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2020.05.07 NEWエッジな視点

自らチャンスを掴むために――企業に残りながらできる「越境」の成功例

自らチャンスを掴むために――企業に残りながらできる「越境」の成功例のイメージ

新たなテクノロジーの登場や働き方の多様化などによって、人材の流動性がより高まりつつある昨今。上の裁量権が大きいと言われるような大企業に所属するビジネスパーソンのなかにも、「自らのスキルアップやキャリア形成を会社任せにせず、自分自身でチャンスを掴む必要がある」と考える人は増えている。

とはいえ、「自分を成長させるために、どのようなアクションを起こせばいいのかわからない」という人も多いだろう。そこでヒントになるのが、いま大企業の若手社員たちが体現する「越境」というアクションだ。

「越境」とは文字通り、自らが所属する部署や会社といった組織を越えて、より広い範囲の人々と交流を図ること。近年はその動きを助長する団体が続々と登場し始めている。

その好例のひとつが、NECの若手メンバーが2016年に立ち上げた社内有志活動団体「CONNECT(コネクト)」だ。今回は「CONNECT」の共同代表を務める諸藤洋明(もろふじ ひろあき)さんと松葉明日華(まつば あすか)さんに、「どのような活動をしているのか」「越境のメリットはなにか」などの概要について詳しく伺った。

3人の「越境」が、グループ全社を巻き込む活動に

現在「CONNECT」は社内でコミュニティを運営し、数百名規模を巻き込む活動となっているが、発起人の1人である諸藤さんによれば、立ち上げ時はたった3人からのスタートだったという。事の始まりは何だったのか?

「2016年の発足当時、私たちは30代前半で、社会人になって10年目を迎えようとしているところ。学生時代とは違い、自分の専門領域の知識やスキルは高まってはいるものの、視野や人脈が、部署や専門分野に限られているという閉塞感があった。

ちょうどそういった不安を感じていた頃に、大企業の若手有志団体である『ONE JAPAN』の存在を知り、その活動に刺激を受けて、社内の有志で立ち上げたのが『CONNECT』誕生のキッカケでした」(諸藤さん)

そんな「CONNECT」の活動は、ディスカッション形式のイベントから始まった。2017年1月に開催された「CONNECT×Passion」と題した第1弾イベントに集ったのは、彼らと同世代の若手社員24人。以降、「SDGs」「TECH」「新入社員」など、さまざまなテーマでイベントを開催。はじめのうちは少人数の有志でひっそりと行っていた活動だったが、何度かイベントを行ううちに社内でも知られるようになり、数カ月後には社内表彰の対象になったという。

上役や経営陣からの評価も追い風となり、運営のコアメンバーは10人まで増えた。これまで開催したイベントは50回以上、延べ1,000名以上の社員が参加している。

越境は個人の「やりたいこと」を加速させる

着実に母数を増やしている「CONNECT」だが、活動のコンセプトは発足当時から変わらないのだという。

「当時もいまも変わらず、“やりたいことを加速する”というのが活動のコンセプトです。イベントのテーマは『CONNECT』を運営するコアメンバーが設定することもあれば、社員から『やりたい』という声が挙がれば私たちがサポートします。

『CONNECT』には“人と知を繋ぐプラットフォーム”というキャッチコピーがありますが、そのコピーのとおり、グループ全社から参加したい人が集まってきて、部門や共通の興味ごとに活動するような多様性のある組織になりました」(諸藤さん)

イベントから始まった活動だが、現在は加えて、社内SNSを使ったオンラインコミュニティも活動の主軸になっているという。

オンラインコミュニティでは現時点で約800名が部署などの壁を越えてつながっているため、メンバーが何かを投稿すると即座に誰かから反応が返ってくる。投稿内容は、ともに活動する仲間の募集や、仕事で出た課題の相談、情報やノウハウの共有とさまざまだ。このような社内の自由な情報発信や交流が、個人の「やりたいこと」を加速させるのだという。

「現場で直面した課題について自分でイチから勉強する姿勢は大切ですが、技術や知識を持つ人に助けてもらった方が、当然ながら『やりたいこと』を速く実現することができます。

たとえば、『これを手早く集計する方法がないか』と投稿したら、『このプログラムを動かしてみたら?』と教えてもらえる。従来なら自分1人でイチからプログラミングの勉強をして数カ月かかるところを、1つ投稿するだけで解決できた。個人的にもそんな経験をして、他の人の知識や技術を利用する大切さを痛感しました」(諸藤さん)

NECグループのように数万人の社員を抱える規模の大きな大企業や組織は、どうしてもスピード感がないと言われることが多い。しかし、現場にいる社員が主体となって、ボトムアップで意見を交流できる場が上手く機能すれば、その巨大な規模はとたんに大きな可能性を秘めたものになる。

そもそも10万人の社員がいる当社には、10万種類のCAN(できる)とWILL(やりたい)がある。そうした人たちが、それぞれに『やりたいこと』の旗を立てられるような組織の壁を越えた場をつくれば、あとは人と知をつなげるだけで、『やりたい』から『やってみる』までの道のりは圧倒的に短縮することができます。それこそが横のつながりを強化する『CONNECT』のようなコミュニティのメリットであり、ポテンシャルを秘めている部分だと思っています」(諸藤さん)

まず越境してみることで「巻き込み力」をつける

とはいえ、そもそも「やりたいことが見つからない」という人もいるだろう。上司に言われたミッションをこなしているだけなら、「何をやりたいか」を考える間もなく、「仕事だからやっている」という部分はどうしても大きくなる。しかし、「自分が何をやりたいか。それを見つけるためにもまずは自分の枠の外にでること。つまり越境することは有効です」と諸藤さんは語る。

「自分もそうでしたが、多くの人はやりたいことなんて明確でないのでなかなか動けません。でも天啓のように『やりたい』が降りてくることはないですよね。やりたいことが見つかってから時間をつくって外に出るのではなく、まず外に出ることが大切です

たとえば私は専門技術職なのですが、技術書だけを読み、同じ部署の人とだけ付き合っていても決してやりたいことは見つからない。自分の枠を広げて色んな本を読み、色んな人と出会うことで、だんだんとやりたいことが見えてくるんです」(諸藤さん)

さらには、部署などの枠を越える「越境」というアクションを起こすことで大きくなるのが「巻き込み力」の半径だ。

「以前は『やりたい』と思っても上司や同僚くらいしか巻き込めなかったのが、いまでは会社のすべての人を巻き込める。さらには社内に限ったことではなく、活動を通じて社内外に仲間が増え、巻き込める人の半径はどんどん大きくなっています。時には業界で一番詳しい人に話を聞きに行ったりすることもあるので、外に出ることへの抵抗感や緊張感はなくなっていくんです」(諸藤さん)

加えて、そうした行動力を社内で示すことができれば、「個人としても周囲からの信用が集まり、応援してもらいやすくなる」と諸藤さんは言う。活動の範囲が社外に及ぶことがあったとして、それも社内で活かせる資源を増やすことにつながるのだ。

組織に残りながら組織に縛られないための「越境」というアクション

また、部署などの壁を越境するコミュニティである『CONNECT』が、「社内の“サードプレイス”としても機能する」と話すのは、インドネシアでの留職プログラムなどを経て活動に参加した松葉さんだ。

※留職プログラム:新興国の現地NPO団体へ社員を派遣し、本業で培ったスキル、経験などを活かして、社会課題の解決に取り組む企業向けの研修プログラムのことをいう。多くの企業が注目し、導入している。

「私はもともと研究職で、いまは社内で新規事業をつくるビジネスイノベーションユニットという部署に所属しています。会社にいると自分にとって苦手な仕事がまわってくることもありますが、そうしたときも『CONNECT』の活動をモチベーションにして頑張れたり、そこから自分の仕事へのヒントが見えたりするのはありがたい。

私の場合は、『CONNECT』の活動を通じてやりたいことを見つけたので、思い切って上司に相談して現在の部署に異動させてもらいました」(松葉さん)

自分が所属する部署などの組織を「越境」することによって、いつも見ている場所とは違った視点からヒントを得たり、自分の考えを整理したりすることができる。そんな『CONNECT』のような社内コミュニティは、一歩だけ離れたところから、いまの自分の仕事の現状をじっくり考える機会を与えてくれるような居場所にもなりうる。

「そんな風に、仕事で追い込まれている自分をもうひとつの場所からメタ的な視点で見たり、コミュニティを通じて自分がやりたいことができそうな部署を探したり……さらには社内で仲間を募って、新しい組織をつくるということも視野に入れることができます。

つまり『CONNECT』のコミュニティやそこでのヒントを活用できるから自身の仕事も頑張れる。『苦手な仕事だからできない』ではなく、それを『CONNECT』などの枠外活動を通じて乗り越えるという選択肢が増える部分もあると思います」(松葉さん)

NECグループのように10万人規模とまではいかずとも、社員の数だけCANとWILLがあるのはどのような組織でも同じこと。スピードが重視される現代において、「やりたい」と「やってみる」までの距離を近づけるために、これまでにとらわれていた組織の枠から越境し、より多くの人と知を利用する力はこれからますます必要性を増していくだろう。

いきなり大きなイベントを開くのは難しくても、まずは普段はあまりコミュニケーションを取らない他部署の同世代たちと、ざっくばらんな飲み会を開いてみるなど、本人次第で「越境」はそうした身近なところからでも始めることができる。いまの仕事に閉塞感を感じていたり、モチベーションが上がらないという人は、ぜひ身近なところから「越境」のアクションを起こしてみてはいかがだろうか。

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