2025.03.11 NEW
トランプ氏の「過渡期」発言で日経平均株価一時36,000円割れ リスク軽減に向けた日本株の切り口 野村證券ストラテジストが解説
3月10日のNYダウは、一時1,100ドルを超える大幅な下落を記録し、前週末比890ドル安の41,911ドルで取引を終えました。これを受け、翌3月11日の日経平均株価も大幅に反落し、下げ幅は一時1,000円を超え、取引時間中としては約半年ぶりに3万6,000円を割り込む場面がありました。その後は下げ幅を縮小し、終値は前日比235円安の36,793円となりました。この下落の背景や今後の展望について、野村證券のストラテジストが解説します。
トランプ大統領の「過渡期」発言でリスク回避の展開に
トランプ大統領は、3月9日に放送された米FOXニュースのインタビューで、米国が景気後退に陥る可能性について質問されました。それに対し、「そういうことを予想するのは嫌いだ。われわれがしていることはとても大がかりなものだ。当然、移行期間はある。」と述べています。
この発言が景気後退を明確に否定するものではなかったと受け止められた結果、3月10日の米国株式市場では主要指数が大幅に下落しました。S&P500は、2月19日に記録した直近の高値から約9%下落し、調整局面(高値から10%安)に近づいています。
「恐怖指数」とも呼ばれる米株の変動性指数(VIX)が上昇し、一時29台を記録したことで、ポジション調整が促されやすい状況となり、高ベータ・過去高リターン銘柄が大幅に下落しました。一方で、関税デメリット銘柄は小幅な上昇を見せ、焦点は関税ではなく米国景気に移っているといえます。また、米賭けサイト「ポリマーケット」では、年内に米国が景気後退に陥る確率が39%に上昇しています。
調整局面後の日米株価指数は米景気次第
1970年以降、S&P500が過去半年の高値から10%下落した場面は、1ヶ月内の重複を除いて44回ありました。そのうち13回は半年以内に景気後退に陥った一方、29回は景気後退を回避しており、株式市場が過剰に反応するケースも多く見られます。ただし、当面は米国景気やマクロ経済政策に焦点が集まる展開が続くでしょう。
平均値を見ると、米国が景気後退に陥った場合、S&P500は調整入り後の2週間で約5%下落し、その後、3ヶ月後に二番底を記録するケースが多く、250営業日後の時点でも-2.3%の下落と、負の影響が続いています。一方、景気が拡大している場合、S&P500は調整入り後の約2ヶ月間一進一退の動きを見せた後に上昇へ転じ、250営業日後には+6.6%の上昇と、負の影響は残りませんでした。
このような局面におけるTOPIX(東証株価指数)の動きは、米国の景気が拡大している場合、1~2ヶ月間は一進一退の動きを見せた後に上昇へ転じ、250営業日後には+4.7%の上昇を記録しています。一方、米国が景気後退に陥った場合は、250営業日後に-11.1%と大きな下落が見られ、負の影響が顕著となっています。
野村では米国の景気が拡大すると予想しており、当面は日本株がストレスを受ける局面が続くものの、その後は上昇に転じやすいと考えています。リスク要因としては、日本銀行のタカ派的な姿勢(政策ミス懸念)が挙げられます。
米国発のリスク軽減に向けた日本株の切り口
米国発のリスク軽減の観点からは、米国売上比率の低い銘柄や、自社株買いを実施している銘柄、さらにはNISAで人気を集めている銘柄などが受け皿となると考えられます。
日本の上場企業の売上に占める米国比率は16%前後と比較的高く、現在では雇用サービスやコンビニエンスストアにおいても米国事業が主力となっています。米国へのエクスポージャーを完全にゼロにする必要はありませんが、ポートフォリオ管理の観点から米国売上比率が過度に偏らないよう分散を図ることは、グローバル投資家が日本株に求める分散効果、つまり米国との連動性の低下につながる要因となるでしょう。
自社株買いは依然として高水準であり、その持続性や再現性が高いと考えられます。このような状況の中で、4月末から5月の本決算発表時に自社株買いを実施する企業が少なくない点は注目されやすいでしょう。
また、国内マネーによる日本株買いが再び加速する中、NISAで人気のある銘柄などが現物株投資の対象として参照されやすいと考えられます。
編集元アナリストレポート
日本株ウィークリー – 合理性が通じないかもしれない世界の原則(2025年3月6日配信)
Quick Note – 日本株朝メモ:米株調整局面が接近 – 調整局面後の日米株価指数は米景気次第(2025年3月11日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。
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