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2022.10.27 NEW

次に注目されるのはインパクト投資?“社会貢献でリターンを目指す”その内容とは

次に注目されるのはインパクト投資?“社会貢献でリターンを目指す”その内容とはのイメージ

世界的に市場規模が拡大しつつある「インパクト投資」をご存じだろうか。インパクト投資とは、社会問題や環境問題などの解決を目的として投資を行い、社会的リターンと金銭的リターンを同時に追求する投資のことだ。社会問題や環境問題などの課題解決には多くの資金を呼び込む必要があり、そのための手段のひとつとしてインパクト投資が期待されている。

ただ、現状では各国政府や国際機関の場などで取り組みが進んでいるものの、一般の人々の認知度は低く、まさに“これからの投資”といってよいだろう。そこで今回はインパクト投資がどのような投資で、なぜ世界的に規模が拡大しているのか解説していく。この機会に一歩先の知識を身に付けておこう。

インパクト投資とは?

インパクト投資とは、貧困や差別、環境、教育、福祉といった社会的な課題の解決を目指しつつ、経済的な利益も同時に追求する投資のこと。善意の寄付だけでは、世界規模で懸念されているさまざまな課題の解決に取り組むだけの資金を確保するのが難しいため、投資というビジネスの手法を取り入れ、規模拡大や技術革新を図るために用いられている。

投資を通じた社会貢献といえば、ESG投資を思い浮かべる人のほうが多いだろう。ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の英字の頭文字を合わせた言葉で、財務情報だけでなく、非財務情報であるESGの要素も考慮して投資を行う。インパクト投資もESG投資のうちのひとつに含まれるが、投資によるリターンだけでなく、社会にポジティブなインパクトを与えることを主要な目的としているため、社会的課題や環境課題の解決に本格的に取り組む手段として、近年注目されている(図1)。

図1:インパクト投資のイメージ

図1:インパクト投資のイメージ

株式投資などでは投資に対してどれだけの成果を上げたのかを知るため、利益額を投資額で割った「ROI(Return On Investment):投資収益率」が用いられることがあるが、インパクト投資では、利益額に雇用の創出による経済効果といった社会的な波及効果も加味し、それらを貨幣価値に換算した総額を投資額で割った「SROI(Social Return on Investment):社会的投資収益率」といった評価方法を用いられることもある。SROIに注目すれば、その取り組みが社会的な課題の解決にどの程度貢献しているのか客観的に知ることができるというわけだ。

インパクト投資はどんな分野に投資をしている?

インパクト投資では社会的な課題への取り組みやその成果が重視されるため、グローバルで見た投資先には、エネルギーや金融、森林、食料や農業といった分野が多い(図2)。

図2:インパクト投資の投資先分野

図2:インパクト投資の投資先分野

出所:GIIN「GIIN Annual Impact Investor Survey 2020」
(https://thegiin.org/research/publication/impinv-survey-2020)

出典:一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)「『インパクト投資』-その意義と推進-」をもとに編集部作成

一方、投資家の視点から見ると、インパクト投資に関心がある人たちが興味を持つ投資分野は、再生可能エネルギーや環境、医療、介護を推進する企業などが上位にランクインしている(図3)。

図3:インパクト投資関心層が社会課題解決のため投資したい企業のタイプ

図3:インパクト投資関心層が社会課題解決のため投資したい企業のタイプ

出典:GSG国内諮問委員会「日本におけるインパクト投資の現状と課題 2021年度調査」をもとに編集部作成

全国の20歳から79歳までの一般消費者4,127名を対象にした調査。2021年8月8日~8月9日に実施。

n=709はインパクト投資に関心がある一般消費者。

インパクト投資の市場は拡大している

インパクト投資の世界市場は拡大傾向にあり、世界的なインパクト投資家ネットワークであるGIINのレポートによると、世界市場規模は2019年が2,390億ドル、2020年には4,040億ドルに達したと推計されている。日本においても同様で、GSG国内諮問委員会の調査で把握された国内のインパクト投資の残高は2016年が約337億円で、2021年には約1兆3,204億円まで拡大している(図4)。

図4:日本におけるインパクト投資残高(推計)の推移

図4:日本におけるインパクト投資残高(推計)の推移

出典:一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)/GSG国内諮問委員会「インパクト投資について」をもとに編集部作成

このようにインパクト投資の世界市場が拡大する背景には何があるのだろうか。

まず考えられるのは、地球規模で進行する気候変動への対応と、脱炭素社会に向けた取り組みが加速していることだろう。気候変動や温暖化の加速で懸念されるのは、世界的な食糧不足や自然災害の多発、地域紛争の増加などで、これらの懸念が解消されなければ企業の事業環境は不安定になり、投資利益が目減りしてしまう。そのため、企業にとっても取り組む意義があるといえる。

SDGsの課題解決に向けた機運の高まりもインパクト投資の市場拡大を後押ししている。世界の人々が地球上で安心して暮らし続けられるよう、社会システムの改善に向けて国際社会が動き出しているが、SDGsの達成には、毎年5兆~7兆ドル程度の投資が必要といわれている。これに対し、発展途上国への投資は年あたり約2.5兆ドル不足しているとされ、民間資金の活用が求められている。

市場参加者の増加も要因のひとつだろう。SDGsをはじめとした社会的課題解決に向けた国際的な枠組みが整い始めたことから、インパクト投資が市場性や経済性を持つことが認識されるようになり、一部の慈善団体などから始まった投資が一般的な機関投資家にも広がっている。さらに、資産運用会社や保険会社、金融機関などからの関心も集め、市場規模が急速に拡大しつつあるようだ。

インパクト投資は資産運用を通して社会貢献を目指す

インパクト投資の世界市場は成長が見込まれているものの、一般の人々の認知度は低い。2021年の調査では、インパクト投資の認知度は6.6%(インパクト投資という言葉を聞いたことがあり、「意味もよく知っている・意味も少し知っている」の合計)にとどまっており、2020年の6.1%、2019年の6.8%と比較してもほぼ横ばいで推移している(図5)。市場の拡大に伴いこれから一般の人々にも関心が高まっていくだろうインパクト投資に、今から注目しておこう。

図5:インパクト投資の認知度の推移

図5:インパクト投資の認知度の推移

出典:一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)「日本におけるインパクト投資の現状と課題 2021年度調査」をもとに編集部作成

全国の20歳から79歳までの一般消費者4,127名を対象にした調査。2021年8月8日~8月9日に実施。

SDGsをはじめとした社会的課題の解決には多くの資金が必要で、そのための資金を呼び込む「インパクト投資」は、社会貢献と金銭的なリターンを同時に目指すものだ。

最近では、環境問題や脱炭素社会の実現など、解決を目指しているテーマを明確に打ち出しているファンドなどもある。自身が関心のあるテーマを探し、資産運用を通じて社会貢献と収益の確保を目指してみてはどうだろうか。

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