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【分解力特集:前編】分解力を高めろ! なぜコンサルはフレームワークを学ぶのか

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自分の意見が社内の会議で通らない、クライアントに新サービスを提案しても却下されてしまう……。ビジネスパーソンならこうした悩みに二度や三度、ぶつかったことがあるのではないだろうか。

「経験の浅いビジネスパーソンが陥りがちなのは、プレゼンなどの説得力を高めるために流行りのスキルに飛びついてしまうこと。でも、そうしたスキル養成よりも重要なことがあります。それは物事を分解して考える力、すなわち“分解力”を磨くことです」

こう語るのは、経営コンサルティングファームでの勤務を経て、現在は学習塾「ロジム」の塾長兼代表取締役を務める苅野進(かりの しん)さんだ。

では、苅野さんが語る「分解力」とはどのような力なのか。

グッドストーリーを積み重ねても、説得はできない

そもそも社内の会議などで自分の意見が通る人には、どんな共通点があるのか。「できる人は会議などで、『こうすればうまくいく』という話と同時に、『こうするとうまくいかない』という話も両方伝えるもの」と苅野さんは解説する。

苅野さんは「うまくいく話」を“グッドストーリー”、「うまくいかない話」を“バッドストーリー”と称する。若手社員が陥りがちなのは、都合のよい成功事例だけを並べ立てて意見を述べてしまうこと。すなわち“グッドストーリー”のみで話を展開することだという。しかし、こうした方法では上司やクライアントを説得するのは難しいというのだ。

グッドストーリーだけではなぜダメなのか。化粧品会社を例に解説しよう。

たとえば、ライバルの化粧品会社が、20代の売れっ子女優を起用したTVCMを打って商品をヒットさせたとする。そうしたライバル会社の成功事例を見たとき、社員が「弊社も20代の旬な女優が登場するCMを作りましょう」などと、成功事例をそのまま真似した提案をしてしまうケースがある。

しかし、残念ながら、そうした提案に上司から二つ返事でOKをもらえる可能性は限りなく少ない。それは「都合のいいグッドストーリーを積み上げているに過ぎないから」だと苅野さんはいう。

「たとえば、『雑誌では人気女優のメイクが記事になることが多い』『ドラマにも出るので、そこから更に人気が波及する』のような都合の良い『たられば』の話を積み上げても、上司はおいそれと乗ってきません。『それは本当に実現するのか?』『それ以外の選択肢はなぜだめなのか?』について不明なので、すぐに『GO』とは指示は出せないのです」(苅野さん)

ここで必要になるのが、グッドストーリーに加えて、“バッドストーリー”も合わせて説明すること。

上記の化粧品のケースでいうと、「20代の旬な女優が登場するCMを作りませんか」という提案とともに、「20代の旬な女優によって認知度が上がる」という自分にとって都合の良い結果が出ない確率など、考えられる「バッドストーリー」をしっかりと説明することが必要なのだ。

人は「こうすればうまくいく」という説明を受けたとき、基本的には「それは本当か?」と「それだけでよいのか?」という2つの疑念を持つもの。それに対応する説明をしない限り、「都合の良い話」は理解してもらえない。

「グッドストーリー」以外もしっかりと検討していることを説明すること。比較検討した上で、「グッドストーリー」が打ち手として優先的であることを論理的に示すことが大切。どんなに熱意を示したり、印象的なプレゼンをしても「この案は100%上手くいく」という説明を鵜呑みにするような相手はいないと考えた方がよい。

「分解」すれば、多様なストーリーが見えてくる

では、一つのストーリーに捉われがちな人が多様なストーリーを意識するためには、一体どのような能力が必要になるのだろうか。苅野さんは、そのために必要になるのが「分解力」であるという。

たとえば、とある小売店が、利益が上がらないことに悩んでいたとする。

ありがちなのが、利益を上げるために「とにかく販売個数を増やそう」と短絡的な判断をしてしまうパターン。これは先でいう、ひとつのストーリーにとらわれている例だといえるだろう。しかし、利益を上げるためには本当に「販売個数を増やす」しかないのだろうか。

このような場合、利益がどのように生じるものなのかを、次のように簡単な要素に分解して考えてみるといい。

利益=(売値-仕入値)×販売個数-費用

上記のように、「利益」という概念を構成する要素単位に「分解」してみれば、「販売個数を増やしても、費用がそれ以上にかかってしまえば利益は出ない」「販売個数を増やさなくても仕入れ値を下げれば、利益が出る」など、さまざまなストーリーが見えてくるはず。

こうした多様なストーリーを認識した上での判断でなければ、「販売個数を増やそう」という決断は説得力を持たないのだ。

こうした「分解」を行うためには「フレームワーク」の活用が有効であると苅野さんは続ける。具体的な例で考えてみよう。

たとえば、先ほどの化粧品会社のケースで役に立つのが、「AISAS」という「ものを売るときに考えるべき消費者行動」を洗い出すフレームワークだ(下図)。

図:ものを売るときに考えるべき消費者行動「AISAS」

図:ものを売るときに考えるべき消費者行動「AISAS」

少し古いものだが、こうしたフレームワークを使うことで「考えモレ」を減らすことができる。

このフレームワークを用いれば、「ものを売る」という漠然とした認識が「分解」され、ものを売る方法には、CMによる認知度アップだけではなく、「SNS施策」「販売店への営業支援」「体験イベント」といった他の施策も考えられるということがわかる。

こういった視点を検討せずに、「人気女優で認知度アップ!」という一点張りをしたところで、信用を得られないのだ。

フレームワークは、先人たちが作った“分解の方程式”

上記の例からも分かる通り、フレームワークは考えを分解する方程式のようなもの。既存のフレームワークを覚えることで、どのように分解するのかを学ぶことができる。

苅野さんがかつて所属していたコンサルティング業界では、社会人一年目から、さまざまなフレームワークを頭に叩き込まれるという。物事のよい面と悪い面を洗い出す「Pros and Cons(プロ・コン)」などをはじめ、5つの競争要因から業界分析を行う「5フォース」、強みや弱み、機会、脅威を洗い出し、マーケティングの戦略立案を行う「SWOT分析」などだ。

「ただ、こうした既存のフレームワークも有用ではあるものの、各々の業種や職場で汎用性があるわけではありません。それよりも、それぞれの立場の人が経験を基に各々のフレームワークを作っていったほうが、現場に合わせて活用することができるうえに、分解して考える力が磨かれます」と苅野さんは指摘する。

では、実際にどのようにフレームワークを作成すればいいのだろうか。その具体的手法を後半で解説しよう。

【お話をお伺いした方】
苅野 進(かりの しん)
学習塾ロジム塾長兼代表取締役。東京大学文学部卒業後、経営コンサルティング会社を経て、2004年学習塾ロジムを設立。コンサルタント時代には、社会人向けのロジカルシンキングの研修、指導も担当。「“自ら問題を設定し、試行錯誤しながら前進する力”を養うことこそ教育の最も重要課題である」という考えから、小学生から高校生を対象に論理的思考力・問題解決力をテーマにした講座を開講している。
国語・算数・理科・社会・英語といった主要科目の学習への応用でも効果を上げている。著書に、『10歳でもわかる問題解決の授業』(フォレスト出版)、『考える力とは、問題をシンプルに考えることである』(ワニブックス)などがある。

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