2026.05.12 NEW

インデックス・ファンドだけで本当によい? 資産運用にアクティブ・ファンドが必要な理由をプロが解説 モニクル総研・篠田さん

インデックス・ファンドだけで本当によい? 資産運用にアクティブ・ファンドが必要な理由をプロが解説 モニクル総研・篠田さんのイメージ

撮影/タナカヨシトモ(人物)

コストの低さや分かりやすさなどを理由に、インデックス・ファンドが人気を集めています。しかしモニクル総研シニアアナリストで、ファンド分析のプロである篠田尚子さんによると、中長期的な資産形成を目的とする資産運用はインデックス・ファンドだけでは十分とはいえず、アクティブ・ファンドを上手に組み合わせることが大切とのことです。なぜアクティブ・ファンドが資産運用に必要なのでしょうか。その理由やプロの視点でのアクティブ・ファンドの選び方、組み入れ候補となる資産クラスなどについて聞きました。

インデックス・ファンドだけで本当によい? 資産運用にアクティブ・ファンドが必要な理由をプロが解説 モニクル総研・篠田さんのイメージ

じわり高まるアクティブ・ファンドへの関心

2024年1月にNISA(少額投資非課税制度)の制度が変わり、2年あまりが過ぎました。個人投資家の投資行動に変化はありますか。

個人投資家の投資先には少しずつ変化が出始めている印象です。個人投資家向けセミナーで全国を行脚していると、来場者から「インデックス・ファンドはあまり面白くない」などの声が寄せられるようになりました。相対的な信託報酬の低さや円安・ドル高の進行などを理由に、ここ数年は米国の株価指数や世界の株価指数に連動するインデックス・ファンドに投資する人が多いです。一方で、インデックス・ファンドの次の選択肢として、アクティブ・ファンドへの関心も高まり始めていると感じます。個人投資家の間でだんだんと「自我」が芽生えてきているとも言えます。

自我とは何でしょうか。

何となく資産運用を始めた投資家がだんだんと興味を広げ、主体的に投資情報を得るようになってきた、ということです。

インデックス・ファンドをあまり面白くないと感じるのは、一般的に株価指数などと同じリターンを目指す商品設計になっているため、自分の興味がある投資対象とは異なるものに投資する場合があるなど、投資アイデアを反映させる余地が限られるからだと思います。

もちろん、中長期にわたり投資し続けるわけですから、インデックス・ファンドのように相対的にコストが低く、分かりやすい商品設計のファンドで資産運用をするメリットは大きいです。一方で、興味がある投資テーマで運用するアクティブ・ファンドや、タイミングをみて一括で投資するなど、「インデックス・ファンドの積立投資」以外の選択肢があることを知っていれば、より楽しみながら資産形成できるかもしれません。

まとめると、インデックス・ファンドの積立投資を通じて基本的な資産運用に慣れた個人投資家が「投資先の引き出しをもっと増やしたい」「いろいろな投資テーマに興味が出てきた」など、資産運用を楽しみたいという自我が芽生え、次の選択肢としてアクティブ・ファンドを検討し始めた、ということです。

それでもいざアクティブ・ファンドに投資するとなると、身構えてしまう個人投資家も多いのでしょうか。

インデックス・ファンドのメリットが飛び交いがちなソーシャルメディア(SNS)などの情報を見て資産運用を始めた人にとっては、「コストが高い」「ハイリスク・ハイリターン」といったイメージがあるのかもしれません。しかし、そうしたイメージだけでアクティブ・ファンドをとらえるのは、正しくありません。

アクティブ・ファンドとは、インデックス・ファンドのように特定の指数に連動するのではなく、ファンドマネージャーが銘柄を選び、指数を上回る運用成果を目指すファンドです。資産運用会社の哲学やファンドの投資テーマなどに沿って柔軟に運用できるため、ハイリスク・ハイリターンを志向する投資家向けのファンドもあれば、長期的な資産形成に欠かせない資産分散を行うバランス型ファンドもあるなど、選択肢は非常に多いです。「かゆい所」に手が届きやすく、実は「自分の投資目的に合致したファンドはアクティブ・ファンドだった」というケースも少なくないのです。

自分に合ったアクティブ・ファンドを見極める3つの軸

アクティブ・ファンドは選択肢が多いだけに「何を選べば良いのか」と悩む個人投資家も多いと思います。どんな選び方をすれば自分に合ったファンドを見つけられるのでしょうか。

自分に合った、長期的な資産形成に資するアクティブ・ファンドを見極める手掛かりとして(1)収益性/成長性、(2)優位性、(3)再現性という3つの判断基準を紹介します。これらを軸に選ぶと良いかもしれません。

(1)収益性/成長性
アクティブ・ファンドの選び方で最も大切なのは「中長期的な視点で見てほかの類似ファンドと比べてリターンが高いかどうか」です。例えばあるファンドの平均的な年率リターンが5%だったとしても、類似ファンドや参考指標(ベンチマーク)の株価指数のリターンが軒並み10%を超えていれば、優れたファンドとは言えません。各ファンドの紹介ページや月次レポートなどで資産運用会社が公表しているリターンのデータをチェックし、類似ファンドや参考指標のリターンと比べてみましょう。後述する優位性や再現性にも関係しますが、そのファンドが将来も高いリターンを生み出し続けられる実力がありそうかどうかも、さまざまな資料を基にイメージしてみるとよいでしょう。

(2)優位性
そのアクティブ・ファンドに投資する十分な理由があるかどうかが、自分にとっての優位性の有無を見極めるポイントになります。例えば「個別株の投資は難しいけれどAI(人工知能)ブームなので投資したい」など、根拠は何でも構いません。市場動向だけではなく、資産運用会社やファンドの投資哲学・投資スタイル、運用担当者のインタビュー記事・動画など、手掛かりはインターネット上にもたくさんあります。「この人(この資産運用会社)やテーマになら投資しても良い」と思えれば、アクティブ・ファンドへの投資のハードルも下がるはずです。

(3)再現性
「再現性がある」とは、確立された投資手法があり、将来にわたり同じ程度の運用成果を安定して獲得し続けることです。リターンの安定性は、長期的に資産運用を成功させるためのカギのひとつです。例えば、株式で運用するファンドは相対的に値動きが大きくなりやすいですが、銘柄選別が特定のタイミングで「たまたま」当たり、基準価額が「一時期だけ」大きく上昇している、というファンドもあるかもしれません。そのようなファンドは投資手法や運用担当者の銘柄選別がうまく機能していない可能性があります。ファンド紹介ページなどで過去に極端なリターンの変化がなかったかどうか、確認してみましょう。

自分の投資目的に合ったアクティブ・ファンドを探し出すのは、大変な作業かもしれません。銘柄選別の際には「なぜインデックス・ファンドだけではダメなのか」「積極的にリスクを取りたいのか、抑えたいのか」「どんな投資テーマに関心があるのか」といった投資目的を言語化しておき、より解像度を上げておくことで取捨選択でき、かつ長期運用しやすくなるでしょう。

ファンド選びで陥りがちなリスク

アクティブ・ファンドに限らず、ファンド選びで個人投資家が陥りがちなリスクはあるでしょうか。

はい。特に気を付けてほしいリスクが2つあります。1つ目は「分散したつもり」になっていることです。例えば、世界中の株式に分散投資するファンドと米国株に投資するファンドの両方を保有していても、思うように分散できていないこともあります。世界の株式に分散投資するファンドの中には、時価総額がとても大きい米国株式が投資先の大半を占めている例もあるからです。つまり、米国株ファンドに投資しつつ、世界株ファンドでさらに米国株を積み増している可能性があるのです。

投資先の偏りは、資産クラスであれ国・地域であれ、投資した市場でリスクが高まった時などに、大きな影響を受けることにつながります。その間、他の資産クラスや国・地域の市場が大きく上昇していれば、リターン獲得の機会を逃すことにもなりかねません。そのため、自分の金融資産全体を俯瞰してしっかりと分散投資できているか、チェックすることが大切です。

2つ目は、投資初心者であればあるほど、ソーシャルメディアなどの情報に頼りがちということです。こうした情報をすべて鵜呑みにして自身の銘柄選択につなげるのは、避けたほうがよいでしょう。SNSでは多くの投資系インフルエンサーが情報発信しています。彼らが書く記事や動画を見ていると、有益な内容はあるものの、すべてのインフルエンサーが資産運用の目的やそれぞれのファンドの強み、弱みを正しく理解した上で情報を発信しているわけではありません。

例えば、投資家がファンドの保有期間中に負担する信託報酬については「低いほど優れたファンド」と紹介するインフルエンサーが目立ちます。もちろん100%間違いではありません。しかし、資産運用会社のプロフェッショナルな調査力や銘柄選別力、信頼性、リターンの対価と考えれば、必ずしもアクティブ・ファンドの信託報酬が高いとは言えません。信託報酬を控除した後のファンドのリターンが株価指数などのベンチマークを上回っている例は、たくさんあります。

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米国株保有者の分散投資先は日本株や新興国株が候補

どんな資産クラスに分散投資したら良いでしょうか。

金融資産が米国株中心で日本株や新興国株を保有していなければ、それらが分散投資先の候補のひとつになるでしょう。日本株市場は言語の壁もあってか、海外投資家が十分にカバーしきれていないと考えています。そのため、株価が企業業績を正しく反映していない銘柄も少なくなく、ファンドの運用担当者が割安な銘柄を見つけてファンドに組み入れるなど、腕前を発揮する余地が大きい市場と言えます。

また、新興国株については、そもそもインデックス・ファンドはなじみにくいかもしれません。新興国株のインデックス・ファンドが参照するベンチマークは、大きく成長し続けた後の国・地域とこれからの成長が期待される国・地域が混ざり合って株価指数を構成する例が多いです。そのため、中国や台湾など経済がある程度発展した国・地域にある主力企業の株価動向の影響を受けやすくなっています。中長期的な成長に期待して新興国株に投資するわけですから、5年、10年かけて経済規模がどんどん大きくなるような成長力のある国・地域に絞り、個別銘柄を厳選して投資するアクティブ・ファンドのほうが、投資の目的に沿う可能性があります。

楽しみながら投資するという観点では、自分が興味のある分野を投資テーマにしたファンドを選ぶのも一案です。例えば「宇宙開発」であれば、宇宙ビジネスを手掛ける個別銘柄に投資するアクティブ・ファンドなどです。また、最低投資金額が高く個別銘柄への投資がしにくい、いわゆる「値がさ株」も少なくない半導体関連株にファンドを通じて間接的に投資する、という運用方法も考えられます。

個人投資家へのメッセージをお願いします。

NISAの普及などにより個人投資家のすそ野が広がり、資産運用への関心が高まるにつれ、ある程度の経験を積んだ投資家の間ではアクティブ・ファンドへの関心が高まっていると感じます。アクティブ・ファンドは種類が多く、テーマもそれぞれ異なるため、資産運用の目的に合ったファンドもきっと見つかるでしょう。資産運用会社のホームページなどでファンドの投資哲学や過去のリターンなどを丁寧にチェックし、ぜひ自分に合ったファンドを見つけてください。その際、自分の金融資産全体が特定の資産クラスや国・地域に偏っていないか、確認することも忘れないようにしましょう。

インデックス・ファンドだけで本当によい? 資産運用にアクティブ・ファンドが必要な理由をプロが解説 モニクル総研・篠田さんのイメージ
モニクル総研
シニアアナリスト
篠田 尚子さん
慶応義塾大学法学部卒業。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。国内銀行にて個人向け資産運用相談業務を経験した後、2006年ロイター・ジャパン(現LSEG)入社。傘下の投信評価機関リッパーにて、投資信託業界の分析レポート執筆や評価分析業務に従事。2013年、楽天証券経済研究所に入所。2025年5月、株式会社モニクルに参画。ファンド・アナリスト業務や金融教育に関連する情報発信に従事。 著書に『本当にお金が増える投資信託は、この10本です。』、『新NISA完全ガイド FP&投資信託のプロが教える』(いずれもSBクリエイティブ)、共著に『一生楽しく浪費するためのお金の話』(イースト・プレス)他。

※本コラムで取り上げられたマーケットや投資に関する考え方などについては、あくまで個人の見解によるものであり、野村證券の意見を代表するものではございません。

投資信託の手数料等およびリスクについて

投資信託のお申込み(一部の投資信託はご換金)にあたっては、お申込み金額に対して最大5.5%(税込み)の購入時手数料(換金時手数料)をいただきます。また、換金時に直接ご負担いただく費用として、換金時の基準価額に対して最大2.0%の信託財産留保額をご負担いただく場合があります。投資信託の保有期間中に間接的にご負担いただく費用として、国内投資信託の場合には、信託財産の純資産総額に対する運用管理費用(信託報酬)(最大5.5%(税込み・年率))のほか、運用成績に応じた成功報酬をご負担いただく場合があります。また、その他の費用を間接的にご負担いただく場合があります。外国投資信託の場合も同様に、運用会社報酬等の名目で、保有期間中に間接的にご負担いただく費用があります。
投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とするため、当該資産の市場における取引価格の変動や為替の変動等により基準価額が変動します。従って損失が生じるおそれがあります。投資信託は、個別の投資信託ごとに、ご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。また、上記記載の手数料等の費用の最大値は今後変更される場合がありますので、ご投資にあたっては目論見書や契約締結前交付書面をよくお読みください。

株式の手数料等およびリスクについて

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