2025.08.29 NEW

設備投資促進税制の創設要望 恩恵を受ける可能性がある企業リスト 野村證券ストラテジストが解説

設備投資促進税制の創設要望 恩恵を受ける可能性がある企業リスト 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

経産省、企業の国内設備投資を促す新税制を要望

2026年度の税制改正要望の主なポイントは、NISA(少額投資非課税制度)拡充(「全世代型」および銘柄入れ替えの促進)、暗号資産(仮想通貨)税制の見直し、ならびに設備投資促進税制です。今回は設備投資促進税制に焦点を当てます。

設備投資促進税制の要望は、投資額の一定割合を法人税から直接控除する税額控除の拡充が中心となります。5年間の時限措置であり、企業規模や投資対象を限定しない点が特徴です。米国における即時償却制度の恒久化法案や、ドイツの法人税率引き下げなどの動きも意識した内容です。課税所得の圧縮が実現すれば、税引後利益やキャッシュフロー(現金収支)の改善が見込まれます。

現時点では具体的な控除率や金額規模などが示されていないため、過度な期待はできませんが、2025年11月後半以降に税制改正の詳細な検討が進み、全体像が明らかになる見込みです。

設備投資の加速度償却メリットおよび減税案の恩恵を受ける可能性のある企業

設備投資ファクター(設備投資の時価総額比)は、名目鉱工業生産と連動しやすい指標です。景気やインフレが上昇する局面では、設備投資のメリットが市場で注目されやすくなります。

設備投資額上位20%銘柄の相対株価と名目鉱工業生産(鉱工業生産×企業物価)

設備投資額上位20%銘柄の相対株価と名目鉱工業生産(鉱工業生産×企業物価)のイメージ (注)設備投資額上位20%銘柄は、TOPIX構成銘柄の設備投資実績÷時価総額が上位20%の企業。月次リバランス。
(出所)JPX総研、経済産業省、日本銀行より野村證券市場戦略リサーチ部作成

設備投資促進税制案が実現した場合、シクリカル要因とは別に、設備投資額の多い企業が市場で評価されやすくなる見通しです。今回は、国内設備投資金額(試算値)の時価総額比が大きい企業を整理しました。

国内設備投資金額(試算値)が時価総額比で大きい企業(設備投資加速度償却メリット候補)
銘柄コード 企業名 時価総額 今期設備投資予想 来期設備投資予想 来期設備投資予想×(1-海外売上比率) 来期設備投資予想×(1-海外売上比率)÷時価総額
10億円 10億円 10億円 10億円
1820 西松建設 212.7 16.0 23.9 21.0 10.0
1860 戸田建設 326.9 41.0 57.8 57.8 17.7
1893 五洋建設 306.0 22.5 49.3 38.9 12.7
1925 大和ハウス工業 3,470.3 500.0 416.5 347.5 10.0
2206 江崎グリコ 339.7 24.4 45.2 34.3 10.1
3003 ヒューリック 1,215.6 386.1 417.1 417.1 34.3
3231 野村不動産ホールディングス 846.3 57.0 174.4 174.4 20.6
3289 東急不動産ホールディングス 862.4 103.1 90.6 90.6 10.5
3436 SUMCO 436.0 62.3 214.9 45.3 10.4
3861 王子ホールディングス 809.7 104.8 153.4 90.8 11.2
4088 エア・ウォーター 575.1 98.1 80.5 71.4 12.4
4188 三菱ケミカルグループ 1,249.9 335.5 339.2 164.5 13.2
4666 パーク24 344.6 48.8 50.6 39.3 11.4
4755 楽天グループ 1,932.3 285.5 257.0 213.0 11.0
5020 ENEOSホールディングス 2,336.5 480.0 346.0 272.3 11.7
5021 コスモエネルギーホールディングス 630.0 128.5 93.9 83.4 13.2
5076 インフロニア・ホールディングス 391.2 49.3 41.9 41.9 10.7
5233 太平洋セメント 470.8 110.3 126.5 75.1 15.9
5401 日本製鉄 3,359.6 1,000.0 583.5 342.8 10.2
5411 JFEホールディングス 1,162.5 400.5 314.8 200.4 17.2
8227 しまむら 803.2 22.5 158.8 156.7 19.5
8279 ヤオコー 390.6 30.0 39.6 39.6 10.1
8804 東京建物 587.0 83.3 125.8 125.8 21.4
9001 東武鉄道 540.5 92.5 109.9 109.9 20.3
9005 東急 1,168.2 201.9 126.4 126.4 10.8
9006 京浜急行電鉄 428.7 120.0 75.6 75.6 17.6
9007 小田急電鉄 623.5 116.6 65.4 65.4 10.5
9008 京王電鉄 440.7 108.0 45.8 45.8 10.4
9009 京成電鉄 711.2 102.5 80.0 80.0 11.2
9020 東日本旅客鉄道 4,040.8 723.6 825.8 825.8 20.4
9021 西日本旅客鉄道 1,566.1 307.6 284.2 284.2 18.1
9022 東海旅客鉄道 3,999.5 621.0 519.2 519.2 13.0
9023 東京地下鉄 993.5 124.0 119.0 119.0 12.0
9042 阪急阪神ホールディングス 1,095.8 105.0 116.9 116.9 10.7
9045 京阪ホールディングス 344.5 60.0 60.9 60.9 17.7
9048 名古屋鉄道 334.1 151.4 121.5 121.5 36.4
9104 商船三井 1,744.6 325.0 453.7 342.6 19.6
9142 九州旅客鉄道 637.1 118.3 107.6 107.6 16.9
9201 日本航空 1,390.6 285.0 290.0 145.4 10.5
9202 ANAホールディングス 1,438.4 307.5 255.9 182.0 12.7
9432 NTT 14,288.8 2,158.4 2,087.4 2,087.4 14.6
9502 中部電力 1,549.7 320.0 272.4 272.4 17.6
9503 関西電力 2,312.4 700.0 513.1 513.1 22.2
9504 中国電力 348.3 200.0 340.5 340.5 97.8
9506 東北電力 587.4 325.0 384.0 384.0 65.4
9508 九州電力 743.8 365.0 350.4 350.4 47.1
9513 電源開発 518.8 165.0 132.5 102.0 19.7
9531 東京瓦斯 2,114.1 370.0 320.8 320.8 15.2
9532 大阪瓦斯 1,672.7 280.5 221.7 195.0 11.7
9831 ヤマダホールディングス 453.1 30.5 45.3 45.3 10.0

(注)対象は時価総額3000億円超のTOPIX構成企業。税制メリットが国内設備に絞られる点を考慮して、来期予想設備投資額×(1-直近海外売上高比率)で国内設備投資金額を試算。これに対して加速度償却が適用されると考えられるため、国内設備投資金額試算値÷時価総額比が大きい企業がメリットが大きいと考え同比率が10%超の企業をスクリーニング。業績予想はQUICKコンセンサス(東洋経済予想で補完)。2025年8月27日時点。
(出所)QUICK、東洋経済新報社より野村證券市場戦略リサーチ部作成

さらに、産業間の取引関係(産業連関)を踏まえ、主な販売先に国内設備投資金額(試算値)の実額が多い企業(上位40社)のうち2社以上が含まれる企業、すなわち設備投資の増加に伴い売上高の拡大が期待できる企業も整理しました。

主な販売先に国内設備投資上位(試算値)40社が2社以上含まれ、設備投資減税案の恩恵を受ける可能性のある企業
銘柄コード 企業名 時価総額 主な販売先に国内設備投資上位40社中何社が含まれるか
10億円 社数
1417 ミライト・ワン 256.6 2
1808 長谷工コーポレーション 728.1 3
1870 矢作建設工業 94.2 2
1899 福田組 50.2 3
1942 関電工 798.2 2
1949 住友電設 240.9 2
1968 太平電業 136.7 2
2317 システナ 207.8 2
4095 日本パーカライジング 187.4 3
4443 Sansan 239.9 3
4825 ウェザーニューズ 110.1 4
5351 品川リフラクトリーズ 90.4 2
5393 ニチアス 385.2 2
5471 大同特殊鋼 272.5 2
5943 ノーリツ 95.0 2
5947 リンナイ 529.4 2
5992 中央発條 86.1 2
6201 豊田自動織機 5,324.2 2
6474 不二越 86.1 2
6501 日立製作所 18,518.7 2
6508 明電舎 272.3 4
6622 ダイヘン 196.6 2
6623 愛知電機 54.5 3
6703 沖電気工業 135.4 2
6859 エスペック 79.7 3
6923 スタンレー電気 458.4 2
7014 名村造船所 230.0 2
7485 岡谷鋼機 159.2 2
7988 ニフコ 422.7 2
8056 BIPROGY 637.9 2
8061 西華産業 71.1 3
9364 上組 467.4 2
9519 レノバ 81.6 3
9692 シーイーシー 84.8 2
9793 ダイセキ 185.1 2

(注)対象は時価総額500億円以上の全上場企業。主な販売先に来期予想国内設備投資金額上位の上場企業40社のうち2社以上含まれることが確認できる企業をスクリーニング。来期予想国内設備投資金額上位の上場企業40は、来期予想設備投資額×(1-直近海外売上高比率)より試算した。業績予想はQUICKコンセンサス(東洋経済予想で補完)。2025年8月27日時点。
(出所)QUICK、東洋経済新報社より野村證券市場戦略リサーチ部作成

(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

編集元アナリストレポート

日本株ウィークリー- 煮詰まり感を示すシグナルの増加に注意(2025年8月28日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。

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