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「ローンと信用」の基礎知識 第1回 信用ってなに?

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クレジットカードでものを買ったり、家を借りたり、またはローンを組んで車や家を買った経験があるという方も多いのではないでしょうか。このようにクレジットカードを作ったり、ローンを組めたりするのは、実は皆さんに「信用」があるからなのです。今回は「お金に関わる信用」について解説していきます。

そもそも信用とは?

そもそも「信用」とはどのようなものでしょうか?信用という言葉のイメージとして「ルールや約束を守ること」などが思い浮かびます。

それでは、お金に関する「信用」とは、何を意味するのでしょうか?簡単に言うと、「その人にどれくらい返済能力があるか?」です。審査基準は明らかにされていませんが、返済能力に関係する、年齢や職業、年収、借り入れと返済の状況などにより判断されるといわれています。

「信用が高い」と判断されると、金融機関などから融資を受けるのが容易になり、低金利で融資を受けられるケースもあります。

逆に、信用が低い場合、融資を受けることが難しかったり、融資を受ける際に高い金利を課されたりすることがあります。将来ローンを組まなければいけなくなったとき、必要な金額を借りたり、低い金利で借りたりするためにも、信用は非常に重要です。

また、信用は変化します。普段の生活で人との約束を破れば、相手の信用を失ってしまうように、お金を借りる際の信用も約束を破る、つまり返済が遅れると信用を失い、約束通り返済できれば信用は増すものです。信用を維持・向上することは、将来にわたり安定した生活を送るためにも必須です。

信用の重要性

家や車など、現在手持ちのお金だけではまかなえないような大きな買い物をするとき、ローンを活用することもあるでしょう。ローンとは、銀行などの金融機関からお金を借りて、あとから少しずつ返していく仕組みのことです。ローンを借り入れる際に信用は非常に重要な要素となります。具体的には、次に挙げる要素に影響を与えます。

融資の承認

金融機関等は、借りる人が借りたお金を返済できるかどうかを判断するために信用情報を評価します。良い信用を持つ借り手は、融資の承認が得られやすくなります。逆に、信用が低いと融資の承認が難しくなったり、金利が高くなったりすることがあります。

金利の決定

信用が高い人は、低金利で融資を受けることができます。これは貸し手が返済できなくなるリスクを低く見積もるためです。一方で、信用が低い場合、貸し手は返済できなくなるリスクが高いと見なすため、高金利が課される可能性があります。

融資額の決定

信用は融資額の決定にも影響を与えます。信用が高いと、より大きな融資を受けることができる可能性が高まります。逆に、信用が低い場合、融資額が制限されることがあります。

返済条件の改善

信用が高い借り手は、金融機関が返済条件や返済スケジュールを柔軟にしてくれることもあります。これは、信頼性が高いと見なされているため、貸し手との交渉もしやすくなっているためです。

このように信用は、お金を借りるときの条件にも影響します。良い信用を維持することは、将来の融資の取得や金融的な柔軟性を確保する上でとても大切なのです。期日どおりに返済していくなど、しっかりと金融機関との約束を守ることは、これらを実現するための一環となります。

あなたの信用はチェックされていますか?

それでは、あなたがローンを組もうとしたとき、あなたの信用はどのように確認されているのでしょうか?現在日本には、個人の信用情報を保管・管理している、JICC(日本信用情報機構)、CIC(株式会社シー・アイ・シー)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)という3つの機関があります。これらは、指定信用情報機関と言われています。信用情報機関とは、貸金業法で定められた一定の要件を満たし、割賦販売法や貸金業法における信用情報提供等業務を行う者として内閣総理大臣の指定を受けた信用情報機関のことです。

例えば、あなたがクレジットカードを使ったり、ローンを使用したりしたときには、その情報が信用情報機関に提供され、一定期間蓄積されます。

また、新たにクレジットカードを作る時や、ローンを組むときなどは、金融機関は信用情報機関に照会をかけ、あなたの信用を確認します。また、この3つの機関は相互に情報を共有しており、信用情報は常に管理されているのです。実際、1年間の信用情報機関への照会件数は計4億7,054万件(注1)にも及びます。

※注1:2022年度JICC、CIC、KSCの合計
株式会社日本情報信用機構「統計情報(2022年度)」
株式会社シー・アイ・シー「信用情報統計データ(2022年度)」
全国銀行個人信用情報センター「各種データ」

信用が与える影響

実は個人の信用は、生活や経済にも様々な影響を与えます。いくつかその例を見ていきましょう。

個人への影響

住宅ローンや自動車ローンの取得
身近なものでは、住宅ローンや自動車ローンが挙げられます。このような大きな買い物にはローンを組むことが多いです。これらのローンは通常、長期間にわたり大きな金額を含むため、信用に非常に影響を与えます。信用が高い場合、これらのローンの借り入れできる額が大きくなり、住宅や自動車を取得しやすくなります。

住居の賃貸
賃貸住宅を借りる際にも、個人の信用情報を確認することがあります。信用が高いと、借りる際に有利になって、賃貸住宅の選択肢も広がり、自身にとってより快適な暮らしが実現できます。

融資の可否と金利
個人の信用が高いほど、金融機関や貸し手からの融資が得やすくなります。また、良好な信用を有する個人は低い金利で融資を受けることができます。逆に、信用が低い場合は融資を受けるのが難しくなったり、高い金利が適用されたりする可能性があります。

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経済への影響

金融市場への影響と経済の活性化
個人の信用が高いと、金融市場では安定感があるといえます。多くの人が責任をもって債務を返済できると判断される場合、金融機関はリスクが低いと見なすため、金融機関の融資の機会が増え、その結果経済が活性化します。

前述の通り、信用が高い個人は、融資を受けやすくなり、大きな買い物や投資を行うことができます。これが経済成長に寄与します。企業の経済活動が活発になると雇用が増加し、個人の所得も増えます。そして、さらに住宅購入や投資が盛んになり良い循環が生まれます。

信用スコアとは

先ほど、日本では3つの指定信用情報機関が個人の信用情報を保管・管理していること説明しました。日本の信用情報機関が保有・管理する信用は、明示されているものではありません。

一方で、アメリカや中国など一部の国では、信用を管理する手法として、「信用スコア」が採用されています。信用スコアとは、個人や企業の信用力を数値で表現したもので、主に金融取引や融資で利用される指標です。日本でも、一部の企業で導入し始めています。

信用スコアは、信用情報機関が収集した支払い履歴、借入金の残高、信用歴の長さ、新たなクレジットカードやローンの利用など複数の要素を考慮して算出されます。数値は、通常数百から数千の範囲で表現され、スコアが高いほど信用も高いことを表します。

信用スコアは、消費者の信用力を数値化することで、消費者側も自らの信用を把握でき、「あといくらお金が借りられるか?」などが客観的に判断できるようになるなど、便利な一面があります。一方で、多くの情報を収集するため、個人情報の保護やプライバシーの保護など、解決すべき課題もあることも確かです。

まとめ

日常生活を取り巻く様々なことに「信用」は大きく関わっています。信用は「返済をしっかり守っているか」など、日々の行動で上下するものです。安定した将来のためには、しっかりと信用を高め、必要なときに必要なお金を借りられるようにしておくことが大切です。

また、信用は個人の生活の質に大きな影響を与えるだけではなく、社会全体にも直接的、間接的に影響しています。そのため、ひとりひとりの適切な信用管理が重要といえます。約束やルールは守り、しっかりと信用を積み上げていきましょう。

  • このコラムは、2023年12月時点の情報に基づくものです。

編集協力:寺澤 真奈美 2級ファイナンシャルプランニング技能士/
編集・文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室

 
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