2024.09.27 NEW
自民党新総裁に石破氏を選出 解散総選挙なら日本株高か?野村證券の視点
9月27日の自民党総裁選挙では石破茂氏が選出されました。 9月27日の日経平均株価終値は、高市氏との決選投票が決まった後の15時時点で、日経平均株価終値は前日比903円(2.3%)高の39,829円、為替は1ドル=146円台でした。石破氏の総裁選出が決定した後、ドル円相場は円高ドル安に振れ、一時1ドル=143円台(15時27分時点)と、市場にも変化がでています。今後のポイントを解説いたします。
次期首相の独自色が現れるのは政権の長期化が見据えられる段階から
石破氏の政策の方向性について見てみると(9月20日時点)、金融政策については、金利のある世界の実現が物価上昇の抑制や構造改革に資すると発言しています。財政については、財政政策の正常化を目指すとしています。成長戦略については、地方の活性化による内需主導型経済への転換を提唱しています。安全保障については、核シェルターの普及を提唱しているほか、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の継承・発展やアジア版NATOの創設を目指しています。金融所得課税については、「実行したい」と述べたことが話題となりました。
もっとも、2025年度当初予算は岸田文雄政権が決定した骨太方針に沿って編成されており、目先の経済政策は大きく変わらないでしょう。次期内閣発足直後に経済対策作成を見据え、石破次期首相が閣僚に指示すると見られ、2024年度の補正予算や2025年度の税制改正大綱に反映されることが予想されます。補正予算は、解散総選挙や来夏の参議院議員選挙を念頭に置いた内容となり、その規模は前年度の税収の上振れ分などに左右されるでしょう。次期首相の独自色が現れるのは、解散総選挙や参議院議員選挙を乗り越えて、政権の長期化が見据えられる段階からと考えられます。
「選挙は買い」のアノマリーを検証
今後、早くも年内解散総選挙に対する観測が高まるでしょう。野党の選挙協力や候補者擁立の状況を見極めながら、次期首相は自民党の次期幹事長や次期選挙対策委員長ら新執行部と、選挙日程を模索することになるでしょう。
なお、3年前の総裁選挙(9月29日)に勝利した岸田首相は、10月31日に解散総選挙を実施しました。同じようなスケジュールで考えれば、今年の10月27日を投票日とすることも可能です。
日本株市場には解散総選挙が株高をもたらすというアノマリーがあります。これを検証するため、衆議院解散日を含む週、および総選挙実施日の直前週を起点として、その前後の海外投資家の売買の平均値を集計しました。
先物の場合、衆議院解散週を起点として4週間前に買い越しに転じる傾向があります。先物を用いる海外投資家は「解散風」を察知し、先回りして売買を行うと言えます。解散から1週間後の買い越し額も大きくなりやすいですが、3~4週間後は小幅に売り越すなど持続性は乏しくなっています。また、総選挙後には売り越しに転じやすく、利益確定売りを行う傾向があります。
現物の場合も、解散前から買い越しに転じる傾向がありますが、買い越し額が大きくなるのは解散直前で、買い越しが続く期間も5週後までと長くなっています。総選挙後の4、5週目には売り越しに転じる傾向がありますが、先物と比較して金額は小幅に留まります。現物買いは必ずしも投機的ではないと考えられます。
一連の流れを時系列でまとめると、まず先物投機勢が解散観測を手掛かりに日本株を買い越し、その後、実際に解散が発表されるタイミング、あるいはその直前から現物買いも始まります。そして、総選挙後は利益確定売りが出やすいですが、現物についてはその規模は限定的となっています。
(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)
日本経済ウィークリー – 金融政策に関わる今後の注目材料:(1)自民党総裁選、(2)25年春闘、(3)実質政策金利(2024年9月20日配信)
政治レポート – 国内政治:自民党総裁選挙告示・9人の候補者が届け出(2024年9月12日配信)
日本株投資戦略(9月号) – 9月のジンクスと13日の金曜日を超えて(2024年9月13日配信)
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