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【リフレクション特集:前編】あなたに無限の成長をもたらす「リフレクション」入門

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あなたはいま「自分の成長」を感じているだろうか。リクルートワークス研究所が首都圏で働く4,000人以上の会社員に対しておこなった調査(リクルートワークス研究所「ワーキングパーソン調査2008」)によると、自分が「成長している」という強い実感をもっている人の割合は、30歳前後を境にして急激に低下していくという。

社員たちは会社に入って最初の10年間は順調に成長するものの、仕事に慣れてきたあたりから成長実感が鈍化していくケースが多いのだ。

その理由のひとつは「知識の固定化」。人は経験を通じて問題を発見し解決するための知識やノウハウを身につけるが、一度「型」ができあがってしまうと、それを作り変えることがむずかしくなる。そして、一度できあがった特定のやり方や成功体験に固執しているだけでは成長が止まってしまう。

そこで、完成した「型」をほぐし、自分の仕事のやり方を見直す契機として注目され、リーダーの育成をはじめとする企業の人材教育に活用されているのが「リフレクション」だ。

リフレクションとは何か

「リフレクションとは、ひとことで言うと『内省』のことです。起こった出来事や自身の行為を内省すること、なにが良くてなにが悪かったか、振り返ることを意味します」。そう教えてくれたのは、北海道大学経済学部教授で「経験学習」研究者の松尾睦(まつお まこと)さんだ。

リフレクションの概念は、米国の教育哲学者であるジョン・デューイが提唱した「実践的認識論」における内省的思考(リフレクティブシンキング)に由来する。

「デューイは、ある経験の中で主体的に考えて得た知見を、その後に起こる経験に応用することの重要性を説いています。

たとえば、仕事でプロジェクトに関っている期間は、常に一つ一つの行為を振り返って『このアプローチで良かったか』『もっと良い方法はないか』と自問しながら作業する。さらにプロジェクトが終わったあとで全体を振り返り、そこから得たものを次の仕事につなげる。その繰り返しが、さらなる成長をもたらすのです」

“一流”は上手くいったときほどリフレクションを行っている

リフレクション、つまり「内省」は、「反省」とも違うと松尾さんは強調する。

「日本人はストイックだからか、『内省』しようとすると、出来ないことや失敗を振り返る『反省』になってしまいがちです。ネガティブな出来事ばかり振り返るんですね。けれど、リフレクションには成功体験を振り返るポジティブな振り返りも欠かせません。

たとえば営業目標を達成できたなら、そのときの自分の一挙手一投足を振り返り、なぜ売ることができたのかを分析してみる。よくわからないけどうまくいった、で終わってしまってはダメです。要因を正確に把握していないと、状況が変わったときに成功を再現できなくなってしまいますから」

「なぜかうまくいった」で終わってはいけない──この指摘に思い当たる人も多いのではないだろうか。仕事に不慣れなうちは内省を行っているが、ある程度仕事に慣れてからは内省を怠っている……。冒頭で挙げた、成長を感じることができていないビジネスパーソンも、このパターンが多いのかもしれない。

逆に、一定の成功を収めた人が、その後もリフレクションを続けたことで“一流”に到達したケースは少なくないという。

「英国ロイヤル・バレエ団でプリンシパルを務めた吉田都さんは、公演が終わるたびにプログラムのはじめから最後まで、その日の自分の踊りをすべて振り返るそうです。競泳の北島康介選手を育てた平井伯昌(ひらい のりまさ)コーチは、選手が速いタイムを出すたびに『なぜ速く泳げたのか』を言語化させていたというのも有名なエピソードです。

これはビジネスでも同じです。ある営業コンサルタントが十数人のトップ営業マンに集中的にインタビューしたところ、彼らはそろって自分の営業活動をしっかりと振り返っていることがわかったという話もあります」

一流のビジネスパーソンになりたいのであれば、“できないこと”をしているときだけではなく、“できること”をしているときにこそリフレクションを行う必要があるのだ。

リフレクションを中核とした成長サイクル

ビジネスの現場で成長するためには、リフレクション(内省)が欠かせない。そして、そのリフレクションを効果的に行い成長するためには、覚えておくべきサイクルが存在すると松尾さんはいう。

「内省の重要性を説いた理論は多数存在します。その中でも特によく知られているのが、組織行動学者であるデービッド・コルブが提唱した“経験学習サイクル”です」

経験学習サイクルとは、「具体的経験をする」→「内省する」→「教訓を引き出す」→「新しい状況に適用する」という4つの要素を循環させることで、人は成長することができるという理論だ。

図1:コルブの「経験学習サイクル」

図1:コルブの「経験学習サイクル」

一方、松尾さんはこれとは別に、ビジネスの現場でも活用しやすい独自のモデルを提唱している。それが下の図だ。

図2:松尾さんが提唱する「経験から学ぶ力の三要素」

図2:松尾さんが提唱する「経験から学ぶ力の三要素」

「人は『挑戦し、振り返り、楽しみながら』仕事をするとき、もっとも経験から多くのことを学ぶことができる。私はこれらを『ストレッチ』『リフレクション』『エンジョイメント』というキーワードに置き換え、『経験から学ぶ力の三要素』と呼んでいます」

『ストレッチ』とは、背伸びすれば届く高さの挑戦に向かって挑戦する姿勢のこと。そして『リフレクション』は、アクションを起こしている最中やアクション後の振り返り、『エンジョイメント』は、やりがいや意義を見出して仕事を楽しむことを指す。このサイクルを回すことが、ビジネスの現場で成長するには不可欠だと松尾さんは説く。

このサイクルを実践している人は、30代、40代、50代になっても成長し続けることができる。そして、このサイクルを回す要素のうち、中核となる行為が「リフレクション」なのだ。

では、成長のサイクルを適切に回すためには、どんな場所で、どのようにリフレクションすればいいのだろうか。後編では、自宅や職場で気軽にできる、リフレクションの具体的な方法を紹介する。

松尾 睦(まつお まこと)
北海道大学経済学研究科・経済学部教授。小樽商科大学商学部卒業。北海道大学大学院文化研究科(行動科学専攻)修士過程修了。東京工業大学大学院社会理工学研究科(人間行動システム専攻)博士課程修了。英国ランカスター大学よりPh.D.(Management Learning)取得。塩野義製薬、東急総合研究所、岡山商科大学、小樽商科大学、神戸大学を経て現職。おもな著書に『経験からの学習:プロフェッショナルへの成長プロセス』(同文舘出版)、『学習する病院組織──患者志向の構造化とリーダーシップ』(同)、『職場が生きる人が育つ「経験学習」入門』(ダイヤモンド社)、『「経験学習」ケーススタディ』(同)、『成長する管理職:優れたマネジャーはいかに経験から学んでいるのか』(東洋経済新報社)などがある。

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