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2017.11.02 NEW

ビジネスリーダーインタビュー Vol.2「全力で走って転んだ20代を越えて、見えてきたこと。」イントロダクション株式会社 代表取締役CEOやまざきひとみ

ビジネスリーダーインタビュー Vol.2「全力で走って転んだ20代を越えて、見えてきたこと。」イントロダクション株式会社 代表取締役CEOやまざきひとみのイメージ

最前線で活躍するビジネスリーダーは、これまでどのような挑戦や失敗を経験してきたのか。ビジネスリーダーへのインタビューから、今、現場の中心となって働く1980年代生まれのビジネスパーソンの実態を浮き彫りにし、人生や仕事を楽しむためのヒントを探っていく。

連載2回目は、イントロダクション株式会社 代表取締役CEOのやまざきひとみ氏が登場。やまざき氏は、新卒でサイバーエージェントに入社後、「アメーバピグ」の立ち上げをはじめ、様々なヒットコンテンツを手掛けてきた。独立後数年を経た今、起業してLIVE動画事業を行っている。ITの最先端で走り続けるやまざき氏の姿勢から浮かび上がってきた、80年代ならではの新しいワークスタイルとは。

失敗を恐れて挑戦できない大人になるほうが怖い

サイバーエージェント時代は、「アメーバピグ」など様々なヒットを生み出していますが、20代から大きなプロジェクトを任されることへのプレッシャーはなかったのでしょうか。

あまりプレッシャーを感じたことはないですね。
とてもチャンスの多い環境だったので、失敗してもいい……とは言いませんが、「本質的には、今失敗しても怖くない」というか。

逆に、長い人生で失敗も知らないで挑戦できない人になってしまうことのほうが怖かった。「失敗しても怖くない」20代のうちに、たくさん挑戦して失敗もしておこうという気持ちでいました。

特に女性は30歳前後のライフイベントがどうしても読みきれなくなってきますから、100%のパワーで仕事に取り組める時間は限られている。当時からそう思っていたので、20代はとにかく走りきる、トライする数が大事だと肝に銘じて仕事をしていました。

そのようにして失敗したときは、どのように克服していますか。

20代最後の頃、無理をして体調を崩し、仕事に影響が出てしまったことが何度かありました。そのときは、「自分は全力でやっていて体調が悪くなったのだから仕方ない」という気持ちもあったのですが、迷惑をかけたのは事実です。

まずは正しく事象を認識するところからはじめて、「たとえ悪気がなくても、結果は自分のせい」という気持ちをもって、迷惑をかけた方に誠意をもって謝罪をする。
そうすることではじめて、自分も周りもネガティブな経験を糧に変えて前に進めるのではないかと思っています。それが難しいんですけど。

私の場合も、結果としては頑張っていた部分を認めてもらえたのか、また次のチャンスをいただけました。
最終的には、どういうスタンスで仕事をしているか、ということが大事なんだと思います。常にベストを尽くしていれば、その頑張りはいつか誰かに伝わるんだなと。

「全力疾走した20代の最後に立ちはだかった壁

全力で走ってきた印象のやまざきさんですが、30代になってその意識は変わりましたか。
イントロダクション株式会社 代表取締役CEOやまざきひとみのイメージ

変わりました。私は今、32歳ですが、たぶん他の人よりも「30歳の壁」が高かったんです。

プライベートでは29歳で離婚を経験しましたし、その頃、無理をして体調も崩していました。

20代は「出世したい」という気持ちや、仕事もプライベートも充実している、いわゆる「バリキャリ」を志す意欲もあって(笑)。肩にとても力が入っていました。でも、30を目前にふと足が止まったんです。「この気の張り方で、10年20年先もやり続けられるのか」と。

答えはNOでした。
体調を崩したことで体力的な難しさも実感したので、ものごとへの向き合い方全般をリビルドすることになったのが、ちょうど30歳のときです。

その後、独立・起業とまた精力的に活動されています。働き方が変わったことによって、さらに大きな変化があったのではないでしょうか。

実は、もともと起業をしたかったわけではないんです。
独立したのは、「自分のペースを守りながら、一生のうちにどれだけいい仕事ができるか」を追求した結果です。
そのとき、ちょうど今一緒に仕事をしているメンバーが周りにいて、「すばらしい才能を持ち、仲間でもある彼らと一緒に仕事がしたい」と考えたら、起業という形に落ち着きました。

現在は、「いる人全員が社長」というシェアオフィスで、それぞれ仕事を行っていますが、時にはお互いの能力を持ち寄り、大きなプロジェクトを立ち上げることもあります。こういった会社を超えたスピード感は、組織に属していたらなかなかできないことです。
スタートアップなので先の不安はもちろんありますが、今はとても楽しいし、自分に合っていると思っています。

変化という点では、「時間の主導権が自分にある」ということが一番大きいですね。独立すると、仕事が与えられることはなく、自分で時間を管理してパフォーマンスを追求しなければならない。
会社員と比べてどちらが楽ということはありませんが、体力的なハンデを抱えている私の場合、こうなるしかなかったのかなと。

ポーズに体力は使わない「省エネ」スタイル

できるだけよい仕事をしたい、と考えて独立したやまざきさんにとっての「よい仕事」とはどんなものですか。
イントロダクション株式会社 代表取締役CEOやまざきひとみのイメージ

「モラル感」と「スケール感」のバランスがとれた仕事だと思います。
「ギャラがいいから、社会的にあまり意義のない(面白くない)仕事だけどやろう」というのが、スケール感=お金を重視してモラル感が下がった状態。

逆に、「この人と仕事がしたいから、ギャラはなくてもいいや」というのが、人=モラル感を重視しすぎてスケール感が下がった状態。どちらも「よい仕事」ではありません。
そのバランスをとることがすごく大事だと思いながら、難しさを感じているところです(苦笑)。

それでは、「よい仕事」をするために心がけていることを教えてください。

ひとつは、「仕事をしているフリをしない」ことです。

オフィスでダラダラと長くいるだけなら、帰宅して2時間でも体力を回復したほうが効率的です。ポーズに体力は使わない、つまり省エネです。

具体的に言うと、最近、これまで履いていた10センチのハイヒールをやめて、全部をぺたんこの靴にしました。ハイヒールを履くと気持ちがシャンとするし、「デキる」気分にもなる(笑)。
でも、それもただのポーズなんですよね。結果的に機動力が3割増しになりました。

イントロダクション株式会社 代表取締役CEOやまざきひとみのイメージ

もうひとつは、インプット。
オフの時間も、ニュースや本で常に最新の情報をインプットし、ヒットしているコンテンツは映画でもイベントでも必ずチェックします。
また、最新トレンドや自分より若い世代のことを知るために、実際に足を動かして海外も含めたリサーチを行うようにもしています。
あと、私の場合は特に自分自身が資本なので、自分を癒やすことにはあまりお金を気にせずに投資します。
疲れたときは「時短にもなる」とタクシーを利用することもあります。
これも私流の省エネのひとつですね。

投資といえば、資産運用などもしていますか。

ビットコインや株の運用をしています。蓄財のためというより、勉強が目的です。持っていることで動きが気になり、政治や経済のことを他人事ではなく、自分ごととして受け止められるからです。
金融商品は、長く所有することで、自分の知識としてもプラスになると思います。

80年代は両方の良さを引き出せる過渡期の世代

やまざきさんから見て、80年代生まれはどんな世代だと思いますか。

お手本のない世代ですね。
生まれたのが昭和末期だから、「ザ・昭和」でも平成でもない。そして、デジタルネイティブではない、アナログ世代と現代ネットの世代との過渡期。

また、自分たちは完全に共働きの世代なのに、親世代はそうじゃない。そういう意味では、男女共に働き方や生き方のお手本もありません。
でも、逆に言えば、両方の世代を知っているとも言えるんです。

昔の価値観にとらわれていると、現代を生きるのが苦しい。この世代は両方を知っているからこそ、いろいろな場面で悩んだり、試行錯誤したりしながら、時代や状況に「適応できる力」を持っていると思います。

最後に、1980年代生まれの同世代の方へアドバイスをお願いします。

アドバイスを言えるような立場ではないですが……私は30歳になって、はじめて「人生は短い」と感じました。
世界は広く、まだまだいろいろなことが無限にできます。でも、一つのことに対して一通りの経験を積めるのが約10年と考えると、100歳まで生きても、あと7回しか新しいことはできない。
みなさんにも、そんなふうに考えながら、長くも短い人生を歩んでもらいたいなと思います。これから、80年代生まれの私たちの人生は、もっともっと楽しくなると思いますから。

入社年で見た新入社員の会社の選択自由

新入社員が会社を選んだ理由を時系列で見ると、「能力・個性が生かせる」が上昇傾向に。逆に「会社の将来性」は減少傾向となっている。80年代生まれのビジネスパーソンには特にその傾向が色濃く出ており、社会の変遷の中心で、昔の価値観にとらわれず新たな価値観を獲得している世代と言えるだろう。

やまざきひとみ
2007年サイバーエージェント入社後、「アメーバピグ」立ち上げプロデューサー、スマートフォンコミュニティ事業部長、ママ事業部長、「by.S」編集長などを歴任。動画メディア「C Channel」編集長を経て、2017年LIVE動画事業を手がけるイントロダクション株式会社設立。LIVE動画専門スタジオを設立するとともに、動画を使ったメディアプロデュース、マーケティングを包括的に行う。

(制作 NewsPicks Brand Design 編集:大高志帆 構成:相川いずみ 撮影:露木聡子)

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