2025.04.18 NEW

米関税の影響は?  決算発表の注目点は増益ガイダンスや自社株買い 野村證券ストラテジストが解説

米関税の影響は?  決算発表の注目点は増益ガイダンスや自社株買い 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

トランプ政権が4月2日に貿易相手国への相互関税導入を発表して以来、株式市場は政権の発表に振り回される状況が続いています。今後、3月期決算企業の本決算発表を控え、関税の影響を含む動向への注目が高まっています。ポイントを野村證券ストラテジストが解説します。

リビジョンの悪化を過度に懸念する必要はない

米国の関税による直接・間接的な影響が日本企業のコンセンサス(市場予想の平均)に反映されるまでには、1~2ヶ月程度かかると考えられます。主要企業に関するコンセンサスのリビジョン・インデックス(企業業績予想の上方修正から下方修正の件数を引いた値を全修正件数で割って算出)の下方修正は、まだ始まったばかりの段階です。

野村では、関税の影響を踏まえ、トップダウンの視点で2025年度のTOPIX (東証株価指数)のEPS(1株当たり利益)を7%減益と予想しています。これに対して、コンセンサスは6%増益予想となっており、下方修正の余地は大きいと見ています。さらに、リビジョンは季節的に6月に向けてマイナスとなりやすい傾向があります。ただし、コロナ禍時の経験を踏まえると、株価指数はこうした下方修正を迅速に織り込むため、リビジョンの悪化を過度に懸念する必要はないと考えています。

セクター別のリビジョンを見ると、セクターによってはリビジョンが株価に先行する場合もあります。足元は、海運業、サービス業、電気・ガス業ではリビジョン改善が評価されやすい一方で、ゴム製品、輸送用機器、保険業ではリビジョン悪化が警戒される状況です。

繊維、紙・パルプ、窯業・土石製品は増益予想か

3月調査・日銀短観(全国企業短期経済観測調査)を踏まえると、上場企業の2025年度ガイダンス(業績計画)は例年通り慎重なものになると予想されます。短観では、大企業の2025年度計画は経常利益が0.4%減益となり、紙・パルプや窯業・土石製品、電気機械は増益計画が目立つ一方、石油・石炭製品や業務用機械、造船・重機・その他輸送用機械、鉱業・採石業・砂利採取業などでは減益計画が目立っています。

ただし、直近の短観調査基準日が3月12日であったため、関税の影響が反映されていない点や、短観でのドル円前提が1ドル=147.45円である一方、現在は円高が進んでいる点に注意が必要です。

上場企業の期初ガイダンスとの連動性も考慮すると、内需セクターの3月短観の情報が参考になります。繊維、紙・パルプ、窯業・土石製品などは、2025年度の増益予想が出やすいと考えられます。

自社株買いの発表にも注目

直近までの2025.2期決算企業における決算発表前後の株価反応を見ると、2024年度の増減益や2025年度のガイダンス増減益、さらにそれぞれの事前コンセンサス比でのサプライズが影響を与えています。ただし、内需ディフェンシブ特性が表れている点には注意が必要です。

また、決算発表時に自社株買いを発表した企業は、短期間で5%前後のアウトパフォームを記録するなど、関税ショックの中でも安心感を与えやすい傾向があります。5月に向けて自社株取得枠の設定発表が増加しやすいことからも、注目が集まりやすいと考えられます。

2025年末のTOPIXを2,700、日経平均株価を36,000円と予想

野村では、2025年末のTOPIX(東証株価指数)は2,700、日経平均株価は36,000円、2026年末はそれぞれ2,900と39,000円になると予想しています。なお、2027年半ばにはTOPIXが3,000、日経平均株価が40,000に到達すると予想しています。コーポレートガバナンス(企業統治)改革や脱デフレを背景とした中長期的なEPSの拡大により、株価上昇が続くと考えています。

(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

編集元アナリストレポート

日本株見通し:関税の影響で下方修正 – 関税でEPSが14%下振れ、26年度以降正常化(2025年4月4日配信)

日本株メモ:25.3期決算発表前の注目点 – 増益ガイダンスや自社株買い発表に注目(2025年4月15日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。

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