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【防災とお金】災害時に備える「緊急予備資金」とは? 現金はいくら必要?

【防災とお金】災害時に備える「緊急予備資金」とは? 現金はいくら必要?のイメージ

災害大国日本では、自分がいつ災害に見舞われるかわからない。もしもに備えて防災グッズを用意している人は多いかもしれないが、災害時のために「いくら・どのように」して用意しておけばいいのか、防災の観点から“お金”について考えたことはあるだろうか?

今回は、災害に備えて何をしておけばいいのか、まずは防災対策の基本について簡単に触れつつ、防災とお金についても考えてみよう。

災害への備えをしている?

地震や台風、豪雨など、毎年のように自然災害による大きな被害が各地で報告されている。特に日本は四方を海に囲まれているため、巨大な地震が発生すれば、津波による大きな被害も想定される。

セコム株式会社が実施した「防災に関する意識調査」によると、今後の災害増加や被害の拡大を懸念する人は90.6%(「どちらかといえばそのように思う」54.8%と「そのように思う」35.8%の合計)に達し、2012年の調査開始から初の9割超えを記録した。

また、防災対策をしている人は51.6%で、今回の調査ではじめて5割を超えた。実施している対策の内容は、「一定量の食料・生活用品の日常的な備蓄(ローリングストック)」(67.4%)と「非常持ち出し袋の用意」(62.8%)がともに6割を超えた。ただ、「ハザードマップなどで危険エリアや避難場所を確認している」(42.2%)や「テレビや食器棚等への転倒防止器具の設置」(37.2%)など、災害に備えてさらに踏み込んだ対策をしている人は半数にも満たなかった(図1)。

図1:具体的にどのような防災対策をしているか(複数回答)

図1:具体的にどのような防災対策をしているか(複数回答)

出典:セコム株式会社「防災に関する意識調査」をもとに編集部作成

全国の20代以上の男女500名(20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60歳以上の男女各50名)を対象にしたインターネット調査。2021年7月9日~7月10日に実施。

全体のn数=258は、防災対策をしている人。

反対に、残り約半数の防災対策をしていない人の理由を見てみると、「具体的にどのような対策をすればよいかわからないから」(50.8%)が最も多かった。また、「住んでいる地域でほとんど災害が起こらないから」(29.3%)が次いで多く、当事者意識の希薄さも要因になっているようだ(図2)。災害への懸念を抱く人が増えているものの、いざというときの備えができていない人が一定数いる様子も浮き彫りになった。

図2:防災対策をしない理由(複数回答)

図2:防災対策をしない理由(複数回答)

出典:セコム株式会社「防災に関する意識調査」をもとに編集部作成

全国の20代以上の男女500名(20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60歳以上の男女各50名)を対象にしたインターネット調査。2021年7月9日~7月10日に実施。

全体のn数=242は、防災対策をしていない人。

最低限しておきたい防災対策

では、災害に備えて、具体的にどのような準備をすればいいのだろうか。

先述のアンケートで、実施している防災対策として最も多かった食料や生活用品の備蓄だが、特に食料や水は、一般的に「最低3日分×家族分」が必要とされている。カップ麺や缶詰などの食料品や飲料を非常食も兼ねて多めに買っておき、できれば1週間分は備蓄しておくと安心。また、日常的に非常食を消費し、消費した分だけ新しく買い足していく「ローリングストック」をすれば、賞味期限切れの心配がなく、日常生活の中で備蓄ができる。

避難の際に持ち出す「非常用持ち出し袋」の中身は、首相官邸が公開しているチェックリストを参考に用意しておこう(図3)。そのほか、通帳や現金、運転免許証、マイナンバーカードなどの貴重品はすぐに持ち出せるようにしておくことも大切。家族間で避難場所や避難経路、安否確認の方法も確認しておきたい。

図3:災害の「備え」チェックリスト

図3:災害の「備え」チェックリスト

出典:首相官邸ホームページ「災害の「備え」チェックリスト」をもとに編集部作成

緊急予備資金は生活費6カ月分が目安

防災グッズや非常食の用意も大切だが、「お金」の用意も忘れてはいけない。災害時には、さまざまな要因で収入が途絶えてしまうケースや、生活再建のための出費が想定される。不測の事態に備えて用意しておくのが「緊急予備資金」だ。

緊急予備資金の使い道はさまざまだが、災害時には次のような出費が想定される。

・災害時の出費の例

(1)一次避難に必要な交通費(遠方の実家や親族の家などに避難する場合)
(2)ホテルなどの一時的な滞在費
(3)避難の際に持ち出せなかった衣服や日用品の購入費
(4)食費などの生活費
(5)壊れた家財道具の買い替え費用
(6)家屋の修繕費用

特に(1)~(4)は被災直後や避難中から必要になるお金です。少なくとも、これらを賄える金額は用意しておくとよいでしょう。

では、緊急予備資金はどのくらい用意しておけばいいのか。避難生活が長引いたり、自身や家族がケガをしたりするケースを想定すれば、ある程度まとまった金額を用意しておきたい。具体的な金額は、それぞれの働き方や家族構成によっても異なるが、会社員世帯の場合には、生活費の6カ月分程度が目安だという。

会社員の世帯なら、生活費の6か月分程度が目安となります。
会社員がケガをしたり、勤務先の休業などで一時的に収入がなくなったりした場合、健康保険の傷病手当金や雇用保険の基本手当を受けられることがあります。
しかし、これらの手当は給与の5~8割程度しか支給されません。また、申請から支給まで1~2か月程度かかります。そのため、すぐに使えるお金をある程度準備しておく必要があります。生活費の6か月分は確保できると安心でしょう。

すぐ使えるように用意する現金はいくら必要?

緊急予備資金は災害時にすぐ使えるように、換金性の高い預貯金や、ATMが使えない場合のために現金でも用意しておきたい。特に、先述した災害時の出費の例の(1)~(4)は、すぐに必要になるため、ある程度の現金は持ち出せるようにしておこう。手元に用意しておく現金は生活費の1週間分程度が目安になる

現金は1週間分を目安に

大規模災害時は電気などのライフラインが止まり、金融機関のATMが利用できない可能性があります。そのような事態に備えて、1週間分程度の生活費を現金として手元に準備しておくと安心です。

現金は災害時にすぐに持ち出せるよう、非常持ち出し袋に入れておくことをおすすめします。また、災害時は店舗側もおつり用の細かいお金を準備できない場合があるので、1万円札だけではなく千円札や小銭も用意しておくと便利です。

近年はアプリなどのキャッシュレス決済の普及が進み、普段はあまり現金を持ち歩かないという人もいるだろう。キャッシュレス決済は電力が復旧しないと使えないイメージがあるかもしれないが、自身のスマホなどで店舗の二次元コードを読み込んで決済するタイプのものは、サービスが利用可能でインターネット接続ができれば決済できる可能性がある。また、経済産業省は災害時にもキャッシュレス決済を利用できるようにするための整備を進めている。

現金を自宅に保管する場合、盗難や火災などで失われてしまう危険性もある。リスク分散のためにも現金だけでなく、普段利用しているアプリやクレジットカードなどのキャッシュレス決済も複数種類用意しておくと安心だ。

保険やライフプランの見直しを

大きな災害になると、想定外の損害が発生することがある。緊急予備資金が足りなくなってしまうケースを想定して、火災保険や地震保険も活用したい。その際には、保険で補償してくれる範囲をしっかり確認しておくのがポイントだ。

たとえば、台風などによる損害は「風災」にあたり、これも火災保険の補償範囲だ。だが、「風災」を対象にしている火災保険に加入していないと補償を受けられない。また、火災保険は建物と家財で別々に契約するため、「台風で窓ガラスが割れ、家電製品が壊れた」という場合、建物のみの契約では家財の損害について保険金は支払われない。

また、地震によって発生した火事は、延焼を含めて地震保険の対象となり、火災保険では補償されないため注意が必要だ。

このように、保険の補償範囲は、契約によって細かく決められている。この機会に保険の補償内容を確認して、補償が足りないと感じた場合には、契約内容の見直しも検討しておこう。

緊急予備資金は災害時だけでなく、病気やケガで急な出費が発生したり、収入が減ったりしたときにも備えることができる。もしもの場合に備えて、緊急予備資金は一部を現金として手元に置いておき、残りをいつでも引き出せるように、普通預金などで用意しておくことが大切だ。緊急予備資金を既に用意している人は、「金額は足りているか」「現金での用意はできているか」など、改めて確認しておこう。

自然災害はいつ起こるか誰にも予想できない。だからこそ、万が一に備えた準備は重要だ。そして、防災対策や緊急予備資金について考えるとともに、自身のライフプランを見直し、想定される必要資金を準備するためにも資産形成を始めてみてはどうだろうか。

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