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【フォント特集:前編】文字を変えれば評価が変わる! フォント選びの基礎知識

【フォント特集:前編】文字を変えれば評価が変わる! フォント選びの基礎知識のイメージ

レポートや企画書、プレゼン資料などの作成は、ビジネスパーソンにとって日常業務の一部だ。しかし、そうした資料作成の際、あなたはどれほど「フォント選び」に気を配っているだろうか。そして、そのフォント選びにほんの少し気を配るだけで、仕事の評価がガラリと変わるとしたら?

資料作成におけるフォントの重要性と、その基礎知識を、ベストセラー『伝えるデザインの基本』(技術評論社)の著者であり、千葉大学大学院助教の高橋佑磨さんに伺った。

「読みやすい資料を作ること」はビジネスマナー

普段資料を作成する際、フォントのことまで意識している人は少ないかも知れない。しかし、あなたがフォントを意識しようがしまいが、文字の見た目(美しさと言ってもいい)は資料の読みやすさや印象を大きく左右する。

読みにくいフォントは読み手の負担になる。会議などの場で、相手が聞きやすいように大きな声で話したり、ゆっくり話すことを心がけたりするのと同じように、フォントの読みやすさに配慮することもまた、相手への思いやりであり、ビジネスマナーなのだ。

また、読みやすい資料は、自分が過小評価されることを防いでくれると高橋さんは指摘する。

「私は研究者が学会などで使う資料づくりの指導もしています。研究者って、読みにくい資料に敏感なんですよ。資料が読みづらいと、せっかくの研究内容が相手に理解されないですから」(高橋さん)

これはビジネスシーンにおいても同じことがいえる。いかに優れた企画であったとしても、その資料が読みづらく、相手に理解されなければ損をするのは資料制作者本人。ビジネスパーソンにとって、読みやすい資料を作成することは重要なスキルなのだ。

フォント選びの基準となる、3つの要素

では、どうすれば読みやすい資料を作成することができるのか。具体的に解説していこう。

高橋さんによると、資料の読みやすさは「可読性」「視認性」「判読性」という3つの要素で決まるという。「可読性」は長い文章を読むときの読みやすさ、「視認性」はパッと目にしたときの認識しやすさ、そして「判読性」は誤読の少なさのことを指す(図1)。

そして、これら3つの要素は適切な「書体」や「フォント」を使用することによってある程度コントロールすることができるのだという。

図1:読みやすさを決める3つの要素

図1:読みやすさを決める3つの要素

念のため説明しておくと、書体とは「一貫した特徴あるいはデザイン方針で作られた文字の集まり」のこと。一方で、フォントとは「書体を表現するための、ひと揃いの活字」(つまり、パソコンなどに搭載されている個々の製品)のことを指す。

「たとえば『明朝体』という書体には、MS明朝やヒラギノ明朝というフォントが、『ゴシック体』という書体にはMSゴシックやメイリオ、ヒラギノ角ゴなどのフォントが分類されます」(高橋さん)

明朝体とゴシック体のほかにも、日本語には行書体、ポップ体など、いくつかの書体が存在する。それらの書体はそれぞれ読み手に与える印象が異なる(図2)。まずは書体を選び、書体の持つ印象を使い分けることで、資料の読みやすさを左右する「可読性」「視認性」「判読性」の3要素をコントロールするのだ。

図2:書体ごとの基本的な印象

図2:書体ごとの基本的な印象

「読ませる」文書には細い文字、「見せる」文書には太い文字

では具体的に、仕事で資料を作成する際にはどの書体を使用するべきなのだろうか。

「書類の内容によってなにを重視するべきかが異なるので、まずはそれに応じた書体を選ぶといいでしょう。たとえばレポートなど長めの文章には、可読性の高い明朝体が適していますし、プレゼン資料のように文字量が少なく、人目を惹く必要のある場合には、視認性の高いゴシック体を使うのが基本です」(高橋さん)

ビジネスの場で使う書体は、この「明朝体」と「ゴシック体」の2つが基本となる。

「明朝体」は、横線に対して縦線が太く、先の末端に「とめ」や「はらい」「ウロコ」がある書体(図3)。一般的に可読性が高く、長文でも目が疲れない。

一方の「ゴシック体」は横線と縦線の太さがほぼ同じで、「ウロコ」がほとんどない書体。プレゼンに使用するスライドや、告知ポスター、チラシなど「読ませる」より「見せる」資料には、視認性の高い「ゴシック体」が効果的だ。

図3:日本語書体の分類

図3:日本語書体の分類

文字の量が多い書類には可読性の高い明朝体が基本だが、「ゴシック体」でも、細いウェイトのものであれば長文に用いても可読性を損なうことはない。

同様に、欧文も長文の場合は可読性の高い「セリフ体」(日本語フォントの「ウロコ」にあたる飾りがあるもの)が適しているが、視認性の高い「サンセリフ体」(飾りがないもの)も、細いウェイトのものならOK。とにかく、長文には太い文字全般を避けるよう心がけたい。

ただし、長文の中に部分的にゴシックを使うことで文章が読みやすくなることもある。タイトルや小見出しにだけ「ゴシック体」や「サンセリフ体」を使うパターンだ。こうすることで長い文章の構造や区切りが明確になり、受け手の理解を促進することができる。

「美しいフォントかどうか」が資料の印象を左右する

明朝体かゴシック体か、資料に使用する書体が決まったら、次はフォント選びに移ろう。とはいえ、書体が決まっても、1つの書体の中には数えきれないほどのフォントが存在する。いったい、どのようにして選べばよいのか。高橋さんは方法の一つとして、資料を使用する場面から判断するのも手だという。

「たとえば、印刷せずに画面上などで確認する資料の場合、MSゴシックやMS明朝などは避けた方が無難です。これらのフォントはデフォルトでPCにインストールされているケースが多いため汎用性には優れていますが、こうした場面には不向きなのです」(高橋さん)

これは、これらのフォントに「ビットマップフォント」が含まれているからだという

「ビットマップフォント」とは、ドットの組み合わせで文字を表現したフォントのこと。ドットの組み合わせから成り立っているため、印刷せずにPCやタブレットの画面上だけで閲覧する資料、あるいはスクリーンに映写する資料などに使用してしまうと、文字の線がガタついて読みにくくなってしまうというデメリットが存在する。そんなときに使いたいのが「クリアタイプフォント」だ(図4)。

「クリアタイプフォントというのは、XP以降のWindowsに搭載されている、アンチエイリアス処理(輪郭のギザギザを軽減させる処理)がなされたフォントのことです。クリアタイプフォントは表示の滑らかさに特徴があるため、スクリーンなどに写しても読みづらくなりません。こうした場面で使用する資料であれば、メイリオなどのクリアタイプフォントを使用すると良いでしょう」(高橋さん)

図4:ビットマップフォントとクリアタイプフォント

図4:ビットマップフォントとクリアタイプフォント

また、資料を表示するサイズもフォント選びに関係してくるという。「たとえば大きく掲示する文書やスライドなどに使う文字には、より判読性が高いユニバーサルデザインフォント(UDフォント)を選ぶと良いでしょう」と高橋さん。

UDフォントとは、遠くからでも見やすく、読み間違いがないように可読性や視認性を高めてデザインされたフォントのこと。最近では広告などへの利用も進んでおり、さまざまなUDフォントが各フォントメーカーから販売されている。こういった知識があるだけで、フォント選びの選択肢が一気に広がるのではないだろうか。

以上、前編ではフォント選びの基本を紹介した。続く後編では、実際のビジネス資料を見ながら、明日からすぐに使えるフォント術と、フォントを選ぶ際の具体的な注意点を紹介しよう。

【お話をお伺いした方】
高橋 佑磨(たかはし ゆうま)
1983年、東京生まれ。2010年、筑波大学大学院生命環境学科研究科修了、博士(理学)。現在は、千葉大学大学院理学研究院助教。専門は進化生態学で、生物多様性の成立機構や機能について研究。研究発表の資料作成に必要なデザインのノウハウを普及することを目的にウェブベージ「伝わるデザイン|研究発表のユニバーサルデザイン」を運営。2014年には書籍『伝わるデザインの基本 よい資料を作るためのレイアウトのルール』を上梓した。

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