2025.02.03 NEW
トランプ関税への警戒で日経平均株価一時1,100円安 中長期的な視点が重要 野村證券ストラテジストが解説
米国のトランプ大統領は2025年2月1日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を、中国からの輸入品に10%の追加関税を課す大統領令に署名しました。トランプ関税への警戒感から、週明け3日の日本株市場は大幅安となり、日経平均株価の下げ幅は一時1,100円を超えました。今後の株式市場について、野村證券ストラテジストが解説します。
初動を試された日本株市場は大幅安に
今回発表された追加関税は、2月4日から適用され、不法移民や合成麻薬フェンタニルの流入を阻止することを目的としているとされています。さらに、これらの危機が緩和されるまで関税を継続するとの文言が含まれていることから、関税が交渉のカードとして利用される可能性も指摘されています。
大統領令の署名を受けて、週明けに初動を試されたのが日本株市場であり、株価は大幅安で反応しました。一方、前週の米国株式市場の反応については、1月31日のS&P500種株価指数が前日比0.5%安となり、米国株式の変動性指数(VIX)は小幅な上昇にとどまりました。ただし、市場が関税の影響を織り込む時間は、取引終了前の2時間程度に限られていました。週末に取引のあったビットコインは、週末を通じて5%以上の下落を記録しました。また、ニュース記事から算出される米国経済政策不確実性指数は、2月1日時点では比較的安定しています。
関税同様に融和もランダム、中長期的な視点が重要
過去の関税イベント時(7回)の傾向を振り返ると、TOPIXは発動から2〜3週間で平均-2.5%下落、S&P500は1〜2週間で平均-2.8%下落しました。その後、いずれも1〜2週間で下落を埋める動きを見せています。
今後も関税発動と融和を繰り返す可能性がありますが、事前に具体的な動きを予想するのは難しく、中長期的な視点が重要です。堅調な米国経済がトランプ大統領の自由な政策運営を可能にしている面があるため、この米国経済の堅調さが株式市場の下支えとなることが予想されます。
過去の関税イベント時にはサービス業、情報・通信、小売などが堅調
2024年11月26日、トランプ氏が関税に関してSNSに投稿した際、TOPIXは前日比1.0%安となった一方で、S&P500は同0.6%高を記録し、米国株市場は比較的冷静な反応を示しました。なお、銘柄物色には明暗が見られました。特に、11月5日以降、トランプ氏の政策がデメリットとなる銘柄はS&P500を大きくアンダーパフォームする結果となりました。関税の影響については、市場で一定程度織り込まれていると考えられます。
日本株市場では、同期間に関税デメリットがある銘柄やメキシコ関連株がTOPIXをアウトパフォームしましたが、今後はこれらの銘柄への悪影響が意識されやすくなるでしょう。
なお、過去の関税イベント時には、輸送用機器、非鉄、機械セクターが弱含む傾向があり、反対にサービス業、情報・通信、小売セクターが堅調となりました。ただし、こうした物色の動きは長続きしないことが多いと言えます。
(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)
編集元アナリストレポート
日本株メモ:関税決定後の初動想定、短期リスクオフ・物色シフト要因も・・ – 関税同様に融和もランダム、中長期視点で(2025年2月3日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。
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