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2020.03.16 NEW

0秒で動けますか?「振り返り」の習慣がある人ほど、判断が早い理由

0秒で動けますか?「振り返り」の習慣がある人ほど、判断が早い理由のイメージ

なにかしらの判断を求められた際、直感をもとに「仮説」を立て、「とりあえずの結論」を引き出して瞬時に行動へ移す。ますますスピード感が求められるようになった現代のビジネスパーソンにとって、「仮説力」は不可欠なスキルだ。

では、その「仮説」の精度を上げるためには、どうすればよいのか。仮説力のさらなる鍛え方について、前編に引き続き書籍『0秒で動け』(SBクリエイティブ)の著者でYahoo!アカデミア学長の伊藤羊一さんにうかがった。

ヤフーはなぜ「1on1」にこだわるのか

仮説をもとに第一歩、第二歩を踏み出せるようになったのなら、次にすべきは実行した内容の「振り返り(評価)」だ。

それがないと直感は磨かれず、仮説の精度も上がっていかない。伊藤さんによると、振り返りの際に大切なのは以下の3点だという。

・自分はどういう行動をしたのか
・その行動にはどんな意味があったのか
・それを活かして、これからなにをするのか

実際の行動を振り返りながら「だからなんなのだ」と問い、意味を見出し、自分なりの教訓にしていく。

振り返りの具体的な方法は、「内省(自分自身で考えること)」と「対話」の2つ。前者の場合、ノートに書き出す、SNSに投稿する、などが伊藤さんのおすすめ。後者の場合、定期的に人と話すことが推奨されており、ヤフーでも、社内制度として週に一度の1on1を行っている。

「週に一度、上司と部下が30分ほどのミーティングをやります。『この1週間どうだった?』みたいに漠然とした質問から始めて、だいたいは部下が目下抱えている仕事の課題や今後のキャリアについて話しますね。第三者から尋ねられて、言語化して初めて気づくことって意外と多い。要するに、部下に内省と気づきを促すための対話なんです」

内省も対話も、ポイントは週に一度という短いスパンで行うこと、そして、継続すること。モチベーションでやる/やらないを決めるのではなく、歯磨きのような習慣にしてしまうこと。実際にヤフーではその習慣を7年間続けてきた結果、あらゆる業務が1on1での振り返りを軸に動くようになったという。

オンオフ問わずに習慣化すべき思考法

そうして行動・振り返り・気づきのサイクルを回しつづけると、自分が何を重視し行動しているのかということが理解され、直感を支える「志」――自分の軸が明確になってくる

図1:サイクルが「志」を明確にし、直感が磨かれる

図1:サイクルが「志」を明確にし、直感が磨かれる

こうなることで、仮説のクオリティとスピードがどんどん上がり、判断を迫られたとき瞬時に答えを出すことができるようになる。いわば、あたかも「最初から答えが見えている」かのような状態になれる、と伊藤さんはいう。

「私自身、現時点では自分の軸(志)が明確なので、大抵のことは瞬時に判断できます。とはいえこの軸は、いったん出来上がったら変わらないというわけではないんですよ。

いまも行動するたびに『なんで自分はこれをするんだろう?』『あ、こういうことがあったからだ』『やっぱり方向はこっちだ』などと、微調整することがあります。大切なのことは、日々行動し、振り返りながら気づきを得るというサイクルを繰り返すことです」

まずは仮説を立てて行動することが大事。しかしもっと大事なことは、行動を振り返り、そのサイクルを回し続けることにあるという。そうすることで、瞬時に判断し、行動することができるようになっていくのだ。

それを踏まえたうえで、いまはまだ動くまでに時間がかかっている人にアドバイスを、とお願いすると、伊藤さんはこんな言葉をくれた。

「いろいろなことを話してきましたが、大切なのはこれらのメソッドを習慣化することです。ビジネスシーンはもちろん、『今日のランチは何にしようか』のような些細な事柄でもかまわないので、つねに仮説を立て、(前編で紹介した)根拠のピラミッドをつくる訓練をする。

『いま自分はこの店に行きたい』『なぜならば腹が減っていて、最近行ってなくて、安いからだ』とかでいいんですよ(笑)。騙されたと思って日常的な癖にしてみてください。仮説力や行動力に大きなプラスとなってくれるはずです

定食屋か、イタリアンレストランか、はたまたタイ料理店か。本気で動ける人になりたいなら、ビジネスシーンに限らずまずは今日や明日の昼食時、本記事で紹介したメソッドを取り入れることから始めてほしい。

【お話をお伺いした方】
伊藤 羊一(いとう よういち)
ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリスト、Yahoo!アカデミア学長。グロービス経営大学院客員教授としてリーダーシップ科目の教壇に立つほか、多くの企業やスタートアップ育成プログラムでメンター、アドバイザーを務める。
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