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ヘルステック業界の未来予想図―LINEヘルスケアが実現を目指すビジョンとは?

ヘルステック業界の未来予想図―LINEヘルスケアが実現を目指すビジョンとは?のイメージ

従来の金融業界の枠組みを大きく変えてしまうほどのインパクトを見せるフィンテックをはじめ、既存のビジネスに最新のテクノロジーを用いて革新的なサービスを創造するクロステック(X-Tech)。間違いなく今後のビジネスにも大きな影響を与えるだろうこのトレンドにおいて、いま特に注目を集めているのが“医療×テクノロジー”を掛け合わせたヘルステックだ。

なかでも今年2020年、日本において最も注目を集めた企業のひとつに、コミュニケーションアプリ「LINE」を使った医師へのオンライン健康相談サービスを提供するLINEヘルスケア株式会社がある。

「あまり一般的ではなかった健康相談という概念自体を認知させるのが大変だと思っていましたが、認知度・利用率ともに新型コロナウイルス流行前と比較すると大きく伸びているのを肌で感じています」

そう語るのは、同社の事業企画室室長を務める角山翔大(つのやま しょうだい)さん。同社サービスの現在地とヘルステックの未来について聞いた。

2020年にヘルステック業界が急成長した背景

そもそもなぜヘルステックがいま注目されているのか? ひとつには2018年5月11日より、次世代医療基盤法(医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律)が施行されたことが影響している。これによって、いわゆる医療ビッグデータを研究開発などへ利活用できる道が開かれることになった。つまり、2018年からヘルステックの普及に向けた基盤整備が徐々にではあるが、本格的に進んでいたのだ。

そうしたなかで、2020年の2月に新型コロナウイルスのパンデミックが発生。医療機関や医療者への感染拡大が危惧されることから、3月には経済産業省が各社に委託する形で遠隔健康医療相談の支援事業をスタートした。

そのうちの一社に採択されたのが、LINEヘルスケア株式会社である。同社は新たにおこなわれた公募でも引き続き採択され、5月以降の「一般の方が抱える健康不安に医師が24時間でチャットによる相談に対応する窓口」として選ばれた。6月26日には経済産業省による支援事業実施期間の延長も決定し、LINEヘルスケア株式会社が提供するオンライン健康相談サービスは、8月31日まで無償提供される。

成長中の「LINEヘルスケア」

2019年の1月に設立したLINEヘルスケアは『24時間365日、医師に相談できる』オンライン健康相談サービスで、2019年12月にAndroid版を、2020年1月にはiOS版をローンチしていた。

対応診療科は内科・小児科・産婦人科・整形外科・皮膚科・耳鼻咽喉科となっており、医師とマッチング出来次第、チャット形式で医師に30分相談ができる「いますぐ相談する」と、テキストで回答を受け取れる「あとから回答をもらう」の2種類の利用方法がある。角山さんはサービスの使用感を、「友人やご家族とLINEでコミュニケーションを取るように、自分の体調不良や慢性的な疾患の悩みなどを気軽に医師に相談し、1対1のトークで相談者の状況にあった回答を得られるというサービスです」と説明する。

「すでにLINEヘルスケア公式アカウントの友だち数は570万人を超える規模となり(7月3日時点)、新型コロナウイルスの影響もあって、相談件数は新型コロナウイルス感染拡大前よりも飛躍的に増えています。また、登録済みの医師が約2,000名、審査を経てサービスでご対応いただいている医師は500名以上と、利用者の需要の高まりに合わせてサービスを提供する体制も強化されはじめています」

相談件数自体はローンチから数カ月後の2月時点でも、前月比の40倍まで増加。健康相談サービスの伸び率は順風そのものだが、角山さんによると同社は2019年1月の設立時より「将来的には、オンライン診療をコアとし、健康管理から相談・診療から服薬までワンストップでサービスを提供していきたい」というビジョンを掲げているのだという。情報提供までが健康相談で、診療行為からはオンライン診療という建て付けになる。

「当初の予定では、法規制の兼ね合いもあり我々がオンライン診療に正式参入できるまでに、早くても2年、長くて6年以上の時間がかかると考えていました。オンライン健康相談サービスは、実はそこに向けたファーストプロダクトとして立ち上げたものなのです」と角山さんは話す。

それというのも日本では2018年にオンライン診療の報酬改定がされたが、初診では対面診療が原則とされるなど制限が多かったため、オンライン診療の普及には時間がかかると考えられていた。しかし、コロナ騒動を受け、2020年の4月には時限的に初診でもオンライン診療が解禁になるなど、規定が大きく緩和された。日本におけるオンライン診療の普及実現は、予期しなかった新型コロナウイルスの影響で急加速することになったのだ。

「オンライン健康相談という事業自体に賛同してサービスに参加していただいている医師も多いですし、引き続きオンライン健康相談については、ユーザーの病院に行くほどではないが相談したいという需要や、ウィズコロナの時代にも必要となる病院側のトリアージ的な需要を満たすべく、今後もサービスを充実させていこうと考えています。

一方でそれと同時にオンライン診療についても、参入できるよう準備を進めているところです」

角山さんによれば、オンライン診療サービスのローンチは当初の目標から大幅に早い時期を目指して、準備を進めている段階だという。すでに医師たちの「すぐにでもオンライン診療がしたい」という声を受け、既存の「LINE」アプリを使ってビデオ通話でオンライン診療をするためのガイドラインなどを医療機関に向けて提供している。

オンラインとオフラインを融合した医療サービスへ

同社が目指すサービス提供が実現した先に、私たちの日常生活にはどれほどのインパクトがあるのか。まず注目したいのは、同社のサービス基盤となっている企業の存在だ。

「弊社は約8,400万のユーザーがいるアプリを持つLINE株式会社と、全国の医師のうち9割以上に相当する約28万人の医師会員を抱える医療ポータルサイトの運営元であるエムスリー株式会社の共同出資により立ち上がりました。これがまず大前提にあります」

両社とも保有するユーザーの母体が大きいことはもちろん、後者はAIの画像診断や電子カルテなど、さまざまなソリューションを持っているため、そのアセットを活用できる可能性があるのだ。さらに角山さんは、「いま当社が注力しているのはオンライン健康相談と、次なるステップとしてのオンライン診療ですが、それだけを実現したいわけではありません」と前置きしたうえで、次のように語る。

「たとえオンライン診療が普及しても、処方や薬を受け取るために薬局に行かなければいけないのでは時間的にもあまり意味がない。私たちが将来的に実現したいと思っていることは、医療相談や治療に加え、薬剤師による処方や服薬指導、医薬品の自宅への配送やお薬手帳での服薬管理、さらには病気が治ってからの日々の健康管理やデイリーケアまでを行うこと。患者であるユーザーのカスタマージャーニーをオフラインと融合しながら、オンラインの強みを活かしてサービスを提供していきたいと考えています。

そのためには製薬からロジスティクスまで、業種の枠を超えたあらゆる企業とのさらなる連携も考えられます」

オフラインの病院や薬局と連携を図りながら、オンラインで効率化を図れる部分は、より広い業種を巻き込んでいくことで、ユーザーにとってより利便性の高いサービスを提供していく。

「単純にオンラインにすべて置き換えるのは難しいですし、我々もそれを望んではいません。検査など対面診療が必要な場合は適切に病院に繋げるなど、オフラインの医療機関との連携を大切にし、補完関係になっていくだろうと考えています。

つまり我々は、既存の対面診療と対立するものではなく融合する新たな選択肢として、オンライン診療を選ぶことができる未来を実現したいのです」

このような未来が実現すれば、普段から使用しているアプリを使って、場所や時間を選ばず医師や病院と繋がることができる。これからのヘルステックサービスは、小さな子どもがいる家庭などの助けになることはもちろん、高齢化や医療格差、医師不足の問題など、日本の医療が抱える数々の問題を根本から解決するかもしれない。

日中忙しいビジネスパーソンなら、まずはオンラインで診療を。それが当たり前の日常になる世界がすぐ近くまで来ている。

※「LINE」はLINE株式会社の商標または登録商標です。
※「Android」 は Google LLC の商標です。
※iOS商標は、米国Ciscoのライセンスに基づき使用されています。

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