2025.11.27 NEW
11月の株安は過度に深読みしないほうが賢明 景気・業績とは無関係か 野村證券ストラテジストが解説
11月の株安は景気・業績とは無関係の文字通りの「リバーサル」の可能性
11月中旬にかけての内外株安の特徴は、「利益確定売り=リバーサル」が主因であり、景気や企業業績の変調を示すものではないと考えています。過度に深読みしないほうが賢明と判断しています。11月末や12月末が決算期末のヘッジファンドも多く、利益確定売りが意識されやすい面もあるとみています。
なお、世界株、日本株、クロスアセットの3つで、過去に上昇した銘柄や資産クラスが同時に軟調となる「リバーサル優勢」局面は、これまでも頻繁に見られました。2008年9月、2018年12月、2020年3月、2021年10月など、相場急落と重なるケースもありましたが、多くのリバーサル局面は相場の転換点とは無関係でした。また、こうしたリバーサル局面では、TOPIX(東証株価指数)は数週間ほど軟調な傾向があるものの、6~10週間後には下落分を取り戻し、再び上昇基調に戻るケースが多数でした。
(注)「リバーサル局面」は、MSCIワールドモメンタム指数、MSCI日本モメンタム指数、Nomuraクロスアセットモメンタム指数がいずれも5週前比でマイナスの局面(2000年1月第1週以降で156週が該当)。
(出所)S&P、JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成
直近11月は日米において、株価指数との連動性の高い、高ベータ株のアンダーパフォームも目立ち、株価だけを見ると「景気急失速」や「AIバブル崩壊」などのレジーム転換を市場が警戒しているかのように映ります。一方で、株価だけを見るアプローチでは、景気や企業業績といったファンダメンタルズ(基礎的条件)を無視しがちです。
野村證券では、日本株の需給環境にも目配りしつつ、堅調な企業業績とファンダメンタルズを重視しています。そのうえで、11月の株安は景気・業績とは無関係の利益確定売りが主因である可能性に注目しています。各種スタイル指数の中でもモメンタム(勢い)のアンダーパフォームが顕著で、モメンタム重視のクオンツファンドの苦戦も10月以降に報じられていました。こうしたリバーサルは、主要国・地域のクロスカントリーでも、日本株の主要指数内でも幅広く見られます。
(注)2025年11月24日時点。
(出所)JPX総研、日本経済新聞社、MSCI、ブルームバーグより野村證券市場戦略リサーチ部作成
11月に入り、著名投資家などによる「AI弱気」のポジショントークが増えたことを受け、利益確定売り=リバーサルが意識されやすくなった面は否めません。一方で、季節性の観点からは、11月以降にリバーサルが発生しやすい傾向や、12月末までリバーサルが猛威を振るい続ける傾向が見られるわけではありません。1~10月の株価指数やモメンタム株の高いリターンと、11~12月のリバーサルに特段の関係は確認できません。ポジショントークに右往左往したり、過度に深読みすることは回避したほうが賢明です。
(注)2025年は11月21日時点。図中のドッツのラベル数字は西暦末尾2桁。
(出所)JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成
株式市場では、様々な事情を抱える企業の株価が変動しますが、それをファクター化すると、後講釈やリスク管理のツールとしても役立ちます。一方で、本来はファンダメンタルズを評価する場である株式市場が、特定のファクターの動きに左右されやすい展開も生じうる点には留意が必要です。
特に、モメンタムとリバーサルは、一方が勝ち、他方が負けるという単純さもあり注目を集めやすいですが、明日以降も同じ動きが続く保証はありません。モメンタムとリバーサルに過度に注目するよりも、景気・金融政策、企業業績やコーポレートガバナンス(企業統治)、そして各種需給環境に関する評価を併用することが有効と考えています。
(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)
編集元アナリストレポート
日本株メモ:リバーサルを深刻に見ない理由 – 株価だけ深読みしても・・・景気・業績とは無関係か(2025年11月25日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。
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