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2017.08.17 NEW 境界線の超えかた

シンクロ・フード藤代真一の「どん底で気がついた、誰も挑戦していないことへの挑戦」

飲食店の出店開業に役立つ各種サービスを提供する「飲食店.COM」。その運営で成功をおさめているシンクロ・フードの藤代真一氏は、高校まではサッカー、大学院では高分子合成の研究に没頭し、前職は経営コンサルティング会社という異色の経歴の持ち主。そんな藤代氏の原動力となっているものは一体何なのか?

理系の大学、大学院を卒業して経営コンサルティングの会社に入社されました。理系の学生の就職先としては珍しいですよね?

小さい頃から父親に『自分のレールは自分で引くんだ』と言われていて、当たり前のように「いつかは起業するんだろうな」という思いがありました。
そのためにはどこに就職するのがいいかを考えたとき、このまま化学の分野で研究者になったとしても独立するのは難しいだろうと思ったんです。そこで大きく方向転換して経営コンサルティングの会社を受けることにしました。“経営”という言葉がついている以上、経営が勉強できるところなんだろうと(笑)。そんな単純な理由です。

面接でも、「なぜうちの会社を選んだのか」を問われたのでは?

聞かれましたね。パソコンが好きだったのでそのあたりの話をしたり、理系で培った「仮説をたてて検証をするというプロセスはビジネスでも生かせる」という話をしたり。本当はあまり深く考えていなかったんですけどね(笑)。そんな感じだから、入社試験のグループディスカッションでもほかの学生のように活発な発言ができず、ただうなずいているだけでした。でも、なぜか採用された。後で理由を聞いたら『あいさつがよかった』そうです(笑)。

サッカーで培った体育会系の精神が功を奏した(笑)。

声が大きかったし、とりあえず「明るく元気」という感じでしたからね(笑)。会社も1人ぐらいこういうやつがいてもいいかな、と思ったのかもしれません。

入社後はコンサルタントとして実務に追われる日々だったと伺っています。そんななかでも、「起業する」という意思は変わらなかったのですか?

そこは変わりませんが、「すぐにでも」と考えていたわけではありません。入ったからには成果を出せる人材になりたいと思って、必死にやってましたね。まわりがすごく優秀だったので、置いていかれないようにとにかく頑張っていました。
実は、会社を辞めたのも起業しようと思ってのことじゃなくて、30歳を目前にして、このあたりで一区切りつけようと思っただけなんです。

30歳という年齢にはこだわりのようなものがあったのでしょうか?

何か“決め”を作らないと、そのまま会社のなかで頑張っていきたいと思ってしまう気がしたんです。そうすると、気がついたときには起業するのに難しい年齢になってしまうかもしれないな、と。

飲食店の出店開業に特化したサイトを思いついたきっかけは?

横浜の実家がホテルやレストランに野菜を配送する卸しをやっていて、小さい頃から手伝いをしていました。そのときに、父親から「新規の飲食店を探して営業をかけるのが難しい」と聞かされていたんです。

既存のお店に営業したところで、すでに契約している業者がいる。となると新規の飲食店に営業したほうが効率はいいのですが、新規出店の情報はなかなか手に入らない。

そんな話を思い出したときに感じたんですよね。自分が身につけたITの技術を駆使して、これから飲食店を始める人を束ねることができれば、その人たちと、そこに売り込みたい事業者の方たちを結び付けるプラットフォームが作れるんじゃないか、と。

ご実家の家業からの発想だったのですね。事業をスタートさせるにあたって何から着手したのですか?

飲食店を始めたい人に向けて、空き店舗物件を探せるサービスを提供するところから始めました。そうしたサービスがあれば、出店の準備をしている方が使ってくれるかなと思ったんです。

まずはサイトを作って、「物件を登録してくれませんか?」と不動産屋さんを練り歩いたんですが…。自分のキャリアのなかで不動産に触れる機会なんてなかったし、なにもわからないまま飛び込んでいったので、本当に苦労しました。

サイトオープン時は物件の登録が2~3社。アクセスも全然伸びなくて、「どうしたら人が集まってくるか」というところから勉強し直しましたね。

厳しい時期を体験されているのですね。

不動産会社からお金をいただけるようになったのは、サービスがスタートしてから1年近く経ってからなんです。最初のころは「お金を稼ぐ」というのが思っていた以上に難しくて、落ち込みましたね。眠れない日もありました。

そういうときは、どういうふうに気持ちを切り替えていたのですか?

本当にどん底までいったとき、ふと思ったんですよ。「自分は誰も挑戦していないことに挑戦しているんだ」と。その挑戦自体、勇気があって素晴らしいことだし、もし僕が失敗しても軌跡は残るから、誰かが元にして社会に還元できるかもしれない。そう考えたら、「自分ってすごいな!」って思えてきたんです。おかげで、気持ちが明るくなりましたね。

「自分は社会に貢献できているんだ」という自負で奮起できた?

そうですね。会社を大きくしたいという野心からスタートした事業ではなく、誰もやっていないことをやって、世の中の飲食店に関わる人たちに新たな付加価値を提供したい、認められたいというのがスタート地点でしたから。不思議なもので、気持ちが明るくなってくると、人が集まってきてくれるんですよね。おかげで少しずつお客さんとの信頼関係が築けるようになって、会社の利益にもつながった。あのときの経験を通じて成長できた気がします。

現在、登録ユーザーが11万人。求人掲載・募集、食材仕入先探し、食材発注、店舗物件探し、内装デザイン・設計施工会社探し等、扱う情報も増えてきました。これだけのサービスを50人程度の社員で回していくとなると苦労も多いのでは?

実際、大変です(笑)。
ただ、最初から組織としてこだわってきているのが労働生産性。ひとりあたりの売上高や粗利率が高くなっていかないと、組織としておもしろくない。

なるべく少ない人数で頭を使って、どうすればユーザーに対する付加価値を追究できるのか、ということを常に考えていますね。

最後に、20~30歳代のビジネスパーソンにアドバイスをお願いします。

このサイトを読まれている世代に対しては、すごく優秀な印象を持っています。

でも、優秀であるがゆえに先が読めてしまって、失敗したりトライしたりすることが少ないようにも感じます。私たちのようなベンチャー企業は、失敗してもいいから挑戦していくことが重要なので、「優秀なだけにもったいない」と思いますね。

世の中には勢いで突っ走って、「思ったことはとりあえずやってみる」という人間もいますが、そういうタイプのほうが自分なりに課題を見つけたり、次になにをするべきかを判断したりする能力が磨かれていく気がするんです。

だから、社員にも「結果だけじゃなくて、挑戦するプロセスも大事」ということをよく言っています。自分自身、挑戦しては失敗し、失敗を糧に成長してきたという自覚があるので、特にそう思うんですよね。

藤代 真一(ふじしろ しんいち)
1973年生まれ。大学院卒業後にアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。IT部門でエンジニアとして活躍後、30歳で退職し、2003年4月シンクロ・フードを設立。「飲食業界に関わる人々をつなぎ、幸せにしていきたい」という思いで、飲食店の出店開業・運営支援サイトである「飲食店.COM」の運営をスタート。現在は、店舗物件や食材仕入先の情報だけでなく、求人掲載、内装デザイン会社とも連携し登録ユーザーは11万件を超える。

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