2025.01.22 update

2024.12.13 NEW

大木優紀さん アナウンサーからスタートアップ執行役員に 「独学で続けた資産運用がチャレンジの後押しに」

大木優紀さん アナウンサーからスタートアップ執行役員に 「独学で続けた資産運用がチャレンジの後押しに」のイメージ

文/竹下順子 撮影/タナカヨシトモ

テレビ朝日で18年半にわたりアナウンサーを務めた大木優紀さん。2022年に海外旅行を手掛けるベンチャー企業・令和トラベルに転職し、翌年は執行役員に就任するなど、「アナウンサー→スタートアップ」という珍しい転身が話題になりました。大手企業からスタートアップへの転職という大きなチャレンジを後押ししたものの一つが、独学で長く続けてきた投資での経験だったそうです。「お金にも働いてもらう」という意識がもたらしたキャリアの変化を聞きました。

働き方が自由になったという安心感

テレビ局からベンチャーへの転職は勇気が必要だったと思います。不安は感じませんでしたか。

大木優紀さん(以下同)
大企業に勤めているという安心感もあったけれども、今は逆に、働き方が自由になった安心感があります。会社を頼りにするのではなく、自分の力で進んでいける。自分のキャリアに対する安心感は以前よりも増したと思います。将来的には再び転職もできるし、副業的に働くこともできる。投資をもっと増やしていくこともできます。自由な選択肢を得た感覚がありますね。私は未来が決められていない生き方が好きなのかもしれません。借金をしてまでマイナスから始めるのは怖いけど、キャリアや資産がゼロになるのは怖くない。そこからまた頑張ればいいと思っています。

大企業からスタートアップに来てみると、働き方の感覚がまるで違います。特に若い世代の同僚たちは、一つの会社にしがみつく意識は全くなく、自分のスキルを高めて自由に動く強さがあると感じます。テレビ局では給料も福利厚生制度も恵まれているから、ここで勤め上げるという意識の人が多い印象でしたが、違う世界があるのは新鮮でした。

資産運用で自分の経済のベースを作る

実は投資経験が長いとお伺いしました。新しいことに挑戦することと、投資には共通点はありますか。

生き方を自由にするには、お金から自由にならないといけないということを転職のときに感じました。そのためにも、資産を運用して経済のベースをつくることは大切だと考えています。明日、食べるのに心配な状況では挑戦もできません。そういう意味では、自分の資産を運用するという経験が早めにできて良かったなと思います。

加えて、投資を通じて、リスク管理の感覚が身についたと感じています。リスクを知らずに怖がるのと、知識を得てリスク管理するのは違います。若いころ、初めて銀行の窓口で投資信託を買ったときに比べれば、今は圧倒的にリスク管理ができています。思い切って、投資という世界に飛び込んでみて怖さを知ったからこそ、リスク管理を学べました。

人生一度きりです。やりたいことにチャレンジするのに、お金が理由でためらうのはもったいない。投資は複利の世界ですから、長く運用を続けることにメリットがありますし、積立投資などは長く続けることで元本割れのリスクが下がると一般的に言われます。もし迷っている方がいれば、一刻も早く始めるのがよいのではないかと思います。

やみくもにリスクを怖がるのではなく、リスクがあるものを勉強して、理解して臨むということですね。

そうですね。結局、投資も転職も、新しい世界に飛び込んでみないと分からない。やってみて、許容できる程度の痛みを感じたときに、学べることがあります。今のPRという仕事も、導いてくれる上司はいない状況で、ゼロから自分で模索してきたからこそ、自分の中に確固たる自信ができたのだと思います。仕事も投資も実地研修だというマインドは共通していますね。お金から自由になると、生き方も自由になると思っています。

育休中に独学で始めた

投資を始めたきっかけはどんなことでしたか。

テレビ朝日に入社して3年目の頃、大手銀行のカウンターでたまたま投資信託を勧められたのがスタートでした。そのときは投資って少し怖いなと思いながらも、いくつか投資信託と外貨を購入しました。それが1年後、少しマイナスになっていたんです。何がダメだったんだろうと、投資や資産運用について勉強を始めました。

2012年に産休・育休に入って時間ができたのを機に、自分で学んだことを実践してみたんです。育休中はどうしても収入が減るので、それを補填できたらいいなという気持ちでした。

最初は本を何冊か読み、その後はインターネットやYouTubeなども参考にし、現在も勉強を続けています。年々、情報のインプット方法も変わってきています。

中長期的なバランスを意識する

今はどのような方針でポートフォリオを組んでいますか。

育休から復帰後は、個別株は売却し、先進国や新興国、日本国内の投資信託や、国債や社債、金や銀などコモディティも混ぜ、積立投資も組み合わせて、そこまで大きなリスクを取らないポートフォリオを組みました。仕事をしながら銘柄などを検討する時間はあまり取れないので、頻繁に資産をチェックしなくても不安のないポートフォリオを意識しています。NISAも非課税枠の上限まで使い、売却益が非課税というメリットを生かして、値動きが大きそうなものを中心に運用しています。

株価や為替の大きな変動が大手メディアでニュースになるときは、大きな転換点になると意識して、ポートフォリオのバランスを一旦考えます。8月に日経平均が大きく下落したときも、久しぶりに口座をチェックして、“買い”に走りました。本当は企業のIR情報を読み込んで、勉強をしなくてはと思いますが、その時間が取れないので、どうしても株価の後追いになりますね。企業業績と株価は必ずしもイコールではないので、そこをIRから読み解くのは私には難しいと感じます。ですので、過去の傾向が反映されているテクニカル分析を売買の参考にしています。

どういうところに投資の醍醐味を見いだしていったのですか。

やっぱり世の中の流れが分かるところです。選挙や世界情勢が自分ごととして考えられる。アナウンサーとしても世の中の流れがつかめるし、ニュースにも敏感になりました。不動産価格が上がる、為替が変動するといったことを、実感を持って捉えられますね。

投資歴が長くなると、低調な銘柄だと思ったものが5年後に復活したり、長く好調だったものが急にダメになったりすることもあります。「わぁ、下がっちゃった」ということもありますが、ある程度のバランスを取ってポートフォリオを作っていれば、こちらの銘柄がダメでも、こちらの銘柄でマイナス分を補填できるという感覚を持っています。

だから結局、バランスを取ることが大事だなと感じます。今は、値上がりした銘柄の利益を確定させ、駄目なところに追加投資するというリバランスを続けています。

加えて、当たり前ですけど、初めに運用に失敗して痛い思いをしたとき、誰も自分のお金には責任を持ってくれないのだと痛感しました。自分の資産は自分で守るしかないし、人の意見に左右されるべきではない。だから、どんな結果でも自分の責任だということは強く意識しています。

自分の労働にプラスして「お金に働いてもらう」

投資はご自身のキャリアプランや生活設計にどう関わっていますか。

2人の子どもは小学生で、これから教育費がかかります。そんな中でテレビ局からスタートアップに転職するにあたり、当初は年収も下がりましたが、投資を含めた総合的な収入というのは意識していました。

自分の労働にプラスアルファして、お金にも働いてもらうという考え方は正しいと思っています。ただ、投資に大きな軸足を置いてしまうのは怖いので、教育費や生活費のような予算とは別建てにして、あくまで余裕の資金を投資に回すようにしています。

そういう意味では、大木さんもアナウンサーというスキルにプラスして新しいスキルを身に付けていますね。

アナウンサーは18年半やって、今の会社は入社してまだ3年です。人を採用するときも、アナウンサーの採用なら感覚的にすぐに判断できますが、今の職場では誰がいいのかかなり迷います。そこが18年半と3年の違いですね。楽しいですけど、新しいスキルを身に付けるのは簡単ではないなと実感しています。

実は転職したばかりのときは、スキルのプラスオンというより、ゼロからスタートだと感じていました。でも、転職から3年たってみると、やっぱりアナウンサーのキャリアも生かさないと周囲に勝てないし、それが私の強みでもあると実感します。その経験があったからこそ今があるんだと、自分の中でやっと認められるようになりました。

今は、前職のスキルを戦略的に使った強みの生かし方を試行錯誤しています。新しい世界で強くなれた、違う思考が持てたよと、過去の自分に言ってあげたいです。

令和トラベル執行役員
大木優紀さん
東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、2003年にテレビ朝日に入社。アナウンサーとして『GET SPORTS』『やじうまテレビ!』『くりぃむナントカ』などを担当。2度の産休・育休を経て、復帰、19年から『スーパーJチャンネル』を担当。21年末に同社を退社。令和トラベルに転職し、主に海外旅行予約アプリ『NEWT(ニュート)』のPRを担当。23年から執行役員。

※本コラムで取り上げられたマーケットや投資に関する考え方などについては、あくまで個人の見解によるものであり、野村證券の意見を代表するものではございません。また本コラムは、 投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、 投資勧誘を目的として作成したものではございません。将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

NISAのご利用にあたり、ご留意いただきたい事項
  1. 日本にお住まいの18歳以上の方(NISAをご利用になる年の1月1日現在で18歳以上の方)が対象です。
  2. すべての金融機関を通じて、同一年内におひとり様1口座に限り利用することができます。
  3. 特定預り、一般預りで保有している上場株式等をNISA預りに移管することはできません。
  4. NISA預りとして保有している上場株式等をNISA預りのまま、他社に移管することはできません。
  5. 年間投資枠はつみたて投資枠は120万円、成長投資枠は240万円です。また非課税保有限度額(総枠)は、成長投資枠・つみたて投資枠合わせて1,800万円、そのうち成長投資枠は最大で1,200万円までとなります。なお、非課税保有限度額については、NISA口座で上場株式等を売却した場合、当該売却した上場株式等が費消していた分だけ非課税保有額(NISA口座で保有する上場株式等の残高)が減少し、その翌年以降の年間投資枠の範囲内で再利用することができます。
  6. NISA預りに係る配当金等や売却損益等と、特定預り、一般預りとの損益通算はできません。また、NISA預りの売却損は税務上ないものとみなされ、繰越控除はできません。
  7. NISA預りから払い出された上場株式等の取得価額は、払出日の時価となります。
  8. NISA預りとして保有している公募株式投資信託の分配金は非課税となります。ただし、当該分配金を再投資する際、当社ではNISA預り以外のお預り(特定預りや一般預り)でのご購入となります。
  9. 投資信託の分配金のうち、元本払戻金(特別分配金)は、NISA預りでの保有であるかどうかにかかわらず非課税であるため、NISA預りにおける非課税のメリットは享受できません。
  10. お客様のご住所・お名前・お取引店が変更となる場合、または国外に出国する場合等は、所定の書類をご提出いただく必要があります。
  11. 成長投資枠、またはつみたて投資枠で買付けた投資信託について、原則として年1回、信託報酬等の概算値を通知いたします。
成長投資枠のご利用にあたり、特にご留意いただきたい事項
  1. 当社が成長投資枠で取扱う金融商品は、上場株式、上場投資信託、不動産投資信託、公募株式投資信託等の他、国外の取引所に上場する当社所定の株式等(ただし上場新株予約権付社債、外国籍の公募株式投資信託等、整理・監理銘柄に該当する上場株式、信託期間20年未満またはデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等、もしくは毎月分配型の投資信託等を除く)です。
  2. 国内の上場株式等の配当金等は、株式数比例配分方式を利用して受領する場合のみ非課税となります。株式数比例配分方式のお申込みはお取引店にお申付けください。
つみたて投資枠のご利用にあたり、特にご留意いただきたい事項
  1. 当社がつみたて投資枠で取扱う金融商品は、当社で選定した、法令等の要件を満たす公募株式投資信託等になります。
  2. つみたて投資枠のご利用には、積立契約(累積投資契約)を締結いただく必要があります。この契約に基づき、定期かつ継続的な方法で買付けが行われます。
  3. 法令により、当社は、NISA口座に初めてつみたて投資枠を設けた日から10年を経過した日、及び同日の翌日以後5年を経過した日ごとの日における、お客様のお名前・ご住所について確認させていただきます。確認ができない場合は、新たに買付けた金融商品をNISAへ受入れることができなくなります。
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購入時手数料はございません。なお、換金時には基準価額に対して最大2.0%の信託財産留保額を、投資信託の保有期間中には信託財産の純資産総額に対する運用管理費用(信託報酬)(最大1.65%(税込み・年率))等の諸経費をご負担いただく場合があります。
投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とするため、当該資産の価格や為替の変動等により基準価額が変動することから、損失が生じるおそれがあります。個別の投資信託ごとに費用やリスクの内容や性質が異なりますので、ご投資にあたっては目論見書や契約締結前交付書面をよくお読みください。

手数料等およびリスクについて

当社で取扱う商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等(国内株式取引の場合は約定代金に対して最大1.43%(税込み)(20万円以下の場合は、2,860円(税込み))の売買手数料、投資信託の場合は銘柄ごとに設定された購入時手数料(換金時手数料)および運用管理費用(信託報酬)等の諸経費、年金保険・終身保険・養老保険・終身医療保険の場合は商品ごとに設定された契約時・運用期間中にご負担いただく費用および一定期間内の解約時の解約控除、等)をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。信用取引、先物・オプション取引をご利用いただく場合は、所定の委託保証金または委託証拠金をいただきます。信用取引、先物・オプション取引には元本を超える損失が生じるおそれがあります。証券保管振替機構を通じて他の証券会社等へ株式等を移管する場合には、数量に応じて、移管する銘柄ごとに11,000円(税込み)を上限額として移管手数料をいただきます。有価証券や金銭のお預かりについては、料金をいただきません。商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、等をよくお読みください。

投資信託の手数料等およびリスクについて

投資信託のお申込み(一部の投資信託はご換金)にあたっては、お申込み金額に対して最大5.5%(税込み)の購入時手数料(換金時手数料)をいただきます。また、換金時に直接ご負担いただく費用として、換金時の基準価額に対して最大2.0%の信託財産留保額をご負担いただく場合があります。投資信託の保有期間中に間接的にご負担いただく費用として、国内投資信託の場合には、信託財産の純資産総額に対する運用管理費用(信託報酬)(最大5.5%(税込み・年率))のほか、運用成績に応じた成功報酬をご負担いただく場合があります。また、その他の費用を間接的にご負担いただく場合があります。外国投資信託の場合も同様に、運用会社報酬等の名目で、保有期間中に間接的にご負担いただく費用があります。
投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とするため、当該資産の市場における取引価格の変動や為替の変動等により基準価額が変動します。従って損失が生じるおそれがあります。投資信託は、個別の投資信託ごとに、ご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。また、上記記載の手数料等の費用の最大値は今後変更される場合がありますので、ご投資にあたっては目論見書や契約締結前交付書面をよくお読みください。

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