新しくなって1年経過したNISAの利用者の状況は?

2024年に新しくなったNISA(以下、「新NISA」)が始まって1年以上が経過しました。
2024年12月末時点でNISA口座数は約2560万口座1となっており、2023年12月末から約436万口座も増加しました。
今回は日本証券業協会が新NISA利用者のうち7610人から回答を得たアンケート結果2を中心に、その状況をご紹介します。
属性
まずは回答者の属性です。
年収分布を見てみると、年収300万円未満の人が全体の39.7%、300-500万円未満の人が27.7%となっており、この2つの年収帯だけで全体の約2/3(67.4%)を占めており、NISAが幅広い年収帯で利用されていることがわかります。

次に、金融資産保有額を見てみましょう。
保有額が500万円未満の人が全体の36.9%となっており、こちらを見ても特に資産家に偏っているわけではないことがお分かりいただけると思います。

今度は金融経済教育の受講経験有無について見てみましょう。
回答者全体では23.0%の人が経験ありとのことです。裏を返せば、77%の新NISA利用者は金融経済教育の経験なしに利用開始しているということになります。
下記はその内訳で、性別・年代別の金融経済教育の経験率です。
このように男女共に比較的若年層において金融経済教育の受講率が高くなっています。

購入銘柄と売却状況
回答者はNISA口座でどのような銘柄を購入しているのでしょうか。
まずはつみたて投資枠です。
下記の通り、全体の4割以上が「日本を含む全世界株式の投資信託」で占められています。

成長投資枠ではどのようになっているでしょうか。
成長投資枠では、つみたて投資枠に比べて購入可能な銘柄の種類が幅広くなっているため、下記のようにつみたて投資枠とは異なる割合になっています。

成長投資枠の「投資信託」部分の内訳を見てみましょう。
一番多い割合となっているのは、つみたて投資枠と同様に「日本を含む全世界株式の投資信託」となっています。
(下記記載の割合は上記の投資信託分43.7%を100%に引き直した割合です。)

売却状況はどうでしょうか。
まだ1年しか経過していない事や、本来のNISAの主眼である長期投資を意識されている事もあってか、つみたて枠においては83.2%、成長投資枠においては75.3%の人が一度も売却していないとの回答でした。

損益状況
最後に新NISA口座における損益状況を見てみましょう。
つみたて投資枠では82.8%、成長投資枠においては70.2%の人がプラスとなっていると回答しています。
この損益がプラスの方を金融経済教育経験の有無で分けてみると、下記のような結果となっています。
このように、金融経済教育を受けた経験がある人の方が経験のない人に比べて損益がプラスとなっている割合が相対的に高くなっています。

ここまでご覧いただいた通り、新NISA利用者は幅広い年収・保有金融資産の方々であり、金融経済教育を受けてない方のほうが多い状況となっています。
ただ、やはり金融経済教育を受けた方の方が有効に資産運用が出来ている可能性も見受けられることから、資産運用を行いながら学んでいくとよりよい資産形成につながるものと思われます。
1 日本証券業協会『NISA口座の開設・利用状況(2024年12月末時点)【速報版】』
2 日本証券業協会『新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)』
文責:野村證券株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング室 籔内 大助
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