2025.03.12 NEW

GPIF国内株比率を25%で維持との報道 ノーサプライズ・ノーインパクト 野村證券ストラテジストの見方

GPIF国内株比率を25%で維持との報道 ノーサプライズ・ノーインパクト 野村證券ストラテジストの見方のイメージ

リバランスなどによる需給への大きな影響は発生しにくい

3月12日付の日本経済新聞は、「公的年金運用、株式比率の引き上げ見送り」と報じました。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオは3月末に公表される予定ですが、同記事によれば、その据え置き方針が固まったとのことです。現在、資産運用立国を目指す動きが進んでいる中で、市場への影響が大きいこのような情報が、厚生労働省の社会保障審議会への諮問前に漏洩したとすれば、その是非は議論されるべきだと言えます。

その上で、仮に報道が事実であれば、2024年末時点で約258兆円(1.7兆ドル前後)の運用資産残高(AUM)のうち国内株式の配分比率は従来通り25%(現行の乖離幅は±8%)となりますが、これは概ね想定内といえます。

2024年末時点の国内株式の配分比率(24.99%)に、その後の価格変動や信託銀行による売買状況を反映した場合、3月11日時点での配分比率は24.9%と試算されます。このため、リバランスなどによる需給への大きな影響は発生しにくいと考えられます。日本株時価総額の約8%を保有する主体として、GPIFは引き続き大きな存在感を持つでしょう。

資産配分全体における最大の焦点はインフレへの対応でしたが、債券利回りの上昇により、従来の資産配分を維持する判断が正当化されやすくなり、市場インパクトの発生を回避したとも解釈できます。今後、資産配分の適切性について毎年検証が行われる予定ですが、過去の実績を踏まえると、検証が必ずしも配分の見直しにつながるわけではありません。基本ポートフォリオの配分を毎年見直すことは、中長期的な年金運用の実務を考慮すると現実的ではないといえます。

一方、カナダの公的年金のように、リスク管理を前提としながら定量・定性情報を活用した機動的な資産配分調整が検討される可能性にも注目すべきです。また、国内スタートアップへの投資拡大を求める意見が社会保障審議会資金運用部会のメンバーから寄せられていたことも重要です。これに対して事務局はリターンを重視する立場から慎重な姿勢を示していましたが、今後は日本株における配分見直しの行方にも関心が集まるでしょう。

(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

編集元アナリストレポート

Quick Note – 日本朝株メモ:GPIF国内株25%維持報道 – ノーサプライズ・ノーインパクト(2025年3月12日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。

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