2020.01.20 update

EL BORDEとは

2020.01.20 update

2019.12.19 NEWエッジな視点

スニーカーブームが再燃した理由とは? 定価よりも“時価”で売買される時代が到来

スニーカーブームが再燃した理由とは? 定価よりも“時価”で売買される時代が到来のイメージ

日本でスニーカーブームが過熱し、社会現象にまでなったのは90年代後半のこと。80年代生まれの人であれば、小学生や中学生の頃にプロバスケットボールリーグのスタープレーヤーの名を冠したバスケットシューズに憧れたり、人気モデルのスニーカーを狙った「○○狩り」などという物騒な言葉を聞いたりしたことがあるかもしれない。

実はいま、アメリカを中心とする世界的な規模で、そんな90年代の熱狂ぶりを遥かに超えるスニーカーブームが起きている。

スニーカーブームを再燃させたリセール市場とは?

アメリカにおけるスニーカー市場は年々拡大を続け、いまやその規模は650億ドル(約7兆円)を超えるとも言われる。そうした市場拡大の背景には、ビジネスシーンでスニーカーが市民権を得たことなどさまざまな要因があるが、なかでもここ数年で大きな注目を集めるのが“リセール市場”の興起(こうき)だ。

リセールとは「転売」を意味し、リセール市場とは消費者が購入したスニーカーを売買する「二次流通」のための市場を指す。もちろん消費者から服や靴などを買取り販売するショップなど、主に中古品を対象としたリセール市場は日本でも馴染みがある。対して、アメリカ発の現在のスニーカーブームで注目すべきは、リセール市場で未使用のスニーカーが大量に取引されていること。

著名なアーティストとコラボしたスニーカーなど、人気モデルには定価の数十倍の値がつくことも。もはやスニーカーが投資対象になっているのだ。

モノを株式化する転売プラットフォーム

そんなアメリカのリセール市場を牽引するのが、ここ数年で新たに登場したオンラインの転売プラットフォーム。

たとえば従来のオークションサイトなどでも、人気モデルのスニーカーなどが、定価の数倍という価格で売買されることはこれまでもよくあった。しかし、そうしたオークションサイトでは個人間での値段交渉などが必要になるうえ、出品されている商品が本物かどうかの保証はない。

対して転売プラットフォームでは、売り手側と買い手側のやり取りを事業者が代行してくれるうえ、販売される商品の真偽はプロの鑑定士が判定する。つまり従来の個人取引にまつわるリスクを解消するオンラインサービスの台頭が、スニーカーのリセール市場を過熱させているのだ。

また、定価ではなくいわゆるプレミアム価格でスニーカーなどを購入する場合、買い手側にとってはそのアイテムの相場も気になるところだろう。

そこでアメリカで最も人気のある転売プラットフォームでは、需要と供給の関係から適正な相場を創出する株式市場の仕組みを採用。サイトでは商品の詳しいデータとともに取引相場や過去の取引価格の推移などが公開され、ユーザーは変動する価格を見極めながら取引を行うことができる。

メーカーが転売プラットフォームに新商品をリリース

今年には、そんな画期的な仕組みで飛躍的な成長を遂げる同プラットフォームが、大規模な資金調達に成功。創業10年以内、評価額10億ドル以上、未上場、テクノロジー企業といった4つの条件を満たす“ユニコーン企業”の仲間入りを果たしたことが大きなニュースにもなった。

そして昨年から今年にかけては、米国以外の国々や日本でも、同様の仕組みを持つスニーカーなどの転売プラットフォームも続々と登場してきている。

では、従来の常識を覆すこうした新たなマーケットが登場することで、一体何が起きるのだろうか?

前述した米国発の転売プラットフォームの創業者は、「一次流通と二次流通の区別がなくなり、ひとつの大きな市場に統合されるはず」と、スニーカー市場の未来を予測している。

実際、同プラットフォームでは、メーカーと協働した“プロダクトIPO”ともいえる新規公開株に見立てた新商品の独占販売もスタートさせている。もちろんこうした“プロダクトIPO”のメリットは、買い手側がどのような商品をどのくらいの価格で買いたいかを、売り手側であるメーカーが膨大なデータから予測できることにある。

定価の概念を覆すダイナミックプライシング

AIなどの技術が発達した現在では、市場に関するビッグデータさえあれば、需要と供給のバランスに応じてリアルタイムに変動する“時価”を算出することが可能だ。

こうした仕組みはダイナミックプライシング(価格変動制)と呼ばれ、実はスニーカーのリセール市場のみならず、プロ野球やプロサッカーリーグ、航空券などのチケット市場、ホテル業界などでの導入もスタートしている。

さらに今年には、日本のコンビニエンスストアや大手家電量販店などが相次いでダイナミックプライシングの導入を発表。一部の店舗ではすでに実証実験が開始されるなど、チケット販売やホテル予約などのWeb上のサービスだけでなく、リアル店舗への広がりも見せている。

私たちが慣れ親しんできた定価という概念はより希薄になり、誰もが“時価”で買い物をするのが当たり前の時代が到来するだろう――。そうした時代の空気をいち早く読み、自社サービスにダイナミックプライシングを導入した転売プラットフォーマーの存在が、スニーカーのリセール市場を過熱させる大きな要因となったことは間違いない。

従来のモノの売買の常識を覆す新たな市場の登場や、モノの価格を再定義するダイナミックプライシングの普及など、近年の小売業界に見られる大きな変化は、人々の購買行動にも少なからず影響を与えるだろう。そうしたトレンドを掴んでおくことは、これからのビジネスのヒントを見つけるためにもきっと有効になるはずだ。

記事の購読、ありがとうございました。
公式SNSページから最新記事をキャッチ!

Related Posts関連記事

Latest articles最新記事

記事一覧

Recommended articlesあなたへのおすすめ

記事一覧

  • 投資の注目テーマ紹介 「インド」の人口ボーナス期は千載一遇の投資チャンス?
  • 野村のつみたてNISAで投資による資産形成をスタート!
  • CMギャラリー 2020に夢を。2020に力を。

ページの先頭へ