2024.09.04 NEW
日経平均1,638円下落、9月4日の急落はなぜ起きたのか?野村の視点は
2024年9月4日の日本株式市場は、米株式市場の下落を受けて大幅に下落しました。日経平均株価は前日比1,638.70円安(4.24%安)、TOPIX(東証株価指数)は同3.65%安となりました。株価急落の背景と今後の見通しについて、野村證券のストラテジストが解説します。
冴えない経済指標が米株価指数を押し下げ
2024年9月3日の米株式市場は、米景気後退懸念が再燃し、主要指数が大幅に下落しました。ダウ工業株30種平均は前週末比1.5%安、S&P500種株価指数も同2.1%安、ナスダック総合株価指数も同3.3%安となりました。
米サプライマネジメント協会(ISM)の8月の製造業景況感指数は47.2と前月差+0.4ポイントでしたが、好不況の節目となる50を下回っており、冴えない内容でした。
同日に公表された8月の財新版・中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は改善しましたが、8月の米マークイット製造業PMIが低下したため、8月グローバル製造業PMIは2ヶ月連続で50を下回る49.5となりました。
半導体株などの下落が目立つ
米株式市場では、半導体、情報技術、中小型指数の下落が目立ちました。一方、生活必需品や公益は底堅く推移しました。日本株の変動を決める要因「ファクター」の動きでは、値動きが相場全体との連動性が低い低ベータやバリュー(割安)などがアウトパフォームしました。
個別銘柄では、半導体最大手のエヌビディアが前週末比で9.5%安と大幅に下落しました。複数の米メディアによると、同社の時価総額の1日における減少額は、米国上場銘柄として史上最大を記録したとのことです。
「恐怖指数」とも呼ばれる米株の変動性指数(VIX)は20台へ急上昇しました。特に8月米雇用統計公表の9月6日にかけての株安をヘッジするオプション価格(プレミアム)が高騰するなど、短期的なリスク回避ニーズがVIXを押し上げた点は8月初旬と似ています。
一方、8月初旬とは異なり、月初のS&P500連動ETF(上場投資信託)の取引は落ち着いていました。雇用統計次第で米景気後退懸念が再燃する可能性もありますが、野村では米景気の軟着陸を見込んでいます。
日本株の上昇基調は継続すると見る
先進国株ファンドへの資金流入が継続しているため、今回のような株価調整を経ながらも上昇相場の中での循環物色が生じやすいと考えます。米企業業績の堅調さがFRB(米連邦準備理事会)による予防的利下げとともに株価を支える要因となるでしょう。
日本株についても、株価調整を経ながら、脱デフレやコーポレートガバナンス(企業統治)改革も支えにした業績拡大に伴う上昇基調も継続すると考えられます。
米商品先物取引委員会(CFTC)の集計によれば、投機筋のポジションで円は小幅ロング(買い持ち)であるため、8月初旬のような極端な円キャリー取引解消も想定しにくいでしょう。
(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)
編集元アナリストレポート
日本株朝メモ – 米景気後退懸念発の株安圧力再燃?8月との違いも(2024年9月4日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部などより野村證券投資情報部作成
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