を見ることができる。
対して、日本の東京をはじめとする都市部では、終電は遅い線でも午前1時頃。朝まで営業しているお店も、限られた居酒屋やバーにファストフード店くらい。2016年の風営法改正で条件を満たしたクラブなどでの終夜営業(午前5時まで)は認められたものの、そもそも外国人旅行者が夜遊びできる“場”が、ニューヨークなどに比べて圧倒的に不足しているのだ。
こうした“日本の夜”の課題を解決するために、2017年には時間市場創出推進(ナイトタイムエコノミー)議員連盟が発足。12月には、地下鉄やバスの終夜運行の検討をはじめ、自治体と事業団体、国をネットワーク化してナイトタイムエコノミー施策を進めるための官民組織「24 hour Japan推進協議会(仮称)」の設立、海外の夜遊び先進国で成功しているナイトメイヤー(夜の市長)や、安全に夜遊びできる地域に国がお墨付きを与えるパープルフラッグ制度の、日本導入に向けたガイドライン作成などを盛り込んだ中間提言を発表した。
また、同提言では、月曜日を午前休とするラグジュアリーマンデー制度も提案。外国人旅行者だけでなく、日本人の夜遊びも加速させる狙いだ。
国が本気で夜遊びを推進!? それなら上手に遊んじゃおう!
もちろん現在でも、日本に夜遊びコンテンツがまったくないわけではない。例えば、ここ数年で若い世代を中心にブームとなっているナイトプールなら、21時か22時まで遊ぶことができる。六本木の森美術館も火曜日以外は22時まで開館しているし、六本木ヒルズの展望台「東京シティビュー」も金・土曜は1時まで営業している。
とはいえ、深夜まで遊ぶといってもやはり終電の時間は気になるし、平日なら「始発まで」となると翌日の仕事への影響が気になるところ。だから日本のビジネスパーソンの夜は、仕事帰りにいつもの居酒屋で同僚たちとサクッと憂さ晴らし…という流れになりがちだ。
先に紹介した「24 hour Japan 推進協議会」によれば、今年2018年を目処に、様々なナイトタイムエコノミー施策の実証実験をモデルエリアで開始するという。
地下鉄をはじめとする公共機関が終夜運行し、深夜から朝まで遊べる“場”が増えれば、もちろん外国人旅行者だけでなく日本人の夜遊びも変わるはず。
仕事帰りに夜公演のミュージカルやライブを鑑賞し、その後は終電を気にせず洒落た店で食事や酒をゆったりと楽しむ。ニューヨークあたりで見られるそんな夜の風景が、近い未来には日本の東京などでも当たり前に…。
仕事もプライベートもできるビジネスパーソンを目指すなら、いまから「夜遊びスキル」も磨いておいた方がよさそうだ。