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【WBS特集:後編】すべては「プロジェクト」だ! 日々の仕事にWBSが必要な理由

【WBS特集:後編】すべては「プロジェクト」だ! 日々の仕事にWBSが必要な理由のイメージ

前編では、プロジェクトを円滑に進めるためには、「WBS(Work Breakdown Structure)作成スキル」が欠かせないことを紹介した。

では、会社でプロジェクトを任されていない人にとっては、WBSの作成スキルは必要ないのだろうか?

「そんなことはありません。WBS作成スキルは、身近な仕事やプライベートでも役に立ちます」と語るのは、前編にもご登場いただいた外資系コンサルティングファーム出身の清水久三子さんだ。

すべては「プロジェクト」である

清水さんは「企画書の作成」というような日々の業務でも、プロジェクト化して進めているという。

「提案内容や提案相手が違えば、自ずと合意形成などに必要な進め方も変わってきます。たとえ企画書を何度も作ったことがあっても、企画が異なれば初めての仕事に取り組むのと同じ。だからこそ、全体像を把握するためにWBSの作成が必要なのです」(清水さん)

また、清水さんの周りのコンサルタント仲間は、キャンプや引越しなどのプライベートな行事でもWBSを作成する人が多いという。

家事や趣味、旅行など、見渡せば、プライベートで向き合うことも総じて作業の塊。仕事同様に「プロジェクト化」することで、無駄なく進行できるそうだ。

では、具体的にWBSをいかに活用すべきなのかを実感してもらうために、WBSの作成例を見つつ「企画書の作成」というプロジェクトの進め方を見ていこう。

視覚化することで優先順位が見えてくる

下の図は、筆者が清水さんの説明を聞いて作成した、企画書作成の際に必要となるWBSのイメージだ(図1)。

図1:企画書作成の際に必要となるWBS
図1:企画書作成の際に必要となるWBS

こうしてWBSを作成することで、まず作業の大きな塊(レベル1)として、「情報収集」「叩き台作成」「最終化」の3つの作業が必要であること、「叩き台の作成」において多くの作業が発生することが分かる。これこそが、WBS作成のメリットである「全体の把握」だ。

まず始めに必要になるのが「情報収集」だ。どんなに企画書を書きなれている人であっても、企画の内容に応じた情報収集は不可欠。手段としては、図のように「関連書籍を読む」、「企画に詳しい人にヒアリングする」、「類似事例を調べる」といったような方法が考えられるだろう(図2)。

図2:企画書作成の際に必要となるWBS(情報収集部分)
図2:企画書作成の際に必要となるWBS(情報収集部分)

「このように、一度分解した上で図に起こして俯瞰すると、『今回の企画内容は、書籍や類似例の情報が少ない。だから、企画内容に詳しい人にヒアリングする時間を多く取ろう』といったように、情報収集の中でも作業に優先度をつけやすくなります。プロジェクトを成功させるためには、すべての作業に全力投球するのではなく、限られた時間をどこに優先的に当てるかを考えることが不可欠なのです」(清水さん)

仕事のできる人ほど気をつけるべきポイント

次に「叩き台の作成」の部分を見てみよう(図3)。

たとえば、「アイデアの整理」「ストーリーの作成」までは、頭の中で無意識に作業し、いきなり企画書に落とし込むことができる人もいるだろう。

図3:企画書作成の際に必要となるWBS(叩き台の作成部分)
図3:企画書作成の際に必要となるWBS(叩き台の作成部分)

しかし、「(企画の)スケジュール・コストの見積り」「(企画の)効果測定」「(企画実行に向けた)利害関係者洗い出しと調整」といった作業は、頭の中で完結することが難しいうえに、WBSを作成しないと見落としてしまいがちでもあると清水さんはいう。

これはむしろ、ある程度企画書の作成に慣れている人や頭の中で情報を整理できる人ほど気をつけたいポイントかもしれない。

「特にこの3点は、最終決定者が企画の是非を判断するうえで非常に重要になるポイントです。これらのポイントを抑えずに叩き台を作成しても、いずれ、上司への報告時や企画提案時に追加で情報提供を求められるのは明らかでしょう」

特に、「利害関係者洗い出しと調整」は他部署や他社の人を巻き込む企画なら必須の作業。叩き台段階で具体的に詰めておけば、「この予算やこの日程では受けられない」といったように、現実的なフィードバックをもらうことができるからだ。

WBSを作成すれば、こうした作業の見落としも避けることができる。

仕上げの作業こそマネジメントを確実に

では、最後に「最終化」の部分を見てみよう(図4)。

たとえば、企画書の体裁を整える作業は、意外と時間がかかるのにもかかわらず、きちんと時間を確保せず、最後の最後にギリギリで着手する人が少なくないそうだ。

図4:企画書作成の際に必要となるWBS(最終化部分)
図4:企画書作成の際に必要となるWBS(最終化部分)

しかしその作業も、その次に「最終承認者への報告・承認」というタスクが待っていることをWBSの作成によって把握することができていれば、あらかじめ体裁を整える時間を確保しようという意識がわくはず。

「また、たとえ自分では完璧に仕上げたと思った企画書でも、最終承認者である上司の目から見ると足りない要素が見え隠れする場合は少なくありません。そのため企画書を提出する前に、あえて上司への『報告・承認』の時間を設定しておく。そうすれば、提出後にやり直しを命じられるなどの無駄な時間が発生することも避けられるのです」

需要の高まるWBS作成スキル

以上、企画書の作成という身近な仕事においても、WBSを作成することに価値があることをお分かりいただけただろうか。

「プロジェクトを任されていないから」と自分には関係ないと思わずに、身近な仕事やプライベートのイベントを「プロジェクト化」して、WBSを一度描いてみて欲しい。

「特にこれからの時代、仕事においてルーチンの作業はAIに代替され、新しいプロジェクトに取り組む機会が増えていくでしょう。初めての取り組みで、毎回、当たって砕けていては身が持ちません。その時、WBS作成スキルはきっと役に立つはずです」

WBS作成スキルは、今後、益々必要なビジネススキルとなっていくだろう。ぜひ、身近な仕事をプロジェクト化して、WBS作成スキルを磨いてみてはいかがだろうか。

【お話をお伺いした方】

清水 久三子(しみず くみこ)
国内大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社後、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、新規事業戦略立案・展開、人材開発戦略・実行支援などのプロジェクトをリード。2005年より、コンサルティングサービス&SI事業の人材開発部門リーダーを務め、延べ7,000人のコンサルタント・SEを対象とした人材ビジョン策定、育成プログラムの企画・開発・展開を担い、成功事例として多くのメディアに取り上げられる。

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