2021.12.02 NEW
実は身近だった「国債」――購入者の約半数は20代~40代
国債はニュースなどで報じられる機会が多く、広く知られている言葉だ。しかし、どんな仕組みになっているのかを自分の言葉で説明しようとすると、分からない部分も多いのではないか。そこで今回は、国債とは何か、ビジネスパーソンとして知っておきたいポイントや、投資対象としての魅力、なじみの薄い外国国債についても紹介していく。
※ 本記事では日本政府が発行している債券を「日本国債」、諸外国政府が発行している債券を「外国国債」、日本国債、外国国債など国が発行する債券全体を「国債」と表記する。
国債とは何か
まず、「債券」とは、国、地方公共団体、企業、または外国の政府や企業などが、資金を調達することを目的として発行する有価証券の一種である。その中でも、国が発行している債券のことを「国債」といい、発行した国が国債の保有者に決められた利子を支払い、満期時には購入時の額面金額(元本)を返済する仕組みになっている。
日本国債を最も保有しているのは日本銀行
日本政府は毎年日本国債を発行している。財務省が公表している令和3年度の政府予算案を見ると、歳入106兆6,097億円のうち、43兆5,970億円(構成比40.9%)を日本国債などの「公債金」で賄っている。また、歳出では23兆7,588億円(同22.3%)が、過去に発行した日本国債の利払いや、元本の返済などに充てる「国債費」となっている(図1)。
出典:財務省「令和3年度予算のポイント」をもとに編集部作成
※ 「一般歳出」とは、歳出総額から国債費及び地方交付税交付金等を除いた経費のこと
※ 「基礎的財政収支対象経費」(=歳出総額のうち国債費の一部を除いた経費のこと。当年度の政策的経費を表す指標)は、833,744(78.2%)
※ 計数については、それぞれ四捨五入によっているので、端数において合計とは合致しないものがある
※ 一般歳出における社会保障関係費の割合は53.6%
では、誰がどの程度の日本国債を保有しているのだろうか。日本銀行の資金循環統計によると、2021年3月末の国債発行残高約1,218兆円のうち、日本国債を最も多く保有していたのは日本銀行の44.48%だった。そのほかでは、保険・年金基金が20.47%、銀行等が14.32%、公的年金が3.27%などとなっている。銀行や保険会社などの金融機関や公的年金などは、私たちから集めた預貯金や保険料、年金の一部を使い、日本国債で運用している様子がわかる(図2)。
出典:日本銀行「2021年第2四半期の資金循環(速報)」をもとに編集部作成
※ データは2021年3月末時点のもの
また、家計(個人投資家等)も1.09%の日本国債を保有している。財務省がホームページで公表しているデータによると、日本国債を購入している人の年齢は60代以上が最も多いものの、20代~50代はそれぞれ約13%~18%の割合を占め、年代を問わず幅広い層が日本国債を購入していることがわかる(図3)。
出典:財務省「個人向け国債」をもとに編集部作成
今や日本は低金利時代と言われているが、日本の個人向け国債は年率0.05%の最低金利も保証されている上に、国が発行しているため安心だ。さらに1万円から購入可能で手軽に始められるため、これから資産形成をしようとする若い人たちにも魅力的なのかもしれない。
投資の観点からは外国国債にも注目
国債は日本以外の国も発行している。日本の個人向け国債は前述の通り、最低金利が保証されており、国が発行している安心感はあるが、投資としては金利に魅力を感じない人もいるかもしれない。外国国債の魅力は、政策金利が低い日本の国債より、高い利回りが期待できる点にある。
代表的な10年国債で利回りを比較すると、日本国債が0.085%なのに対して米国債が1.537%、ニュージーランド国債が2.04%など、高い利回りが期待でき、マイナス金利の日本国債と大きな開きがある(図4)。利回りに期待して国債に投資をするなら、外国国債にも注目してみるといいかもしれない。
単位 %
政策金利 | 10年国債利回り | |
---|---|---|
日本 | -0.10 | 0.085 |
英国 | 0.10 | 0.994 |
豪州 | 0.10 | 1.480 |
カナダ | 0.25 | 1.503 |
米国 | 0~0.25 | 1.537 |
ニュージーランド | 0.25 | 2.040 |
インド | 4.00 | 6.217 |
メキシコ | 4.50 | 7.345 |
南アフリカ | 3.50 | 9.585 |
ブラジル | 6.25 | 11.124 |
トルコ | 18.00 | 17.920 |
出典:ブルームバーグ、リフィニティブより野村證券投資情報部作成
※ 政策金利は、日本が「政策金利残高」に適用するマイナス金利、トルコが1週間物レポレート。国債利回りはブルームバーグのジェネリック国債利回り。ただし、トルコの10年債利回りはリフィニティブのデータを使用。
※ データは2021年9月28日。
国債に投資をする前に知っておきたい3つのポイント
日本国債と外国国債の違いや魅力について紹介してきた。特に日本の個人向け国債は手軽に始められるのも魅力のひとつであるが、国債に投資をする際に、知っておきたい3つのポイントを紹介する。
ポイント1:発行体(国)を知る
国債の発行元(発行体)である国の財務状況などに関する情報を確認し、信用度を判断することが大切だ。
ポイント2:価格が変動する可能性を考慮する
債券は、償還されるまでの間、その価格が変動する。購入後に価格が上昇することも下落することもありえるため、債券にも値動きがあることを理解しておくことが大切だ。一般に満期までの期間が長いほど、「値動きの振れ幅」も大きくなる傾向がみられる。
ポイント3:為替の動きに注目する
外国国債は為替の変動の可能性があることを理解しておかなければならない。利息が支払われる際や、元本の償還時など、為替水準によって円に換算したときの受取金額が変わる可能性がある。
国債を購入する際はこれらのポイントに注意しておく必要がある。
国債の仕組みや特徴、魅力は意外と知らないことが多かったのではないだろうか。国債は株式などと比較すると、価格の変動幅が小さく、値動きをあまり気にせず投資をすることができるので、堅実に資産運用したいと考えている人に向いている。
手軽に投資を始めたい投資初心者は日本の個人向け国債、利回りに期待するなら外国国債に注目してみると良いだろう。
また、野村證券のホームページでは、国債を含む債券についてさらに詳しく説明している。興味のある人は、ぜひチェックしてほしい。
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(●変動10年:直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685、●固定5年、固定3年:2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685)
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