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身体だけでなく脳もネットにつながる!? IoBのルーツは米国の軍事研究にあった?

身体だけでなく脳もネットにつながる!? IoBのルーツは米国の軍事研究にあった?のイメージ

身体とインターネットをつなぐことで、我々の暮らしに新たな可能性をもたらす「IoB」。人の能力を拡張させるテクノロジーの未来とリスクに迫る!

IoTもIoBも、研究のルーツは米国の軍事研究にあった?

あらゆるモノをインターネットでつなぐ「IoT(Internet of Things)」。たとえば、スマートフォンで外出先から家電を操作できるようになったり、近くのパーキングの空き状況が見られたり。そうしたIoTと呼ばれる技術は私たちの暮らしにも普及し始めている。

そんなIoTの次に来るトレンドとして、注目を集めるかもしれないのが「IoB」だ。IoBとはInternet of Bodiesの略語で、「人の身体とインターネットをつなぐ仕組み」のこと。サイバーセキュリティや国際政治に精通する慶應義塾大学大学院教授の土屋大洋氏によれば、IoBのルーツもインターネットなどと同様に、軍事利用を目的とする研究にあるという。

「インターネットやドローン、AIをはじめ、あらゆる軍事目的の先進的な技術に投資するアメリカのDARPA(国防高等研究計画局)では、古くから人体や脳に関わる研究が行われてきました。そうした人体の研究とITの研究が結びついたテクノロジーは、いまや軍事だけでなく医療の世界などにも広まっています。現在ではペースメーカーなどさまざまな医療機器がIT化され、脈拍などを計測できるウェアラブルデバイスも普及していますが、これらもIoBと呼べるものです」(土屋氏)

IoBの最終段階は人間の脳のネット化?

昨年には世界的な影響力を持つアメリカのシンクタンクが、IoBについての講演とパネル討論を開催。研究者による講演では、(1)身体にデバイスを身につけて心拍などの計測を行う「定量化」、(2)ペースメーカーのように体内にデバイスを埋め込む「体内化」、(3)脳に直接デバイスを接続する「ウェットウェア」といった、IoBの3つのフェーズが説明された。

「3つの段階のうち『定量化』や『体内化』はすでに実現していますし、人工の骨や義足に活動量を計測するICチップを埋め込むなど、今後は日本でも高齢化社会でのヘルスケアを目的とした活用もさらに進むのではないかと思います。とはいえ、血が流れる脳にデバイスをつなげるという意味で「ウェットウェア」という呼ばれる段階については、倫理的な問題もあってそう簡単に実現はできません」(土屋氏)

実際には、まだ「ウェットウェア」の段階まで進んだ事例は世界に無い。しかし、「人が想像できることは実現できる可能性がある」とも土屋氏は言う。

「研究者のなかにはIoBをInternet of Brains(Brains=脳)と呼ぶ人もいます。たとえば、戦争や交通事故で脳に損傷を受けた人を回復させたい。あるいは数%しか使われていないとされる脳の可能性を引き出したい。そうしたニーズがあることは間違いありませんし、恐らくDARPAなどではそのための研究もある程度は進んでいるはずです。対テロ戦争でパイロットに危険を負わすことなく偵察活動をするためにドローンが使われ、それがあっという間に民間に普及したように、そうしたIoBの先端技術も軍事的な局面で必要になれば、一気に世の中に出てくるかもしれません」(土屋氏)

IoBの先に潜む命がけのリスクとは?

人間の脳が直接インターネットとつながるとなれば、まさに漫画や映画で描かれてきたSFの世界だ。そうした技術が実用化された未来では、一体どのようなことが可能になるのだろうか?

「脳がインターネットにつながる未来では、自動車などの乗り物や家電の操作などは考えただけでできるようになるでしょう。また、パソコンやスマートフォンのようなデバイスがICチップのように小型化されて体内に埋め込まれ、電話やメール、インターネットの検索など、現代の我々がデバイスを起ち上げて行っている作業もすべて脳で考えるだけで行えるようになるのではないでしょうか」(土屋氏)

つまり、脳がそれぞれの個人的なオフィスのようなスペースになり、いつでも記憶や情報を検索して資料を作成したり、人と繋がったりすることができる。スマートフォンもノートパソコンを持ち歩く必要がないことはもちろん、こうして書いている原稿だって、考えたことがそのまま活字になるのだろう。

とはいえ、IoBが「体内化」から「ウェットウェア」というフェーズにまで進んだ未来では、「さまざまなリスクも想定できる」と土屋氏は言う。

「体内に埋め込んだあらゆるデバイスに依存して生きているという状態は、宇宙で宇宙服に依存しているようなもの。人が組むプログラムにはミスがつきものですし、小型化されたチップに悪意のあるバグが仕込まれたり、体内のデバイスを不正に動作させて身代金を要求するランサムウェアのようなサイバー攻撃も想定できます」(土屋氏)

確かに生活は飛躍的に便利になるかもしれないが、その分だけリスクは大きいのかもしれない。場合によっては生命を脅かすリスクを負ってまで、いずれ人類は脳をインターネットに繋げる“電脳化”を実現するのだろうか。

監修:土屋 大洋(つちや もとひろ)

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)主任研究員などを経て、2011年より現職。その間、米マサチューセッツ工科大学国際関係研究所客員研究員、米イースト・ウエスト・センター客員研究員などを兼任。国際関係論、情報社会論、公共政策論を専門としている。

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