2019.07.22 update

EL BORDEとは

2019.07.22 update

2018.08.16 NEW変革のメソッド

【対話力特集:前編】「組織が変わらない」と嘆くのは、もう終わりにしよう

【対話力特集:前編】「組織が変わらない」と嘆くのは、もう終わりにしようのイメージ

いま、組織を変える手法として「対話」が注目されている。あなたが「変わらない」とあきらめている会社も、「対話」によって変わり得るかもしれない。

前向きなモヤモヤを大切にする

「うちの会社じゃ新規事業は難しいだろうな」「今の上司は融通が効かないからルールを変えられない」「上司はなぜ会社の将来に危機感を持たないのだろう」…。

組織で働いたことがある人ならば、誰もが一度はこうした不満を感じたことがあるはずだ。
そのような不満の「原因」に思いを馳せていただきたい。それは、企業風土に由来するものだろうか? もしくは上司個人の問題だろうか?

現代のような変化の激しい時代では、企業の仕組みがあらゆるところで制度疲労を起こしつつある。成功体験を持つ人たちが抵抗勢力となり、変革への足かせになっているという話も聞く。そんな状況下だからこそ、冒頭のような不満を抱えながらも、なんとなくやり過ごしている人も少なくないのではないだろうか。

「おかしい」「変えたい」と思うことに、あきらめでなく「対話」で臨んでみる

そうした「お手上げ状態」に新たな息を吹き込むアプローチとして、「対話」に注目し研究を続けているのが、埼玉大学准教授の宇田川元一さんだ。

「自分が『おかしい』『変えたい』と思うこと。その気持ちはとても自然で大事なことです。そして、そんなふうに前向きなモヤモヤを抱えている人たちが、一歩を踏み出すために必要なことが“対話”だと考えています。自分自身と“対話”してみること(自問自答)や、当事者同士が語り合いながら人と問題を切り離して考えることで、問題を外在化でき、問題“解消”(解決しなければいけない問題を発生させないように問題の根源を消し去ること)への糸口に気づけるからです」

では、冒頭のような例の場合、どのような「対話」が解決策として考えられるだろうか。

自分に質問を繰り返し、問題を顕在化させる

「うちの会社じゃ新規事業は難しいだろうな」といった、冒頭のような不満に直面した場合、宇田川さんはまず次のように自分自身に問いかけることを推奨している。直接「上司と“対話”」する前に、「自分と“対話”」してみるのだ。

「上司の意識や行動が変わらない理由は何だろう?」

皆さんの中では、どんな返事がうまれただろうか。
実際にやってみてもらうと、答えられない人が大半だという。中には「変わるのが面倒なだけでは?」「上司は権威主義者なので、部下の言うことを聞くわけがない」「そもそも理由を聞いたところで、説明してくれるわけがない」などと、ダメな理由ばかりを並び立てる人もいる。

しかし、ダメな理由ばかりを追いかけていても、問題“解消”の糸口は見つからない。「そういう場合は、問いを変えてみることを勧めています」と宇田川さんはいう。その2つ目の問いとはこうだ。

「自分は上司のことを、どれくらい知っているだろうか?」

その答えは、「あまり知らない」かもしれない。それでも構わない。大切なのは、更に質問を掘り下げ上司のことを考えていくことだ。

「普段はどんな人で、どんなことを考えていて、社内での振る舞いはこうで…」と考えていくと、少しずつ上司の目線で物事を考えられるようになる。

このように問いを掘り下げていくと、以下のような“気付き”が得られるケースが多いそうだ。

  • あらためて考えると、上司は自分とは違う考えを持った人間で、こちらの考えを察してくれると考えるのは違うかもしれない。

  • 仮に上司が別の行動を選択するには、誰かが隣の部署に頭を下げなければならないかもしれない。

  • 上司が別の行動を取ろうとしないのは、それによって部下に何らかのしわ寄せが及ぶのを避けようとしている、上司なりの優しさが背景にあるからかもしれない。

こうした“気付き”が得られた場合、あなたが抱いていた「どうせムリ」「融通が効かない」「危機感を持たない」などの印象がガラリと変わる。

上司が置かれた状況を俯瞰して、何が問題かを認識する。そうすることで、上司ができないことについて、上司側にもできない事情があると気づいていくのである。

こうして新たな気付きが得られたら、次は自分が得た認識や気付きについて上司と語り合ってみよう。そうやって、当事者同士が状況を俯瞰し合い、問題を認識し合うこと。それが「対話」を通して、組織を変えていく力になる。

「ナラティヴ(語り)」から“解消”の糸口を引き出そうとするアプローチ

この宇田川さんの方法論は、臨床心理の領域の「ナラティヴ・アプローチ」という考えが土台にある。専門家である臨床心理士だけでは解決できないことを、患者さんの「ナラティヴ(語り)」から“解消”の糸口を引き出そうとするアプローチである。

後編では、このナラティヴ・アプローチに基づいた「対話」の可能性に早くから気づき、組織の中での有効性を研究してきた宇田川さんに、建設的な「対話」を実践するためのマインドセットについて聞いていく。

監修:宇田川 元一(うだがわ もとかず)

埼玉大学大学院人文社会科学研究科准教授。
1977年東京都生まれ。2006年早稲田大学アジア太平洋研究センター助手、2007年長崎大学経済学部講師、准教授、2010年西南学院大学商学部准教授を経て、2016年より現職。専門は、経営戦略論、組織論。イノベーティブで協働的な組織のあり方とその実践について研究を行っている。2007年度経営学史学会賞(論文部門奨励賞)受賞。

記事の購読、ありがとうございました。
公式SNSページから最新記事をキャッチ!

Related Posts関連記事

Latest articles最新記事

記事一覧

Recommended articlesあなたへのおすすめ

記事一覧

  • 有価証券を有効活用! 野村Webローン
  • 野村のつみたてNISAで投資による資産形成をスタート!
  • 野村のゴールベース 質問に答えるだけで人生設計が見えてくる!?
  • CMギャラリー 2020に夢を。2020に力を。

ページの先頭へ