2026.08.13 NEW

過去の円高時に上昇した銘柄ランキング(2026年7月31日)

過去の円高時に上昇した銘柄ランキング(2026年7月31日)のイメージ

日米協調介入で米ドル円相場は一時的に円高が進行

2026年7月に入ると、米ドル円相場は1米ドル=164円に迫る場面もありました。しかし、7月31日に日米当局が協調して為替介入を実施したことで、円高が急速に進行しました。米ドルは対円で7月30日から8月3日にかけて、163円台から一時155円台まで急落しました。協調介入は2011年の東日本大震災の直後以来、15年ぶりとなりました。

市場では、追加介入の有無に加え、円安圧力に歯止めがかかるのか、または再び円安が進行するのか、米ドル円相場の行方が注視されています。今後仮に、円安から円高へトレンドが転換した場合、どのような銘柄が恩恵を受けやすいのでしょうか。

過去5年で円高時に上昇した銘柄

ここでは、参考として、過去に円高が進行した時には、どのような銘柄が上昇したかを見てみましょう。銘柄分析にあたり、「対米ドル円ベータ値」という指標を用いました。この指標は米ドル/円の為替変動に対して、市場全体の変動を超えて動く傾向のある(為替感応度が高い)個別銘柄に注目できる指標です。

ベータ値がマイナスで値が大きい銘柄ほど、円高ドル安の為替変動の影響を受けて上がったということを意味します。また、ベータ値=0は、その銘柄は為替変動の影響を受けなかったということを意味します。

対米ドル円ベータ値を用いて、マイナスの値が大きい銘柄をまとめたものが、以下のランキングです。対象期間は2021年8月末から2026年7月末までの5年間です。REIT(不動産上場投資信託)を除く野村アナリストカバー銘柄のうち、時価総額1兆円以上(2026年7月31日時点)の銘柄を対象としています。

【銘柄ランキング】対米ドル円ベータ値
順位 銘柄
コード
銘柄名 対ドル円
ベータ
1円の円安
ドル高
による影響
売上高
年平均成長率
売上高
経常利益率
ROE グループ
(%) (過去5年間) (過去5年平均) (過去5年中央値)
1 9843 ニトリホールディングス -1.47 -0.02 4.9% 14.8% 10.1% ①円高メリット
2 7453 良品計画 -0.99 - 34.3% 8.3% 14.9% ①円高メリット
3 5332 TOTO -0.82 - 4.9% 7.8% 7.8% ③高成長期待
4 3563 FOOD & LIFE COMPANIES -0.74 - 16.0% 5.8% 20.2% ①円高メリット
5 4689 LINEヤフー -0.69 - 11.0% 12.6% 5.1% ②円高無関係
6 9107 川崎汽船 -0.67 - 10.2% 42.9% 18.8%
7 4063 信越化学工業 -0.66 0.48 11.5% 32.4% 12.8% ③高成長期待
8 3092 ZOZO -0.64 - 9.2% 30.4% 55.0% ④高ROE
9 5713 住友金属鉱山 -0.60 0.65 13.5% 13.6% 9.0%
10 9024 西武ホールディングス -0.59 - 8.8% 10.0% 6.9%
11 3391 ツルハホールディングス -0.58 - 11.5% 4.6% 9.4% ①円高メリット
12 3659 ネクソン -0.58 - 10.1% 38.5% 12.1% ②円高無関係
13 6758 ソニーグループ -0.56 0.36 6.8% 10.8% 13.1% ③高成長期待
14 7936 アシックス -0.55 - 19.8% 10.3% 18.8% ④高ROE
15 6702 富士通 -0.55 0.18 -0.5% 8.2% 13.5%
16 9684 スクウェア・エニックス・ホールディングス -0.55 - -2.2% 16.2% 8.7% ②円高無関係
17 9766 コナミグループ -0.51 - 12.6% 23.2% 16.4% ②円高無関係
18 9101 日本郵船 -0.49 - 8.5% 25.0% 17.2%
19 9697 カプコン -0.49 - 15.4% 39.3% 23.9% ②円高無関係
20 4755 楽天グループ -0.48 - 11.4% -9.0% -18.5% ②円高無関係
21 4684 オービック -0.46 - 10.0% 72.3% 15.8% ④高ROE
22 6920 レーザーテック -0.44 0.38 42.7% 40.5% 45.4% ③高成長期待
23 7701 島津製作所 -0.42 0.79 7.3% 14.6% 12.5% ③高成長期待
24 6869 シスメックス -0.41 0.36 10.4% 15.2% 12.1% ③高成長期待
25 7309 シマノ -0.41 0.53 4.3% 21.9% 9.1%

(注1)対象はREITを除く野村アナリストカバー銘柄で時価総額1兆円以上(2026年7月31日時点)。対米ドル円ベータ値の下位25銘柄を記載。全ての銘柄をグループ化しているわけではない。
(注2)各ベータ値は、直近60ヶ月(5年)の月末ベースの月間騰落率より算出(修正株価を使用)。米ドル円相場は日銀公表値終値(売り気配)を採用。直近値は2026年7月。1円の円安米ドル高による影響は、対米ドルで1円円安が進行した場合の2026年度営業利益への影響で、野村證券エクイティ・リサーチ部の予想(2026年7月31日時点)。なお、信越化学工業は経常利益、住友金属鉱山、富士通は税前利益に対する影響。1円の円安米ドル高による影響が記載されていない銘柄は為替の業績への影響が小さいと判断される、あるいは不明な銘柄。
(出所)東京証券取引所、日本経済新聞社、日本銀行、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

過去5年間、円高・米ドル安が進行した際に上昇した銘柄は、概ね下記のようなグループに分けられます。

①円高メリットグループ

小売・食品など、円高により商品や原材料の仕入コストが低下すると期待される業種

②円高無関係グループ

ゲーム、インターネットサービスなど、為替の影響を受けにくいとされる業種

③高成長期待グループ

成長期待の高い半導体・電子デバイス関連銘柄

④高ROE(自己資本利益率)グループ

内需、外需問わず、ROEが高い銘柄

一般的には、①円高メリットや②円高無関係に該当する銘柄のように、他の業種に比べ、円高・米ドル安が業績に好影響(あるいは影響が限定的)であるグループの銘柄が上昇すると考えられがちです。ただ実際には、円高が業績的には不利に働くことが多い③高成長期待銘柄や、収益性、成長性にすぐれているだけでなく財務的基盤も安定しているブルーチップ(優良株)性の高い④高ROE銘柄も数多く名を連ねています。

過去の円高時に上昇した銘柄ランキング(2026年7月31日)のイメージ
野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト
大坂 隼矢
2010年入社。3店舗での支店業務を経て、2015年3月より投資情報部。現在は月刊誌「Nomura21 Global」等、個人投資家向け株式資料の作成をはじめ投資情報の提供を行う。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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