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「SHOE DOG(シュードッグ)―靴にすべてを」―ナイキ創業者が明かす日本との深い縁。

「SHOE DOG(シュードッグ)―靴にすべてを」―ナイキ創業者が明かす日本との深い縁。のイメージ

世界的ブランド「ナイキ」は「日本のシューズをアメリカで売りたい」という青年のアイデアから始まった!ナイキ創業者、初の自伝。

90年代に発売され、爆発的な人気となったナイキのエアマックス。当時、少年・青年だったエルボルデ読者にとっては、今もナイキは特別な存在ではないか。
そんな世代にとって、今回紹介するナイキ創業者フィル・ナイトの半生を綴った自伝『SHOE DOG』(東洋経済新報社)は、「ナイキ」の見方が変わる一冊としてオススメである。世界的なブランドが、一気に身近に感じられるだろう。ナイキ創業の背景に、日本との深い縁があったことが明かされているからだ。

まず1点目の深い縁。それは、ナイトが起業したのは、日本製スニーカー「オニツカタイガー」をアメリカで売るためだったことだ。

1962年、まだ24歳の青年だったナイトは、ナイキの前身となるブルーリボン社を起業。当時スニーカーはまだ一般的ではなく、アスリートだけが履く靴だった中で、いつか皆が日常的にスニーカーを履くようになると信じていた。

書名の「シュードッグ」とは、靴にすべてを捧げる人間のことを指すそうだが、この540ページにも及ぶ大作には、靴に情熱を注いだナイトの起業から上場までの18年間がまとめられている。
前半は、ハッタリだけでアメリカでの独占販売権を獲得したり、資金繰りが無計画だったり。ナイトの無鉄砲さや泥臭い面に目が離せない。

2点目の深い関わりは、ブルーリボン社の危機を救ったのが、日本の商社「日商岩井(現・双日)だったことだ。オニツカとの激しい裁判を経て、銀行にそっぽをむかれたブルーリボン社。自社ブランドシューズ「ナイキ」の製造を諦めずに済んだのは、日商岩井のおかげだ。
後半は、オニツカの代理店から離れ、社名をナイキに変更し、1980年に株式上場を果たすまでの展開が描かれる。

ナイトから学べるのは、他国を知ろうとする姿勢

本書は、自伝という性質上、王道の経営者本ではない。いかにして世界的ブランドまで飛躍したのか、その戦略やロジックを知ることはできない。ただ、自伝だからこそ、当時の日本観が包み隠さずに記述されていて面白い。

例えば、ナイトが日本に旅立つと告げた時、祖母は次のように心配している。
「日本人は世界を征服しようとしたのよ」「日本人は密かに企んでいる。お前を刑務所に送るかもしれないよ」(p17)

また、オニツカと交渉する前、日本在住のアメリカ人から次のようにアドバイスを受けている。
「(日本は)間接的に表現する文化なんだ」「直接ダメだとも言わない。かといってイエスとも言わない」(p34)

ナイトの聡明なところは、こうした助言を鵜呑みにせず、禅について学び、来日の飛行機では必ず『How to Do Business with the Japanese』を熟読する姿勢だ。

「グローバルビジネス」というと、一にも二にも「英語力!」と考える人が、今の時代には多いのではないか。でも、ナイトのように、まず他国を知る努力をすることがいかに大切かを本書は教えてくれる。

本書が、日米各界の著名人を魅了させているのは、魅力的なナイキ創業者ストーリーに留まらず、成功するための示唆に富む内容だからかもしれない。

■書籍情報

書籍名:SHOE DOG(シュードッグ)―靴にすべてを。

著者 :フィル・ナイト
世界最高のスポーツ用品メーカー、ナイキの創業者。1938年生まれ。1年間のアメリカ陸軍勤務を経て、スタンフォード大学大学院に進学。MBA(経営学修士号)取得。1962年、オレゴンの「ブルーリボン・スポーツ」社の代表として日本のシューズ・メーカーであるオニツカを訪れ、同社の靴をアメリカで売るビジネスを始める。その後独自ブランドの「ナイキ」を立ち上げ、社名もナイキと変更。創業メンバーたちとともに、スポーツ用品界の巨人、アディダスとプーマをしのぐ企業へと同社を育て上げる。1964年から2004年まで同社のCEO、その後2016年まで会長を務める。妻ペニーとオレゴンに暮らす。

訳者 :大田黒 奉之(おおたぐろ ともゆき)
京都大学法学部卒。洋楽好きが高じ、主にミュージシャンの伝記の翻訳を手掛けるようになる。

※本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです。

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